シント=トロイデンが日本サッカーにもたらした功績
8月17日早朝。日本サッカー界にビッグニュースが飛び込んで来ました。
「遠藤航、リヴァプール移籍」
いや~、びっくりしました。
僕は欧州サッカーが好きなので、移籍情報も逐一チェックしているのですが、遠藤選手に関しては情報が一切なく、専門家もまさかのノーマークだったとのこと。まさに急転直下の移籍劇です。
ここ何年かは、ドイツ・ブンデスリーガのシュツットガルトのキャプテンとして、クラブの軸として活躍していた遠藤選手。
お世辞にも強豪とは言えないクラブの残留争いを助けたり、あるインタビューでは「家族のことを考えると環境の変化が難しい」的な事を言っていたので、今後もシュツットガルトと運命共同体でキャリアを歩んでいくのかなと思っていました。
ましてや、年齢は30歳。決して若くはないので、ビッグクラブに行くことはないのかなと勝手に決め込んでいました。
そんな矢先に飛び込んできた今回の報道。
ほんまにうれしいです。プレミアを好きになったきっかけを与えてくれたクラブは、日本人では初めて南野選手が所属したリヴァプールです。
そこに我らが日本代表のキャプテンが所属するなんて。。
スカッド的に見ても欲しい人材が入ったと思います。サッカー系YouTuberのレオザフットボールも、ファビーニョ、ヘンダーソンの抜けた穴を埋める人材が必要だと言っていました。
現地の評判はそこまで高くないようですが、遠藤選手にはそのプレーで、現地のサポーター達を認めさせてほしいです。
マジで今季のユニフォーム買ってよかったです。。
めちゃくちゃ応援しようと思います!!
と、前置きが長くなってしまいました。
今シーズン、イタリア・セリエAの強豪ラツィオに移籍した鎌田大地選手と、プレミアの強豪で昨シーズン2位のビッグクラブ、アーセナルに所属の冨安健洋選手。
日本代表の主力であるこの2人と遠藤選手にはある共通点があります。
それは、
シント=トロイデンでのプレー経験があることです。
シント=トロイデンとは、ベルギーリーグ1部に所属するクラブの事で、決して強豪ではない下位クラブ。
そんなクラブにここ6~7年の間、日本からやってきた多くの選手が所属を果たしています。
歴代所属選手の一覧はこちら。(太字は在籍中)
小野裕二(2015年7月~2017年1月)
関根貴大(2018年7月~2019年6月)
遠藤航(2018年7月~2020年4月)
冨安健洋(2018年1月~2019年7月)
鎌田大地(2018年8月~2019年5月)
木下康介(2019年1月~2019年7月)
鈴木優磨(2019年7月~2022年1月)
伊藤達哉(2019年8月~2023年6月)
シュミット・ダニエル(2019年8月~)
松原后(2020年1月~2022年6月)
中村敬斗(2020年6月~2021年2月)
橋岡大樹(2021年1月~)
林大地(2021年8月~※2023年6月からレンタルでニュルンベルク加入)
原大智(2021年8月~2022年6月、2023年1月~2023年6月)
香川真司(2022年1月~2022年12月)
岡崎慎司(2022年8月~)
伊藤涼太郎(2023年6月~)
小川諒也(2023年6月~)
山本理仁(2023年6月~)
藤田譲瑠チマ(2023年7月~)
鈴木彩艶(2023年8月~)
なんと総勢21人!ものすごい人数です。
なぜこんな事になっているのか。それにはある理由があります。
そもそもシント=トロイデン自体は1924年創設という歴史ある地元に愛されたクラブですが、2017年、日本を代表するIT企業のDMM.comが買収します。
日本企業が欧州トップリーグのクラブを完全に買収したのはこれが初めてのケース。
そこから、Jリーグでプレーする有望な若手選手を次々受け入れていったのです。
正直言うと以前は、「〇〇選手、シント=トロイデン移籍」の情報を見るたび、「またシント=トロイデンか。。」という気持ちになってしまってました。
あくまで表面的に見ると、やはり5大リーグの強豪の方が価値があると思えるからです。「もっと強い、有名なところ行ってくれよ」と。
しかし実際は、シント=トロイデンのあるベルギーリーグ自体が若手育成の場となるステップアップリーグで、シント=トロイデンも、無名の若手日本人にとって、イングランドやドイツなどの5大リーグにはばたくための欧州の玄関口になっていたのです。
それを、クラブやリーグ側も理解していますし、DMM.comのCOOでもあり、会長の村中悠介氏も最初からその展望でクラブ運営をしています。
ビッグクラブの買収を目指さず、ベルギーの小クラブにあえて目をつけ、若手選手の育成に力を注ぎ、身の丈に合った経営をし、それでいて強豪に移籍させるという結果を出しているので、本当に素晴らしいなと思います。
言語や地理的な問題、外国人枠がほぼないといった、なぜベルギーリーグに目を付けたかの理由を、村中会長自ら語っている記事(会長就任当初の5年前の記事)が面白いので、ぜひ興味ある方は読んでみてください。
先程挙げた3人の選手のステップアップは、まさに絵にかいたような成長曲線です。
・冨安健洋
シント=トロイデン→ボローニャ(イタリア)→アーセナル(イングランド)
・鎌田大地
フランクフルト(ドイツ)→シント=トロイデン※レンタル→フランクフルト(ドイツ)→ラツィオ(イタリア)
・遠藤航
シント=トロイデン→シュツットガルト(ドイツ)→リヴァプール(イングランド)
冨安選手は2021年にアーセナルに加入し、昨季はリーグ2位。今季CL。
鎌田選手はフランクフルトでEL優勝。昨季2位のラツィオで今季CL。
そして遠藤選手は、あのリヴァプール。CLこそ逃しましたが、世界のトップオブトップで戦うことが約束されました。
買収から約6年。今回の鎌田選手と遠藤選手の移籍は、DMMのシント=トロイデンが取り組んできた努力による成果の、一つの到達点だと思います。
去年のワールドカップ然り、やってきたことが実りましたね。
これらを見ていて思うのは、シント=トロイデンはものすごく日本サッカーの成長に貢献しているということです。
日本の協会やJリーグではなく、一民間企業がヨーロッパのクラブを買収し、育成し、次々にビッグクラブに有望な選手を送り込む。
ビジネスの世界から日本サッカーを強くするという意味で、DMMがもたらした功績はめちゃくちゃ大きいんだなと今回思いました。
自身もサッカー経験者の村中氏。彼のサッカービジネスにおける高い志に、日本のサッカーファンは感謝と尊敬の念を向けざるを得ませんね。
ということで、今シーズンのヨーロッパサッカー(個人的にはプレミア)がますます楽しみになってきましたね!
日本人選手を応援しましょう!
それでは、また!
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