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病気(身体障害者)をオープンにするべきかクローズにするべきか

私自身、最初に網膜色素変性症とアッシャー症候群と診断されてから、最初の1年半は病気のことを親しい友人や仕事関係で知っておいてもらった方が良い人以外にはクローズにしていました。時間が経つにつれて少しずつ病気(障害)があることをオープンにするようになり、現在に至っています。

クローズにしたのは最初に身体の異変を感じた時の同僚の心無い発言が理由

私の持っているアッシャー症候群は内耳の機能が低下する病気でその症状の1つに平衡機能の障害があり、目眩もあります。仕事の差し障りのあるくらいに目眩が悪化した際、当時の同僚に「目眩があるって、どう扱ったら良いかわからないから、何をして欲しいか書き出して」と。正直、私の当時の状況にはとても重い気持ちになる言葉でした。その時の同僚の哀れなものを見るような冷たくて軽蔑すら感じる目線を私はいまだに忘れることができず、トラウマになっています。
一方で、同じタイミングで、明るい笑顔で励まそうと接してくれ、心を救ってくれた友人もいました。
それ以降、理解のある一部の人を除いて、クローズにする事がベストだと重い、それ以降、病気についてクローズにする事を決めました

クローズにしていた頃の苦労

目眩と耳鳴りの症状は何とかやり過ごせるようになりましたが、網膜色素変性症で視野が狭いので、クローズにしている相手の目の前で段差で転んだり、電柱に正面衝突したりが幾度となく起きました
目が正常な人が電柱に正面衝突するなんて、単なるおっちょこちょいでは説明のつかない状態です。そういった事件を起こす度に苦しい言い訳を考えなくてはなりませんでした。
そういった事がある度に、病気をオープンにした方が良いのかと悩みましたが、考える度に、元同僚のあの目線を思い出してしまい、なかなかオープンに出来ずにいました。

オープンにしたきっかけは白杖

そんな私がオープンに病気のことを周りに伝え始めたのは、白杖を持ちたいという気持ちが強くなったからです。白杖を持てば周囲には、病気のことは伝わる(というか目に見えてわかるようになる)ので、話し方に注意をしながら病気のことを伝えるようにしました。特に、白杖を持つ=全盲と考えている人も非常に多いため、なぜ白杖を持っているかも伝えることで、間違った理解が広がらないように最善を尽くすようにしています。

網膜色素変性症を伝える難しさ

私は周囲に病気のことを伝える時に、言葉を選ぶだけではなく、
私の目の病気網膜色素変性症は、難病情報センターのホームページにもこのように書かれています。(Googleで最上位の検索結果に表示されることが多いページです)

病型により異なるが、全て両眼性進行性で、早いものでは40代に社会的失明状態になる。医学的失明(光覚なし)に至る割合は高くない。60代でも中心に視野が残り視力良好例もあるが、視野狭窄のため歩行など視野を要する動作が困難となり生活に支障を来す。白内障など、合併症による視力低下の一部は手術によって視機能が改善する。

難病情報センター: https://www.nanbyou.or.jp/entry/337

網膜色素変性症について調べると、社会的失明という言葉が多く出てきます。この言葉を読んだ時、多くの人は社会生活を送ることができない目の状態になることをイメージすると思います。実際の社会的失明の定義は、一般的なアメリカの定義に基づいて矯正視力が0.1以下のことを言うそうです。私自身、矯正視力が0.1以下なので、社会的失明に該当します。確かに外を歩くことには白杖は必要ですが、それは視力ではなく、視野が原因です。また今の視力であれば、スマホやパソコンは問題なく使えています。元々視力が悪いので、視力が悪い中で生きることに慣れている事もあり、特に社会生活には支障がありません。
しかし、誰かに網膜色素変性症であることを伝え、相手の方がGoogle検索をすれば、社会的失明と白杖を結びつけて、この人は社会生活を送るのは難しい人なのかと考えると思います。

私は、目の病気について話す時、下記のことを伝えるようにしています。
私は、網膜色素変性症という目の病気があります。視力、視野に障害があるとともに、眩しいところや暗いところでは、目がほとんど見えません。視力については、メガネをかけても0.1は見えずです。遠くを見るのは苦手ですが、近くを見る分には問題なく、スマホやパソコンは問題なく使えます。視野はとても狭く、カフェに向かい合って座って、相手の顔が70%くらいしか見えないくらいの視野しかありません。視野が狭いので、歩いていて物にぶつかるので、白杖を使っています。とはいえ、一点集中型では見えているので、白杖さえあれば一人で歩くことも多くの場合問題なくできます。治療のない病気ですが、生活習慣を整える事は病気の進行を遅くするとは言われているので、生活習慣に注意して、病気の進行を遅くするように心がけています。

上記のように伝えることを続けた事で、誤解を受けるリスクは最小限に軽減できているのかと思います。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 

クローズにするべきかオープンにするべきか

私自身は、障害をオープンにしていく事をおすすめします。特に、白杖や義足、車椅子など周囲から障害があるとはっきり分かる道具が必要な人は、特にオープンにした方が良いと考えています。
身体障害者であるアイコンが外から見えた時に、多くの人はそれぞれの人が持つ固定観念で見て、こういうヘルプが必要だと考えます。
白杖であれば、白杖=全盲という固定観念もありますし、義足や車椅子だと移動への制約のある人だと考えると思います。
だからこそ、正しい情報を伝えることってとても大事だと私は考えます。そして伝えるべき情報は、ただただ何に困っているかリストではなく、どういう状態で、出来ない事はなぜ出来ないのかを正確に伝えるのがベストだと考えます。

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