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日本で一番お金持ちな上場企業は誰でしょう?

日本の株式市場に上場する企業の中でもっともお金持ちなのは誰でしょうか?

有名な自動車メーカーを思い浮かべる人もいるかもしれませんし、最近好調
な電機メーカーの名前を思い浮かべる人もいるかもしれません。

検索をしてみると東洋経済のこんな記事も出てきます。

実際に確認してみましょう。


現金の定義と分析対象

ここでは現金に類するものとして、「現預金」、あるいは「現金・預け金」とします。企業によって項目が異なりますが、ざくっとこんな感じで。「現金・預け金」と聞いて、勘の良い人ならこの後の展開も分かると思います。1週間前の私だと分かりませんでした。
この手の分析では有価証券も含めることがありますが、ここでは純粋に現金に近い項目のみとします。

対象は2022年中に決算を発表した企業である。連結決算の数値を用います。

3つの結果

結果は上場企業をどの範囲にするかによって異なります。

結果(1):最も現金を持っているのは銀行業

最も現金を持っているのは三菱UFJフィナンシャル・グループの114兆円(現金・預け金)でした。
預け金とは銀行特有の財務項目ですね。そもそも預け金とは何でしょうか。
全銀協の資料によると
「預け金……日銀預け金+ゆうちょ預け金+他の金融機関等への預け金+譲渡性預け金(譲渡性預金の預入、購入)(p.2)」
となっています。定義からすると日銀当座なども含んでいるようですね。
一般に現預金の大半は預金です。預金は銀行に預けているお金です。中央銀行は市中銀行と違うからか、現預金ではなくて預け金になるのでしょうか。
現金なのか預け金なのかの区分がされていませんでした。

ちなみに2023年決算の上場銀行業を足し合わせると478兆円の現金・預け金でした。多いですね。

では金融業を除いてみましょう。


結果(2): 非金融業で一番のお金持ちは日本郵政

金融業に区分される企業を除いた上で、再びお金持ち企業を探してみましょう。
段違いの現金を持っていたのは日本郵政でした。

郵便局が?

日本郵政は子会社にゆうちょ銀行を持っています。それもあってか現金・預け金合計は70兆円でした。
ここでも預け金、ここに来ても銀行。。


結果(3): 非金融業(日本郵政)で一番のお金持ちはトヨタ自動車

続いて日本郵政ものぞいてみましょう。
ここでやっと実感に湧く名前が出てきます。そう、トヨタ自動車です。

ちなみにトヨタ自動車の保有現金と現金同等物は7.7兆円でした。

結果のまとめ

ここまでの結果をまとめましょう
三菱UFJグループ  114兆円
日本郵政      70兆円
トヨタ自動車      7兆円

トヨタは日本を代表する企業なので、せめて日本郵政以上の現金を保有してほしいですね!

上場企業が持つ現金

上場企業全体での現金保有の総額は667兆円程度になりました。ここで注意しないといけいないのは、その大半が銀行だということです。

具体的には
金融業          478兆円
日本郵政      70兆円
その他上場企業 119兆円

となります。ほとんどが銀行が持っているものだと分かります。

先ほど紹介した東洋経済の記事では途中までは金融業になっていますが、その後はその他上場会社のみに限定してランキングを作っているのが大変ミスリーディングですね。


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