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【鑑賞記】まちへ出よう展@ワタリウム美術館

2021年、コロナ禍に翻弄され、経済や政治、コミュニケーションや人の考え方までもが大きな変化を余儀なくされています。そうした中、今回の「まちへ出よう展」は、屋外40箇所で展開した「水の波紋95」展を再び呼び覚まし、その源流となった作品をたどり、さらに2021年のアーティストたちが集結、様々な方法や時代精神を作品に託し、それら全てが融合し、次なる波紋へと広がって行くことを目指しています。

まちへ出よう展 〜それは水の波紋から始まった〜/展示内容より引用

「水の波紋95」展の開催当時の私は高校1年生。
都会の洗練されたJKではなく、どちらかというとオタクの領域に踏み込んでいたので、こんなオシャレエリアの展覧会など知る由もなく過ごしていたのでした。
今回の展示で「水の波紋95」展のニュース映像などのアーカイブを見て、
「うわぁ、いいなぁ!」
と、単純に生まれた年代を恨めしく思ったり。
いいなあ、体感したかったなあ。

「水の波紋95」展は知らなかったんですが、絵画作品ばかりに目を向けていた私が、インスタレーション・アートなるものを知って、「ナニコレ面白い!」と認識を改める体験をした展覧会が、ワタリウム美術館で1999年に開催された「エンプティ・ガーデン展」だったりします。
その時に見た作品に、今回の「まちへ出よう展」で再会できたのが個人的にうれしいポイント。

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カールステン・ニコライ「ケルネ」(1999)
観覧してる人が少なかったので、この展示スペースで1人じっくりと堪能。
床に設置されたスピーカーから出るノイズが心地良いんだけど、たまに音が展開してハッとする。
「エンプティ・ガーデン展」で私のハートを鷲掴みにしたのが、カールステン・ニコライの作品。中でも「インサイド・アウト」という作品が出展されていたんですが、これはショルダー・スピーカーをかけて電子音と現実の音が混じり合う状態で、美術館を出て作品リストを片手に街を歩くという作品。
「とにかく何だか面白い体験をした」という感想を大事に持って帰ったのでした。
今回も「インサイド・アウト」は出展されていたんですが、さらっと紹介程度。
惜しむらくはスピーカーの貸出が中止になってたこと。会期序盤は貸し出していた様子。コロナが憎い。

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写真奥から
ホワン・ヨンピン「避難はしご」(1992)
松下徹「Long Circuit」(2021)
DIEGO「名前のない道」(2021)
キース・ヘリング「壁画(部分)」(1983)
壁画の下のモニターでは、キース本人による壁画制作時の映像と、その壁画を保存する作業の映像が2分割画面で流れてました。
80年代の映像がエモい。
壁画の保存作業もすごい。

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作品説明のパネルにQRコードが書かれているんですが、これを読み込むと作品にまつわる物語や説明が聞けるようになってます。なんと館長の和多利恵津子氏、代表の和多利浩氏が自ら説明をされているんです。
なんかこう、さらっとすごいエピソードぶっこんでますよね?って気分になります。

まちへ出よう展は6/11まで。
次回展覧会も楽しみに待ちたいと思います。

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