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輝くもの全てが金ではない

Dr. Geert Vanden Bossche 2023年9月14日投稿
All That Glitters Is Not Gold
の翻訳です。原文を参照の上ご利用ください。

自分が正しくて、世の中の波が間違っていると分かっていながら、その波が自分に押し寄せてくる。これほど無力感に苛まれることはない。—— ノーマン・メイラー

このパンデミック——WHOによれば、現在ではほぼ収束している——が、エリート集団の科学者たちによってどのように認識され、解釈されているのか、嘆かわしい限りである。彼らが自己矛盾に陥ろうが、彼らの "進化した "洞察に論理的な説明を与えようが、一方的な意見を持とうが、それはもはや問題ではない。彼らの研究機関は資金と論文で溢れかえっており、だからこそ、彼らは科学を独占しているように見えるのだ。——そのプロフィールを、たとえばギアト・ヴァンデン・ボッシェと比較してみよう。学歴は獣医で、目立った論文はなく、大学やその他の科学機関に所属しているわけでもない。この男は世捨て人であり、彼の主張する怪しげな見解は、似非科学的なその著書と彼自身の怪しげなウェブサイトで発表されるだけである......。 現在、大衆とその主人である主要メディアが用いている判断基準はこれである。今や使われなくなった、あるいは忘却の彼方にある古風な感覚、つまり「常識」には、もはや誰も頼っていないようだ。この感覚は、なぜSARS-CoV-2のような、かつてなく最も驚異的で理解しがたいウイルスが出現したのか、なぜそれに対する免疫反応が他の急性ウイルス感染症に対する免疫反応とこれほど違うのか、そして、病気は防ぐが感染は妨げないという新しい形の「集団免疫」をどのように誘導したのかという現状をとても不思議だと告げている。同じ常識はまた、明らかな利害関係があるために、恥ずかしげもなく、パンを与えてくれる人々を代弁し続ける声の大きい人々が常に真実を語るわけではないことも教えてくれる。また、複雑な問題は、通常、一面的なアプローチや、世界最高の専門家や熟練者たち——彼らは長い間に木を見て森を見ずになっている——によって解決されることはない、ということは考えるまでもないことだったのだ。

科学は時として、仮説から始まり、その問題に関わる様々な学問分野に特有の既存の理論や法則に基づく手法によってのみ、真実を明らかにすることができる。このことは、広く受け入れられている。この、いわゆる「演繹的」科学的手法は、予測された分析結果を、関連する各分野における可能な限りの観察結果と照らし合わせ、仮説やその具体的予測を検証する。数多くの多様な観察結果がこれと一致すれば、予測の正しさを否定することはますます難しくなる。(「不可能を排除したとき、残るものは何でも、どんなにあり得ないことでも、真実に違いない」——シャーロック・ホームズ——アーサー・コナン・ドイル)

庶民だけでなく科学者も、もはや全体像を理解していないからこそ、ワクチン推進派、否定派、単独派、全体派を問わず、両者の間で乱暴な理論がまかり通っているのである。 彼らはウイルスの進化力学と免疫系の適応反応を理解していないため、多くの陰謀論が沸き起こり、意図的な遺伝子操作によってパンデミックがどのようにもたらされ、その後、ワクチン産業によって「オミクロン」変異株という形で、どのように人為的に維持されたかが説明されている。つまり、「オミクロン」変異株は、ウイルスへの新たな遺伝子介入の驚くべき結果だというのだ!(Raw data for "Unnatural evolutionary processes of SARS-CoV-2 variants and possibility of deliberate natural selection" | Zenodo; Could Omicron Have Been Intentionally Engineered and Released? (substack.com))。彼らはまた、SARS-CoV-2が最終的に示すことになる病原性の増加は、また別の遺伝子操作の結果にほかならないと主張するだろう。——ワクチンによって十分な利益が「新世界秩序」の立案者にもたらされたから、「新世界秩序」は「慈悲の一撃」を計画したのだ、というわけだ。

さらなる科学的名声と栄光を求める人々によれば、ウイルスは驚きを与え続けている。このことは、最近一部の著名な科学者たちによって示された壮大な結果の解釈(https://www.msn.com/en-us/health/other/early-lab-tests-suggest-new-covid-19-variant-ba286-may- be-less-contagious-and-less-immune-evasive-than-feared/ar-AA1gbO2l )が、Covid-19ワクチン製造業者によってワクチン接種の虚偽宣伝をさらに盛り上げるために熱心に利用されていることからも明らかである(https://investors.modernatx.com/news/news-details/2023/Moderna-Clinical-Trial-Data-Confirm-Its-Updated-Covid-19-Vaccine-Generates-Strong-Immune-Response-in-Humans-Against-BA.2.86/default.aspx)。彼らもまた、現在では異なるアプローチをとっているようだ。これらの研究者のうち少なくとも一人は、最近までワクチン接種者や自然感染者の交差防御はT細胞によるものだと断言していたのだが、今では——「まったく予想していなかったと彼は述べているが——現在流行している最も奇妙な変異株から集団が守られているのは、血液中に存在する抗体の中和活性!によるものだと考えているようだ。彼らは、Covid-19ワクチン接種者またはXBB感染から最近回復した人の血漿サンプルを用いて行ったウイルス中和アッセイの結果に基づいて、この結論に達した。

このような異質な変異株(FL.1.5.1、AA.2.86*、 EG.5...)が、Covid-19ワクチン(XBB.1.5を標的とした最新のワクチンを含む)や、これまでのオミクロン子孫株への感染によって誘導された抗体によってどのようにして中和されるのか、誰も理解していない。これはウイルス学や免疫学の想像を超えるものである。とはいえ、中和アッセイは独立した2つのラボで実施され、さらに繰り返し実施されたが、まったく同じ結果が得られており、この結果の正確さに疑いの余地はない。しかし、なぜ誰もこの安直な解釈に眉をひそめないのだろうか? 例えば、この中和とされる現象が生体内でも起こるのかどうか、また、保証された病気に対する防御が長続きするものなのかどうか(言い換えれば、免疫学的記憶を持っているのかどうか)、誰も疑問に思わないようである。突然、免疫逃避変異株説が否定されたのである! しかし、現在流行している変異株と以前流行していた変異株との差が大きければ大きいほど、私たちの免疫系がより効果的に変異株と闘うことができるというのは、一体どういうことなのだろうか?
*[訳者注:BA2.86のタイプミスと思われる。]

私が著作で繰り返し述べてきたように(https://www.anhinternational.org/news/whats-driving-turbo-cancers-and-autoimmune-flare-ups/; https://braintrain.mykajabi.com/the-inescapable-immune-escape-pandemic [邦訳「回避不能な免疫逃避パンデミック」])、これまでにオミクロン感染(例えばXBB変異株によるもの)から回復した人は、免疫再集中が起こる結果、広範な中和抗体を獲得する。一方で、現在流行しているオミクロン子孫株によるワクチン・ブレイクスルー感染を経験したCovid-19ワクチン接種者は、アイソタイプスイッチした、広範な交差反応性のIgG4抗体価の上昇を示す。これらの広範な交差機能性抗体は、スパイクタンパク質上の免疫劣勢中和エピトープに向けられている。生体内で、これらの抗体がウイルスに結合できるのは、以前のオミクロン(または、その子孫による)感染、またはワクチン接種によってプライミングされた者にブレークスルー感染が成立した後なのである。それは、オミクロン(または、由来)ウイルスが、あっという間に感受性上皮細胞に取り込まれるため、これらの交差中和抗体がウイルスに結合するのが間に合わないためである。しかし、in vitro(実験室)で行われるウイルス中和試験では、まずウイルスを、血漿または血清に含まれる抗体としばらく培養してから(前培養の時間は通常30分から数時間)、この懸濁液を感受性細胞に撒くのである。この方法であれば、より保存された免疫劣勢なスパイク関連ドメインを標的とした広範な中和抗体は、実際に、in vitroにおいて、広範な変異株と反応し、中和することができる(研究者らは、収集した血液検体が、10種類のオミクロン亜株に対して有意なウイルス中和活性を持つことを示した)。これらの抗体はスパイク・タンパク質の免疫劣勢領域(スパイク・タンパク質のレセプター結合ドメインの外側に位置する)を標的としているため、その中和能力は参照論文で述べられているようにかなり弱い(https://www.msn.com/en-us/health/other/early-lab-tests-suggest-new-covid-19-variant-ba286-may-be-less-contagious-and-less-immune-evasive-than-feared/ar-AA1gbO2l

したがって、これらの科学者が示したin vitroでの中和データは人為的なものであり、当面の間、集団の大部分を守るであろうin vivoにおける発症防御を説明することはできない、というのが私の結論である。自著で述べたように、Covid-19ワクチン接種者において重症Covid-19疾患に対する防御効果が持続している原因は、多反応性非中和抗体(polyreactive, non-neutralizing antibodies: PNNAbs)に求めるべきである。これらの抗体は、ワクチンによって誘導された抗体のウイルス中和能が低下した結果惹起され、Covid-19ワクチン接種者での病原性を抑制する効果を持つ。ワクチン由来抗体が減少するにしたがい、これらの多反応性非中和抗体の生成も時間とともに減少していると推測できる。これらの抗体は寿命が短いので、ワクチン接種集団の大部分において、もはやウイルスの病原性を最適に阻害できないレベルまで濃度が低下している可能性も高い。一方で、ウイルスの蔓延状況は依然として厳しい。というのも、循環している変異株は感染性が高く、Covid-19ワクチン接種者によって無症状で伝播されうるからである。そのため、ウイルスの病原性に対する多反応性非中和抗体による免疫圧力が、広範囲で不十分になると、ワクチン接種者において高い病原性を発揮する新たな変異株が出現し、ワクチン接種率が高い集団で超急性(すなわち、多反応性非中和抗体による高いウイルス感染性の保持による)かつ重症のCOVID-19が広く発生することが懸念される。しかし、世界的に有名な科学者や専門家によれば、何も心配することはないという。彼らの目を見張るような、しかし予想外の研究結果に基づいて、彼らは、これらの新しい変異株は、それ自身の生物学的特性に対して有害な変化をしたと集団に信じさせているのである!彼らは「これはオミクロンの再来ではない」とは理解しているが、これがヒビクロン(Hivicron : Highly Virulent Omicron descendant:強毒性のオミクロンの子孫)の最初で唯一の到来になるということを理解していない。

一見、目を見張るような変異株が繰り返し出現し、同様に謎めいた免疫反応が起こるのは、高率にワクチン接種された集団がウイルスに及ぼした、絶えず変化し、進化する免疫選択圧力の結果に過ぎないことに、誰も気づいていないようである。SARS-CoV-2の感染性に対するこのダイナミックな選択圧力は、当初は、パンデミック時に、スパイクタンパク質(偶然にもSARS-CoV-2の感染性の原因となっている)を用いた、ウイルスを排除できないワクチンを集団ワクチン接種した結果として生じた。この免疫選択圧力によって、最終的にオミクロンが自然選択され、優勢に広がった後、ワクチン接種者に生じたブレークスルー感染の間接的な結果として、新たな選択圧力がオミクロン自身によって生み出された。

集団ワクチン接種の免疫学的帰結を理解しない者は、オミクロンの登場によって、集団免疫を発達させる機会が、取り返しのつかない形で消え去り、代わりに集団ワクチン接種が、全世界の人々をモルモットにした前代未聞の生命を脅かす「機能獲得」実験に変わった理由も理解できないだろう。オミクロンが夜中の泥棒のように現れたように、ヒビクロンもまた社会を驚かせるだろう。

私の意見では、陰謀論を支持したり、個別の研究結果を性急かつ安易に解釈して個人的な学問的利益を得ようとする行為は、すべて、時間と金(かね)の浪費である。現在、ほとんどすべての人が、本当の標的ではなく餌に集中している。ウイルスの大規模な免疫回避に対する免疫システムの複雑な適応について熟知していない者は、資格や肩書き、教育水準に関係なく、予測や予想を行うことを控えるべきだということを、人々が認識すべき時が来ている。その傲慢さ、すべてを知っているかのような態度、一貫性のないメッセージや結論によって、彼らは自分自身だけでなく、人々の目もくらませてしまう。こうして、彼らはまたしても、彼らの推奨に基づいて予防接種を受けた大多数の人々を完全に欺くのである。間もなく、Covid-19とCovid-19ワクチン関連免疫介在性疾患の両方による過剰死亡がワクチン接種者(すなわち、ワクチン接種のタイミングによって自然免疫を構築できなかった多くのワクチン接種者)に多発することが統計で示されるようになるだろう。そうなって初めて、人類が新しい社会を築く基盤として、かつて憎悪されたワクチン非接種者に頼る必要があることが否定できなくなるのである。

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