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【回顧録】社内の「面倒くさい」を解消する Step.5

2023年10月より、消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)が開始される予定になっています。

弊社は個人のお客様のみならず、法人のお客様(課税事業者)もいらっしゃることから、適格請求書発行事業者の登録を受けておく必要があります。

この前段で、2019年10月1日より、区分記載請求書等保存方式が開始されており、請求書や領収証などについて、この方式に対応した形式のものを作成することが求められています。

この制度変更のレクチャーを受けた2018年9月の段階では、請求書の発行は一部自動化していたものの、領収証の発行は複写式の手書きの領収証を使っていました。昔からの仕事の名残で、まだシステム化しなくて良いかなぁとシステム化することを見送っていたのでした。

インボイス制度下でも複写式の領収証が使えなくなるわけではありませんが、一つ一つの取引について細かく記載する必要があったり、税率ごとに対価の金額を集計して記載する必要があったりと、領収証を発行する者に一定の知識が必要となります。

これは絶対面倒くさいことになるし、トラブルが増えるぞ!

面倒くさいのが嫌いな私は、早速インボイス制度への対応をはじめます。

そう、請求書や領収証の発行について、手書きを廃止し、システム内で発行させることにしたのです。

この段階で、これまで作ってきた賃貸管理システムは、実質的にその枠組みを飛び越えて、総合業務システムへと変わっていくこととなりました。

税務にあまり詳しくないスタッフが操作しても、正しく区分記載された請求書が発行でき、その後その請求書の内容に基づいて領収証の発行ができることが求められます。

しかも、できるだけ短時間に、正確に、お安く、です。

まずは請求書が区分記載請求書等保存方式に対応できるようにシステムを整えていきます。

請求書の雛形を区分記載できるよう変更し、請求書データベースの仕様変更、請求書発行プログラムの手直しを行いました。

すでに賃貸契約では請求書を発行できるようになっていましたので、最低限の変更で賃貸契約以外の場合でも請求書が発行できるようになったのです。

請求書が発行できるようになったら、次は領収証です。

この時、システム上ではある問題を抱えていました。それはサーバー上で、かなり負荷のかかる文書作成方法をとっていたため、同時アクセスに向かず、また、処理時間もかかっていたため、多くの種類の文書を同時に作成、印刷させることができなかったのです。

これはシステムの抜本的な改善を必要とする状況でした。

ユーザー側にPDF等の文書を発行して印刷してもらうような仕組みはよく見かけますが、サーバー側で複合機に直接印刷指示をかけられるような仕組みはなかなか見かけません。

しかも、これは小冊子印刷+ホチキス止め、これは片面印刷(モノクロ)、これはパンチ穴を開けて片面印刷・・・といった具合に文書毎に印刷のさせ方を変える必要があるため、さらに難易度が上がります。

そこに付け加えて、領収証印刷ではレシートプリンターも使うことを検討していましたから、もう大変!

しばらくの間は印刷処理の基礎研究に没頭していました。(笑)

#いや本業やろうよ

サーバー上でどの形式で文書を作成するか?

どのシステム経由でプリンターにデータを送信すれば、希望する体裁で印刷させることができるのか?

最終的には文書はPDFで全て作成し、出力させたいプリンター、体裁によって、複数の印刷モジュールを使い分ける形をとることにしました。

このようにすることで、複合機に限らず、レシートプリンターやラベルプリンターも利用できる事となり、余談ではありますが、物件の鍵に貼るラベルは業務システム上から簡単な操作で印刷できるようになりました。

印刷指示を出すのにかかる時間は従来の方法の5分の1以下。サーバーにも負担をかけることなく、さくさくと仕事をこなしてくれます。

印刷処理の問題が片付いたら、今度は領収証を発行させる部分のシステム作りに入ります。

領収証はお客様をお待たせするわけにはまいりませんので、短時間で間違いなく作りきる必要があります。

今回の改良あたって、請求書にIDを埋め込んだQRコードを印刷しています。このQRコードをQRコードリーダーで読み取ると、該当する請求書データを取り込み、項目・金額・税額等を自動的に入力されるようにしました。後は、受領に関しての情報を追加すればOK。

お客様の状況に応じて、区分記載に対応したレシートタイプの領収証やA4サイズの領収書を発行できるようになりました。

しかも、入金のあった際には請求書を作成したスタッフに向けて、入金があった旨Slackで担当スタッフまで自動的に通知されるようになっています。

この請求書や領収証を発行させるシステム、今では更にパワーアップして、入金確認を行いやすくする仕組みを導入したり、スタッフが特定の経理処理を忘れると、処理を促してくれるような仕組みの導入をしたりしています。

今ではこれらのシステムはすっかり定着し、経理事務においても欠かせないものになっています。

業法や税制は定期的に改正されていくものです。これらの改正を見据えて、早め早めに対応しておくと、後で起きうる「面倒くさい」ことも低減・解消できるようになるでしょう。

一つ一つ改善は続きます。


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