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人間関係を「上下」「縦の関係」で捉えることからの脱出

近年、ネットワーク型の組織が増える中で、特に50代ぐらいからの方が悩まれていると思うのが、人間関係を無意識のうちに「縦の関係」にしてしまうということです。

「縦の関係」とは
「縦の関係」とはどういうことかというと、上司と部下、先輩と後輩、年上ととした、親と子、兄と弟、発注先と受注先、親会社と子会社、みたいな、上下のある関係ですね。

特に、日本は上下関係を重んじてきました。「長幼の序」ともいわれますね。そして、食事から車の中の席順、会社で式典をやれば来賓の表示順序など、日常生活の細部に至るまで、上座下座があります。

そして、サラリーマンにとっては、その場における上下関係を即座に把握し、失礼のないように上座から下座に誘導するのが、いわば一種の「スキル」とかしています。

私が所属していた経済団体でも、経済団体同士で、創立順とか、B地域の団体は、元々A地域の団体だったのが分裂したから、Aが本家で、Bが文家の関係とか、まあ、色々ありました。

学生時代に、広告協賛を募ったときに、ある業界の広告を並べたときに、業界内における大手と中堅のポジションの区別なんてついていない学生だったので、業界大手→中堅企業→業界大手 の順にロゴマークを並べてしまい、広告出稿の人に嫌みを言われたことがあります。

当選7回で政府役職はついていないけど、党役職としては幹部級と、当選3回だけど抜擢で国務大臣、どっちが上座なんでしょう。私は分かりません。気にする人は、めちゃくちゃ気にしますし、多分ルールがあるのでしょう。

ところが、そういうことに鋭敏な感覚を磨いていと、なにかにつけ「縦の関係」の把握が先に立ってしまうクセがついてしまいます。

その結果、本来横である関係でも、縦の関係に落とし込んだ言動をしてしまうことになります。

「縦の関係」の「語彙」を変える


縦の関係の弊害としては、本来、連絡や相談にあたるコミュニケーションが、どうしても「指示」になってしまうことです。

無意識に「何らかの基準によって、どちらかが上の立場で、どちらかが下の立場になる」と言う前提が働くと、何か相手を動かそうとしたときに、「上が下に指示する」というコミュニケーションパッケージになってしまいがちです。

具体的に見ていきましょう。

「明日は9時に来るよう連絡しておきました」でよいところを、「明日は9時に来るよう指示しておきました」としてしまう人いませんか?

これは、上意下達型組織で、情報は上から下に流れるものと捉えているとこうなりがちです。

相手に何らかの動きを期待するコミュニケーションには、本来様々な形があります。

「指示」だけでなく、「連絡」があり、「相談」があり、「依頼」があり、「提案」があり、「命令」があり、本来様々な機微がありニュアンスがあり、縦ではない、対等な横の関係のコミュニケーションなのですが、上下関係のコミュニケーションに慣れすぎると、全部を単純化して「指示」と捉えてしまいがちです。

ともすると、相手が「連絡」のつもりだったことを、「指示」と受け止めてしまう。

さっきの例で言えば「明日朝9時に○○に来てください」という連絡を、「指示」と受け止めるので、「なんでお前に指示されなきゃいけないんだ」みたいな感情が出てしまう。

団体運営とかでも、事務方の人が、「○○さんのお時間は50分です」と「連絡」したのに、「なんで、俺が、事務方に”指示”されなきゃいけないんだ」みたいに言う方っていらっしゃいますよね。

経営者の人にも多い。それは「連絡」や「依頼」でしょ?と思うことを、「なんで、役人に”指示”されなきゃいけないんだ」言い出す人。

逆に、そして、物事は全て「指示」だと思っているので、自分が依頼側に回ったときに、今度、ちょっとした連絡や依頼がやりにくなってしまいます。

自分が苦手なこととか、不案内なことについて他部門の知見を借りたいときとか、「私はその立場ではないのに、こちらから他部門に指示して良いのか」みたいに悩んでしまったり。

それは「ある分野の調査を行うという指示」じゃなくて、「調査を手伝って欲しいという依頼」として、横の関係として話せばいいじゃないのかとともいます。

ここを解きほぐすのが、上下関係強い組織で育った人の課題かなと思います。

そこで、私がオススメするのが、やはり、言語化すること。今話していることは、「指示」なのか「連絡」なのか「相談」なのか「依頼」なのか、

瞬間的に上下の関係性を無意識に見出しちゃうことは止められないです。それで育ってきてしまったので。

なので、「無意識に上下を見出しがち」なことに自覚的になった上で、コミュニケーションに移る前に、「そこに上下の関係性が必要なのか」を一歩踏みとどまって考えることで、解きほぐしが出来るようになるのではと思います。

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