80年代ギタリストの原液
10月6日、時代を作ったカリスマが亡くなった。
2020年に入って、国内外問わずたくさんの有名人がこの世を去っている。
長く続けている趣味であるギター。それもハードロック・ヘヴィメタル(HR/HM)界で一時代を築いた男。
エドワード・ヴァン・ヘイレン
彼の人生の幕がおととい下された。
10月7日に息子のウルフがツイートしたエディの死。
この後、スティーブ・ヴァイやトム・モレロなどヴァン・ヘイレンを知っている世界中の人が各SNSで追悼のメッセージを投稿していた。
ボクも昨日Facebookにて追悼の意を込めて投稿をした。
でも、実を言うとボクはヴァン・ヘイレンに直接影響を受けたわけでない。どっちかと言うと、ヴァン・ヘイレンに影響を受けたギタリストに影響を受けて育ってきた。
スティーブ・ヴァイ
ポール・ギルバート
ジョージ・リンチ
高崎 晃
etc
といったギタリストの影響を受けてきたので、ヴァン・ヘイレンのことはあまり知らないというのが正直なところ。
ボクの感性というか、こんなギターを弾きたいというギタリストの曲やフレーズを練習するにあたって、ヴァン・ヘイレンの派生にインスパイアされてここまできたということ。
もちろんヴァン・ヘイレン自身もギタリストの原液ではない。
エリック・クラプトンやジミー・ペイジ、アラン・ホールズワースなどのギタリストの原液を薄めながら混ぜてのヴァン・ヘイレンという原液を完成させた。
ヴァン・ヘイレンの原液の中枢核はやっぱり「タッピング」。
この奏法が他にアレンジのしようがないくらいの決定的なものである。
確かに、タッピングから派生したエイトフィンガーという奏法があるけど、タッピングに比べると必要度が低い。
できればカッコいいし自己満足度はメチャ高い。でも、曲を演奏するうえでなくても問題のない技術でもある。
しかし、タッピングは少し違う。言ってしまえばタッピングをしなくても曲は演奏でるし良い曲を書くことはできる。
ただ、良い曲を書くためのバリエーションが広がる。
あと、趣味の領域でいえば覚えたい曲のバリエーションが広がる。
ボクも一応はタッピングをよく使う。よって、タッピングが入っているギタリストの曲を覚えている。
スティーブ・ヴァイ
ポール・ギルバート
キコ・ルーレイロ
DAITA
といった、タッピングを使って個性をモロに出してくるギタリストの曲は聴いていても弾いていても気持ち良い。
ヴァン・ヘイレンと、さらにいえばイングヴェイ・マルムスティーンの出現が、80年代のHR/HM界に大きな時代が生まれた。
この界隈のギタリストはテクニック戦国時代というものが到来し、本当にいろんなギタリストが世に出た。
が、やはり生き残ったギタリストも数少なかった。
いわゆる「技だけ主張のギタリスト」が消えていった。
曲だけ聴いても誰か分からないし、どんなことをしているのかも分からない。
「このフレーズ(または音)といったらこの人」というのが欠如しているギタリストも多かった。
逆に技だけに溺れず、そこがしっかりあるギタリストは今でもい残っている。
このジャンルの原液であるヴァン・ヘイレンとイングヴェイ・マルムスティーンは不動の座にいる。
このヴァン・ヘイレンの死を知っから、ほんの少しだけ彼を調べてみた。
彼はもともとドラムを、お兄さんのアレックスがギターをしていたが、お兄さんの方がドラムの演奏技術が向上し、やむなくしてギターに転向したという。
ということは、このままエドワードがドラムでアレックスがギターで時代が進んでいたら…。
VAN HALENというバンドは有名にならなかったか、世に出ることはなかった。
さらに、HR/HMというジャンルはどうなっていたか。
タッピングという奏法は存在しなかった?
いずれにせよ、想像すると恐ろしい。もしそうなっていたら、ボクはギターを弾いていなかったんだろうなって思う。
だって、今と音楽やギタリストのグラフが変わるワケだから。今のグラフだからボクはギターを弾いてるんであって。
もしかしたら、今世に出ているギタリストも大きく変わっているんだろうな。
って考えれば、ヴァン・ヘイレンってもの凄い影響力の持ち主やね。
65年間生きてきて遺した産物は、今では世界中のロックギタリストに受け継がれた。
彼も安らかに眠れるだろうなと思う。