涙のわけ(77.9)
四十路を目前にした大のオトコが、日も明けぬ早朝からボロボロと涙を流している。ただ、涙は流しているが、悲しんでいるわけではない。これはなぜか。
風が冷たすぎたのだ。
温度変化があると涙がでる体質なので、冬の朝には毎日のように泣いている。それにしても今朝は特に冷たかった。吹き荒ぶ針のような空気が目を刺して、涙があふれた。
ただ今日は、風の中で泣きながら妙な考えが浮かんだのだ。
「ああ、マスカラがとれちゃう」
そんな乙女心が芽生えた朝の体重は、77.9kg。
まだまだ憧れの先輩にラブレターは書けそうにない。
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