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オライリーの Designing Voice User Interfaces を読んでいる(2章Part2)

今回は第2章のPart2。会話のデザインに使われるツールについて紹介する。

まずは定番Sample Dialogについて。

- Sample Dialog

Sample Dialogは登場する話者同士の会話のやりとりを脚本のように書き出したもので、基本的には2人の話者(たいていはユーザーさんと音声アシスタント)が登場する。

「会話のやりとりを書き出す」ことから、「ある発話にはこう返す」ような単発の会話のやりとりではなく、会話全体をデザインすることになる。

VUIに限ったことではないと思うが、個々の点だけでデザインをしようとすると全体で見た時に不自然に感じるようなものが生まれがちだからだ(凄い安直な例だと口調が発話ごとに変わってしまうとか)。

Sample Dialogを作成する際には、5つくらいのbest pathを書き出すといいらしい。best pathとはユーザーさんは全てこちらの想定通りの発話をし、音声アシスタント側も特に何もエラーを起こさない場合での会話のやりとりだ。そのアシスタントが提供する機能が何かを把握するのに役立つと思う。

加えて、いくつかのエラーケースも書き出すことが大事と書かれている。
個人的に思っているVUIの大きな辛いポイントの1つに「Undoのしづらさ」というのがあり、例えばモバイルアプリだと右にスワイプすれば簡単に戻れるけどVUIだと辛かったりする場合がある。「戻る」って発話させるのなんかイケてないし現実の会話じゃやんないし。

Sample Dialogを書き上げたら、話者を用意して読み上げてみると色んな発見がある。文章だと違和感ないけど読み上げてみると意外とおかしな言い回しがあったり、一息で読み上げるの無理だなぁと気づいたり(One-breath testという言葉があるくらいには重要)。

- Visual Mock-Ups

VUIをモバイルアプリなどに適用する場合には、視覚的な情報と剥離してしまわないようにVisual Mock-Upsもしっかり用意しておくべきだと書かれている。
もしGUIとVUIをデザインするチームが別々の場合、できるだけ早いうちに相互に密なコミュニケーションを取れるようにしておくといいとのこと。

- Flow

さまざまなパターンのSample Dialogを書いたら、今度はこれをFlowに落とし込んでいく。

どうやるかっていうと、イメージとしては会話の路線図を作成するような感じ。ユーザーさん(もしくはアシスタント)の発話をスタートに、想定されうる会話のやりとりを図示していく。

どこまで細かくやるかは断言はできないが、細かい言い回しを全て書き出すのはあまり意味がないので代表的な発話1つにするとか、グルーピングしてAlexa SkillやActions on Googleでいうところのインテントで書くのもあり。

個人的には、ここでは発話の内容ではなく、全体を俯瞰してエラーを考慮できてない部分はないかとか、無駄なインタラクションが無いかとかを見るのに大事だと思っている。

今回はここまで。次回は実践的なTipsを紹介していく。

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