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無口なライオン。#3



遥香「なるほど。私に演劇部勧誘のポスターを描いてほしいと。」

さくら「そうなの。ごめんね、美術部に入るっていうのに全然関係ないこと頼んで。」


遥香「いいよ。っていうか美術部には入らないし。」

聖来「え、どういうこと?」


遥香「う〜ん、なんか思ってたのと違うし、絶対入りたい!とは思ってなかったから別にいいかなって。」

小藪「まぁ、ここの美術部あんまやる気あらへんからな。顧問もほとんど顔出してへんみたいやし。」


さくら「じゃあかっきー!一緒に演劇部入ろうよ!」

遥香「え、演劇部かー。私、やったことないしいいかな〜。多分めっちゃ足引っ張るし。」


絵梨花「私からもお願い!最悪名前だけでいいから!何せ今は部員を集めないとまともに活動もできないの!」

遥香「う〜ん…」


小藪「賀喜、演劇はステージに上がるだけが主役とちゃうんやぞ。」

遥香「え?」


小藪「演劇っちゅうのはな、もちろん演じとる人間が花形やけど、その裏には脚本家であったり大道具や小道具やったり、照明やったり、色んな人間が一つになって初めて成立するもんなんや。聞いたところお前は絵が上手いみたいやし、人柄も良い。そういう裏方のセンスみたいなのは持ってそうや。」

小藪先生は続ける。


小藪「もちろん裏方もな、誰しもが出来るもんやない。いや、むしろそれが出来るやつの方が俺は貴重やと思っとる。どうや?いっぺんやってみいひんか?もちろん絵もぎょうさん描けるぞ?」

かっきーはしばらく考えた後に小さく呟いた。


遥香「私…やります…」

絵梨花「え?」


遥香「私も演劇部に入部します!」

こうして、3人目の新入部員が誕生したのであった。




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『おお〜〜〜!』


次の日の放課後、私たちはかっきーが描いてきたポスターを見て、驚きの声を上げていた。


さくら「すごいよ!さすが私のかっきー!」

遥香「うん、さくちゃんの物になった覚えはないけど結構頑張ったよ!」


聖来「これで何人か入ってくれればいいんやけどなー」

3人でわいわい話していると、部室に小藪先生が入ってきた。


小藪「おうお前ら、もう来とったんか。そや賀喜、頼まれとったチラシの印刷やっといたぞ。」


遥香「ありがとうございます!」

さくら「え?かっきーチラシも作ってくれたの?」


遥香「うん!やるならとことんやらないとね!」

聖来「確かにポスターってそんなに枚数飾れへんし、チラシなら全校生徒に配れるもんね。」

小藪「しっかしクオリティが予想以上やな。賀喜、今なら美術部にも戻れるぞ?」


聖来「ちょっと先生!余計なこと言わんといて下さいよ!」

小藪「冗談やがな、ほんで生田はまた遅刻か?」



絵梨花「ごめんなさい遅れました違うんです一応私もポスター描いて持ってきたんですけど真夏にめっちゃ笑われて!ん?」


相変わらずのマシンガントークで生田先輩が部室のドアを開ける。

小藪「おい生田!ドアが壊れるって言うとるやろ!」


絵梨花「えぇ〜!!!これ賀喜ちゃんが描いたの!?すご〜い!」

遥香「はは、生田先輩に褒められると素直に照れますね。」


小藪「ほな今日も部員集めやな。チラシならアホほどあるからみんなが帰ってまう前に配るんなら配ってこい。俺は賀喜が描いたポスターでも貼り付けてくるわ。」

絵梨花「ちょっと先生!私のやつは!?」


小藪「いらん。」


絵梨花「ひど〜い!」


さくら「え〜見たい見たい!生田先輩の絵!」


小藪先生のリアクション通り、生田先輩の絵は個性的であったとさ。

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