「お金をもらう以上プロだからな、ちゃんとやれよ」
私、アマチュア演劇やってるんですが、「お金をもらう以上プロだからな、ちゃんとやれよ」、という言、よく聞きます。言われたことも何度かある。
この発言に対して、言いたいことはいっぱい出てくるし、いっぱい出てくるがゆえにうまく反論ができないのですが、とりあえず「妙ちくりんな発言だなあ」と思っていることはここで伝えておきます。呆けた顔しているのもそのせいです。
まず、「プロだから」という言葉に、「そもそもプロとはなんぞや」ということが気になるわけです。
「プロ」という言葉からイメージするものは人によってばらつきがあると思います。
業界によってはライセンスなどで定義されていることもありますが、演劇においては制度としての「プロ」はありません。
お金と絡めて話する以上、「それを生業とし、お金を稼いでいる人」を「プロ」と称する、ということでいいのでしょうか。
しかし、例えば音楽業界なんか、まったく売れてない、食えないのに演奏の腕はプロと遜色ない、という人はゴロゴロいます。
逆に、まっずいのにずっと潰れないラーメン屋とかはどうなんでしょうね、それも「プロ」と呼んでもいいのかな。
実際に稼げているかどうか、ではなくて、「それ一本で食っていけるようになる覚悟」のことを言うことにすると、それは内心の問題なので確認のしようがないのではと思います。
ついでで言うと、サラリーマンは「プロ」じゃない、みたいな風潮がありますけど、サラリーマンでも自分に任された仕事にプライドとそれに見合うスキルを持って望む人はいます。すぐフリーランスでやっても通用するよ、っていう人。
なんというか、「プロ」という言葉を神聖視しすぎてる気がするんですよね。
「プロ」が偉くて、「アマ」は下っていう、なんかマウント取ってる匂いがする。
まあ、プロの方が人口は少ないのは間違いないですけど。
一応、僕の考える「プロ」の定義を披露しておくと。
「自分の仕事に適切に値付けをできる人」だと思ってます。
何か仕事を依頼されたときに、「これは何日かかります、お代はこれだけいただきます。」ということが言える人は、プロだな、と思います。
逆説ですが、100万で請けた仕事を一生懸命やって、200万円分の価値のものをアウトプットしたら、お客さんは喜ぶかもしれないけど、それは「200万円の仕事を50%OFFにディスカウントしてる」のです。
ディスカウントすれば仕事はもらえるけど、下の下策です。
ある演出家、プロと呼んで間違いがないと言える方が、「2時間のお芝居をつくるのに、◯◯の稽古に◯時間、◯◯の稽古に◯時間…」とばーっと仰っていたのを聞いたことがありますが、それは「プロだ!」と思いました。
で、演劇の現場での本音で言えば…「お金のことは度外視して、それぞれのポジションの人が全力の努力をしてほしい」です。ですよね?
これを劇団主宰の立場で口にしちゃうとやりがい搾取ですから言いませんけど。
プロの俳優で、「今回の舞台はチケット3,500円だからこれくらいの芝居で」って言ってる人見たことないです。そもそもプロの俳優そんなに見てないけど。
「プロ」っていう言葉で、これだけイメージの幅があるのに、「プロとはなんぞや」という事前の認識合わせもせずにいきなり持ち出すの、コミュニケーションの基本ができてないです。
話を冒頭に戻すと、「お金をもらう以上プロだからな、ちゃんとやれよ」って言う人、お金の話をしたいんじゃないでしょう?
「プロとはなんぞや」に関係なく、とにかく目前の舞台を一生懸命やってくれ、という意味のことを伝えたいのではと思います。
そのときに、使い慣れてない余計な語彙を持ち出すからおかしなことになるなあ、と思いました。まる。
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