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経営者のみなさん、ご自身のトリセツをどうされてますか?

「経営はメンタル」

ある経営者から聞いた言葉です。

起業家で投資家の友人は、最初の起業時に「自分の感情に名前をつけて、ポストイットに書いていた。例えば、資金繰りで不安な時はね…」という話を教えてくれました。彼の特技はPDCAとのことです。

また、他の創業経営者の友人からは「文章を書くのが好きで結果として経験学習に役立っている」と聞きました。経験をテーマにした事業を立ち上げた彼のブログは多くの人に読まれています。

経営者との対話にはメタ認知、経験学習を踏まえた自己理解や意識変容の話が多く含まれています。

私が1年間、取締役CFOとして試行錯誤した中で、経営者にとって大切なテーマである「自分(意識)の取り扱い」について分かったことをエピソードとともに書いてみます。

全ての経営者のインスピレーションになりますよう。

自己・自我・世界という自分

多くの経営者は3つの自分を自覚し、それらをしっかりと区分した上で統合しています。

3つの自分とは、自己、自我、世界です。一つ目の"自己"は観照意識。メタ認知をする自分です。二つ目は"自我"は見られる自分の意識。感覚・感情・考え・振る舞いを形作る一般的な自分です。最後の"世界"は拡張意識。すべてのものが繋がっている意識です。

色眼鏡とは自我のこと、「俺が正しい。お前が間違えてる。」は強すぎる自我の話ですが、自我(見方)がないと良い仕事はできません。

また、場やシステムとは世界のこと。例えば、「よい会議だった」とは自分を含めた場のことを示しており、自分の振る舞いが場にどのように作用しているかは大切な視点です。

このような自我や世界を俯瞰する意識が自己ですね。

この3つの自分を明確に区分し、統合して日々働くのです。

意識状態を開発している道の前半戦では、この3つが曖昧に溶け合い、しっかりと区分されていません。子供時代に自我が芽生え、自己と自我が絡み合い、世界からは孤立した(分かれた)存在だと認識するのが一般的です。

昨今、流行しているマインドフルネスとは、観照意識である自己が自我や世界に気づいている状態のことです。経営者の多くは生存戦略や創造性を発揮するためにそのような意識状態にいることを選択しています。

ただし、自我は自分ではない

どの自分(意識)も大切なのですが、ここでは自我に着目してみましょう。

自我を自分のひとつと説明しましたが、突き詰めて考えるとほとんど自分ではないです。なぜなら、自我は同じ状態にいることが絶対にないからです。

自我を構成する感覚も感情も考えも振る舞いも、全て変わりゆくものです。変わりゆくもののどこまでを自分として良いものでしょうか。一貫性を保っている感情、価値観、記憶が自分であるように捉えますが、そんな一貫性は怪しいものです。

この捉え方を踏まえて、二つの興味深い考察を紹介します。

ひとつ目は、自我のクリアリングが進めば、純粋な願いに触れることになります。それを元に歩むことは3つの自分が調和している状態になります。

ふたつ目は、自我のほどんどは自分ではないので、意見が対立した時には、意見を変えることにあまり躊躇する必要はありません。コトに向かえと言われたり、素直さが推奨される理由だと思います。

これらは、世界(すなわち場)のマネジメントに役立ちます。究極、自分が言っていることは正しくても間違えていてもよく、場から生成される意見が役に立つものであることが大切だと分かります。ただ、根の根の願いと繋がりながら振る舞うことに努めるのです。

ちなみに自我には顕在意識と無意識が含まれます。さらにその下にあるのが世界(つまり共通の意識)で、それら無意識や共通意識を顕在意識に引き上げる瞬間を気づきと呼びます。

自責の意味合いが変化する

自責についても触れます。

一般的に自責とは何かネガティブなことが起きた時に自分が原因を作ったというニュアンスで語られることが多いです。

ただ、三つの自己の区分・統合が行えると、すべての現象を自我が生み出している確信を持ちます。世界の全てに対する自責の意識を持つのです。

一見、これは責任が重くなり、波動が低くなるように聞こえますが、全く逆です。劇的に楽になります。すべての捉え方の決定権を自分に持つこと許すからです。自分の状態を喜びと信頼のちょうど間に起き続けることを意識するようになります。

この感覚は、葛藤、軋轢や決断経験を重ねていく中で、培われていくものかもしれません。

螺旋的な意識変容プロセス

このような自分の区分と統合を最初から行えるわけではありません。
一定のプロセスがあり、繰り返しがあり、螺旋のように変容していきます。

多くの経営者は、自分の責任で決断をして、うまくいかない困難な状況に向き合うことが求められます。一生懸命取り組んでいるにも関わらず、うまくいかない。

一つのステップは違和感に気づき、何かがおかしいと呟くことです。

二つ目のステップとして、そのような問いが立つときにまず外側に答えを求めるようになります。色々な書籍を当たり、フレームワークや知識を得ようとします。

三つ目のステップは、それでも問題が解決されず、意識は自分の内側に向きます。この内面の見つめ直しが、3つの自分の存在に気づく道に立たせます。

四つ目のステップは、過去のパターンに気づきます。中には切実な願いの切実な封じ込めの気づき、癒しも含まれるでしょう。

そして、五つ目のステップとして、自我は自分ではないという感覚や、自我の浄化のプロセスを通じて、外側の世界と調和する本当の願いに気づきます。

ちなみに、この自分の取り扱いに終わりはなく、螺旋的な学びの道を歩む事ことになっていそうです。上昇する螺旋のような繰り返しです。自我の浄化については以下のnoteに書いています。

さいごに

数年間の瞑想やボディワークを中心とした内観・内省の探究と現職の体験、経営者との対話の中で感じたことを書きました。

組織の変容はそれぞれのリーダーの内面が鍵を握るという話は本当かもしれません。まさに経営者自身が自分を理解し、トリセツを身につけていく道です。

コツコツとした内観内省、日々の仕事を繰り返す中で、時々、ドカンという大きな気づきが訪れます。その一つは、たとえば、自己と自我の分離と自我が自分ではないという気づきです。

最後に、気づかせていただいた場やご縁に感謝しています。

みなさまのインスピレーションにつながりますように。

おしまい

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