ミシュランへの道 やきとりや人生15

あれから、ミシュランの電話があってから数か月が過ぎた。その間にもミシュラン関係者が来店したのか?していないのか?


わからないが、実際に連絡があるまで、期待と緊張そわそわした落ち着かない興奮がつづく毎日だった。この時期のOさんは、会うといつもミシュランの話をしていた。


うれしさと期待が交差していた。
「もし落選したらどうしよう?」
という不安があった。だからこの時期は店のスタッフ全員に、
「どんなお客さまにもそそうがないように・・・」
と以前よりも強く言っていた。

そしてついにその時が来た。
ミシュランから電話がキター。
「オメデトウございます、受賞しました・・・」


○○〇は日本初!焼き鳥部門初!ミシュラン受賞を果たしたのだ。詳しくはビブグルマン賞という輝かしい賞。ふだん喜怒哀楽を現さないOさんだが、内心飛び上がるくらい嬉しかっただろう。


そして、20○○年度のミシュランに掲載された。受賞後はより一層、〇〇〇の知名度が知れ渡り、予約も取れないほど大繁盛した。そして同業者の偵察も次々と来店した。ほどなくして大手チェーン店では、〇〇〇の丸パクリしてメニューに取り入れた。


飲食店のメニューには、著作権と言うものがないのでパクリ放題なのだ。有名ラーメン店は大勝軒やラーメン二郎があるが、のれん分けの本家から独立したお店はやっぱり違う。やはり本家を超える店はない?好みの問題だろうか?



ある意味、焼き鳥は素材と新鮮さえよければいい。そして炭にこだわり、焼き加減と味付けをすればいいだけで、ある意味かんたんに素人にでもできる分野でもある。だから〇さんはやきとりを選んだのだ。修行もなにもしていないズブの素人で、ただのグルメだった。そんな〇さんがミシュラン賞を受賞したのだ。


比内鶏を使った高級焼き鳥は、それ以来国内需要が高まっていった。
板長のNも鼻高々だったろう?と想像する。特に嫁さんなんかは?
「あなたのおかげでミシュランが取れた」と
言っていただろう?想像に値する。これでまた賃金交渉できる?


表彰式の当日・・・Oさんは出席せず???板長のNが出席した???
わたしは、何度も聞き直した。
「どうして○さんが?ミシュランの表彰式に出席しなかったのですか?」と
聞くと黙っていた。図体だけでかい!?だけの超恥ずかしがり屋なのか?


よくわからないが?大勢の場に出るのが嫌なのか?〇〇〇は自分の子供みたいなもの今に至るわけで、そんな子供のようなお店が、ミシュランに表彰されたのだから、晴れ舞台の表彰式に当然Oさんが行くべきだったのでは?なぜ板長のNに行かせたのか?いまだに訳がわからない???

つづく

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