ミシュランへの道 やきとりや人生12

当時はアルバイト、社員の出入りが激しかった。時給がよかったので、応募に「明日来ます」というものの、時間がたってもまったく来ないというバックレがしょっちゅうあった。だから毎日面接の日々で〇さんは忙しかった。


自分はベテラン??という触れ込みで、一方的な条件を言ってくる人や「有名店で修業してきたからなんでもできます!?」と言う人がいて、実際に焼きをやらせると、まったくのド素人でただの料理が趣味の人!?だったことも。


当時の板長には、40万円という給料を払っていた。主役だからこの給料が合っているかどうか?わからないが?一般では高い方だろう?Nの焼き鳥は結構美味かった。



それは〇さんも自慢できるほどで、〇さんのアイデアもよく理解していた。〇さんの斬新なメニューも、板長とのコラボで評判がよかった。その板長のおかげでお店は繁盛していた。プロ級の職人だった。

板長は、長〇と言い(以後N)Nは家族持ちで、嫁が九州の人だった。嫁は毎日実家に電話するアタオカな人だった。電話するたびに「関東は震災や地震であるし、不安なので九州に帰って来い」と嫁両親が言うらしい?


そんなNは、家庭内のプライベート事情を話すという、ちょっと常識ハズレだった。だが九州に帰っても、焼き鳥の仕事があるかはわからないし、安い給料でコキ使かわれるのがオチだろう。


Nは嫁に頭が上がらい性格らしい。嫁はお店の経営方針にいちいち口をはさみ、〇さんの悪口を言うらしい。そんなくだらない家庭内の事情をストレートに〇さんに話す。


「嫁がこう言ってました。嫁がああ言ってました」結局のところ、お金が欲しいだけで「給料を上げてくれ」「ボーナスがほしい」というミエミエだった。それを隠しもせずにOさんに話すそうだ。


板長の自分がいなければ、お店は営業できないのは明白な事実。それをいいことに、〇さんにプレッシャーをかけるのだった。
実はこのNは出戻りだった。


1回目の退職理由は、嫁が原因で辞めた。その理由は他店ではもっと待遇のよい店があるから?が理由で○○〇を辞めた。嫁が見つけてきた求人だった。しかし有名チェーン店に就職したが、長続きはしなかった。


そして、あらためて○○〇ほど、待遇の良い店などなかった知る。Nは前の店を辞めた後、○○〇にお客として来店したり、近所で様子をウロウロして?チョコチョコ来店した。〇さんに会って再就職したいという願いで、近所を徘徊していた。出戻りたい一心で通っていた。これも嫁の策略だった。


復帰したい理由がおもしろい。
「お世話になったOさんに尽くしたい」
「Oさんの以前の後ろ姿にもう一度自分は
力を尽くしたい」
「Oさんが心配で来た」
「自分のいない○○○が心配」
歯の浮くようなゴマすりを言っていた。


その熱意もあって?Nの嫁?の思惑通り、出戻りが叶った。Oさんは、Nの板長としての実力は理解していた。大きなトラブルもなかったし、気の合った以前の板長なので、安心してお店を任せることができた。


そして今に至るわけだが、落ち着いてくると人間不満も出てくる。特にNの嫁は病的にうるさい。Nは嫁とお店のはざまでノイローゼなった。家庭内の暗い雰囲気を店内に漂わせ、スタッフ達に冷たく当たり、怒鳴ったりした。


だから気軽にアルバイトに来た人は、Nが怖くてNのせいで、すぐに辞めてしまう。この負の連鎖だった。Nは「休みがほしい・・・」というので、〇さんは募集をして新人を採用した。研修として数日N指導の元で、Nに焼きを教えるように言った。しかし新人研修で、Nは新人を無視して一切教えようとしなかった???


新人は「話が違う」と言って、すぐに辞めてしまった。OさんはNに「なぜ焼きを教えないのか?」と尋ねると・・・「なんで他の人に教える必要があるのか?」と食って掛かった。「Nが休みたいから、穴埋めに人を募集したのだろ?」と言うと黙ってしまうと言う。


自分勝手に思う通りに、店を振り回す板長だった。まるで自分がオーナーであるかのように?そして、また新たなフロアマネージャーを募集して、店全体を管理できる人を募集した。


応募してきた松戸の男(以後D)がいた。この男はとんでもない男で食わせ物だった。

つづく

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