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LGBTを拒絶した過去の自分

時は遡り、10年前、大学の頃の話。私は男性だけども、男性に好意をもたれていた。それを友人は馬鹿にしたし、私も「気持ち悪い」と正直思っていた。先輩のいたずらで、PCの壁紙がその男性に変えられていたこともあった。これに対しても、私は笑って「気持ち悪い」と言った記憶がある。昔話…と一言で片付けることもできたが、最近その話を思い出して、当時の自分に対する嫌悪感がすごい

2015年に渋谷区で、同性カップルに対し結婚に準じる関係と認める「パートナーシップ証明書」の発行が可決されたことが話題となった。これを皮切りに、日本でもLGBTに対する見方は、ずいぶん変わってきたと思う。私自身も、勝手に”普通”を決めつけていたことを、猛省した出来事だった。そして、その男性に心から謝罪したいと思います。Uさん、ごめんなさい。

LGBTとは

LGBTについて、自分の中でも意識は変わったと感じることは多くあるものの、ちゃんと勉強できていないな、理解できていないな…と思うこともあります。事実、冒頭で「男性だけども、男性に好意をもたれていた」という書き方をしていることに、完全に意識が変化したわけではないと感じています。過去を反省し、これからも目を背けずに向き合っていくために、改めてLGBTやレインボーフラッグの意味を調べました。

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LGBTとは、Lesbian(レズビアン、女性同性愛者)、Gay(ゲイ、男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル、両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー、性別越境者)の頭文字をとった単語で、セクシュアル・マイノリティ(性的少数者)の総称のひとつです。

上記は、「TOKYO RAINBOW PRIDE」のサイトから引用しました。まさに、LGBTについて考えることができる「プライドウィーク(2021/4/24~5/5)」の真っ只中ですので、ぜひアクセスしてみてください。

日本の人口の約7.6%がLGBTと考えたら、周りにも必ずLGBTの方がいらっしゃったことになります。『世界がもし100人の村だったら』にも、

90人が異性愛者で、10人が同性愛者です。

という一節がありました。しかし、感覚値としてそこまで多くないことを考えると、カミングアウトできない人の多さも伺えます。無意識に傷つけていたことがあるかもしれないと、この数値は教えてくれます。

また、最近ではLGBTに代わり、SOGIという言葉で表現されることもあるそうです。「Sexual Orientation(性的指向)and Gender Identity(性自認)」の頭文字から撮った言葉で、誰もがそれぞれのセクシュアリティを持っているという考え方に基づいています。ちなみに、たまに耳にするLGBTQの「Q」は、Questioning(クエスチョニング)で、性的指向や性自認がはっきりしない、決められない、あるいは悩んでいる状況にある人を指すようです。

レインボーフラッグ

ファミチキの袋が期間限定でレインボーカラーになったことが、記憶に新しいですが、このレインボーカラーにも色々と理由があるみたいです。

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そもそも、6色構成ということすら知りませんでした。(私と同じように、レインボー=虹色に引っ張られ、7色だと思っている人も多いと思います)ただ、レインボーフラッグが作られた1970年代はなんと8色構成で、それぞれの色に意味合いもあったそうです。

ピンク:sexuality (セクシャリティ)
赤:life (生命)
橙:healing (癒し)
黄:sunlight (太陽)
緑:nature (自然)
ターコイズ:magic/art (魔術 / 芸術)
藍:serenity/harmony (平穏 / 調和)
紫:spirit (精神)

そして現在は【赤、橙、黄、緑、藍→青、紫】の6色が基本ですが、大量生産(印刷技術の問題)のために、8色から6色に減らすことになったそう。フラッグが広めていくために、色もアップデートされているという歴史がありました。作者の柔軟性に、感服です。レインボーフラッグの歴史や、他のセクシュアリティに関するフラッグ(すごくたくさんある!)など、We Think (Shibuya)の「自分らしく生きるプロジェクト」内にまとめられていたので、ぜひご覧ください。

日本とLGBT

日本では、LGBTに対する差別を禁ずる法律は存在しません。そして、G7(フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、イタリア、カナダ)の中で唯一同性カップルの結婚に準ずる権利を認めていないLGBT後進国です。

国を引っ張る政治家が、「LGBTの人たちばっかりになったら国はつぶれる」と、足を引っ張る発言をしてしまうような国です。

ただ先月、札幌地裁が、同性婚を認めないのは「違憲」とする判断を示すなど、多様性に対する空気は大きく変わりつつあることは肌で実感できます。

その意識が変わってきた要因のひとつに、多くの企業がダイバーシティへの取り組みや、多様性への理解を示していることがあると思います。次からは、そんな企業のLGBTに関するコミュニケーションについて、個人的に好きな事例をまとめました。

HIDDEN FLAG

ロシアには、LGBTを辱める国の方針がある。2013年、子どもを守ることを目的として、同性愛宣伝禁止法という法律が制定されている。そもそも何から子どもを守っているのか謎だが、前述したレインボーフラッグを公共の場で掲げることも禁止されている。

このキャンペーンは、スペインの人権団体とニュースメディアがサッカーW杯ロシア大会に合わせて立ち上げたもの。スペイン(赤)、オランダ(橙)、ブラジル(黄)、メキシコ(緑)、アルゼンチン(青)、コロンビア(紫)と6色のユニフォームを着たLGBT活動家が、街や観光地をまわり、合法的にロシア政府に抵抗した最高にクールな事例。裏をかくって気持ちいいですね。

#PrideHair​

「なりたい髪を叶えることによって一歩前に踏み出す勇気を与える」ヘアケアブランドPANTENEの事例。2018年よりブランドメッセージ「#HairWeGo さあ、この髪でいこう。」のもと、ひとりひとりの個性について考えるきっかけづくりをキャンペーンとして展開しており、「#この髪どうしてダメですか」「#1000人の就活生のホンネ」も大きな話題を呼びました。

トランスジェンダーの元就活生の体験談、そして何より一歩前に踏み出し、自分らしく生き生きと話している姿は、心を掴まれる。私も新卒採用の面接をすることがあるが、今までLGBTの人たちがいるかもしれないなど、考えたこともなかった。無言の同調圧力の一部になっていたのかもしれない。履歴書の「男・女」の性別選択の必要性も考えさせられる。

この性を生きる。 

東海テレビの「見えない障害と生きる。」の時も思いましたが、当事者が語るチカラは、本当に強い。特に「みんなが普通に送っている日常って、私はすごい幸せだと思ってて。それをやっぱり私は手に入れるまで、死ねないと思ってて」という西原さつきさんの言葉が印象に残る。ドキュメンタリー調という、テレビ局ならではの見せ方も、LGBTのみなさんの「覚悟」がしっかりと伝わってくる優れたCMだと思いました。

Love is love ❤️

コカ・コーラのハンガリーでのキャンペーン。LGBTの方々が、愛は愛であり、どんなカタチであっても変わりはないもの、を表現しています。同性婚を認めない政党からの批判等もあったそうですが、広告を取り下げない、姿勢を変えないコカ・コーラは素晴らしい。それと同時に、多様性を歓迎するブランドであることを示しつつ、

Zéró Cukor, Zéró előítélet(糖分ゼロ、偏見ゼロ)

というコピーを添えて、商品にも落としているのが素晴らしいですね。

Love is love ❤️

Posted by Coca-Cola on Sunday, August 4, 2019

あたりまえのことを、あたりまえに言える時代へ。

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2020年の国際カミングアウトデー(そもそもそんな日があるの知らなかった)にあわせて、Netflixが掲出した広告。LGBTの方が出演する作品のワンシーンと台詞で構成されたグラフィックも美しいが、個人的には以下のコピーが好きです。

10.11 COMING OUT DAY
この日、観てほしいシーンがある
どんな相手を愛し、どんな恋愛を望み、
どんな自分らしさを求めるのか。
それは、一人ひとり違う。
自分らしく、ありのままに生きることは、
誰にも否定できないということを、
このシーンは教えてくれる。
10月11日は、カミングアウトデー。
いろんな性のあり方を認め合い、
誰もがオープンにできる世界を語り合おう。
違ってあたりまえ。
そう思う人が増えれば、
カミングアウトなんていらない。
それは、自然な会話のひとつになっていく。
あたりまえのことを、あたりまえに言える時代へ。
NETFLIX

「あたりまえのことを、あたりまえに言える時代へ。」そんな時代に近づくための一歩として、LGBTに関連するコンテンツは重要な役割を果たせると思いました。映画等のコンテンツであれば、視聴ハードルも低いので、多くの人がLGBTについて考える機会になる。第44回日本アカデミー賞の最優秀作品賞に輝いた『ミッドナイトスワン』も早く(Netflixで)観たい。

今度、あたりまえのことを言われたときに、「気持ち悪い」と思わずに、思いやりの心をもてるか。あたりまえに、自然な会話ができるか。次は自分に誇りを持てるように。

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