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線をなぞれない

本を出版したいと思ったが、調べれば調べるほど自分の身の程を知ることになる。

大学生、しかも不真面目で、やりたいことしかできない、いや、やりたいことしかやらない俺にはあまりお金に余裕はない。

楽しそうにしてる人を見て、こいつかっこいいな、こんなかっこいい人になってみたいとも思うが、はてそれにかかる努力、自分を削ってまでしてそのあなたのかっこよさを得たいとも思えない。

何かに本気になれる人はかっこいい。

自分の将来を考えてみる。

どんな大人になりたいのか。

俺は近くで、必死になって血を文字通り吐きながら仕事をする人を見てきた。俺のために。

でもそんな大人にはなりたくないんだ。

いつかこれが終わるまで、書き続けよう。

人生、ほとんどと言っていいほどに物事が続いた試しがない。それは自分が生まれながらにして持った特性のせいでもある。それを理解するということに自分でも時間がかかったし、周りはきっと飲み込むということに果てしない労力を使っただろう。

俺は小学校で初めて出た宿題、入学式の後にみんなに配られた点線をなぞるという、それができなかった。

できないことができないと言えない苦しみは、今もなお誰にも伝わらないだろう。

笑いに変えることができる日まで。

俺は線をなぞれなかった。

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