メディアアートとは?僕たちのクリエイティビティとの関係性の変化 | Team Y+L Projects
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メディアアートとは?僕たちのクリエイティビティとの関係性の変化 | Team Y+L Projects

今回は、シニアクリエイティブデベロッパーでありメディアアーティストのFlozに、日本の伝統的な建物のプロジェクションマッピングについて、デジタルクリエイターにとってNFTとは、そしてメディアアートはどのようにブランド体験に転換することができるかについてを聞きました。

フローリアン・ザンブラン(通称、Floz)はフランス人で、メディアアーティスト・クリエイティブデベロッパー・クリエイティブテクノロジスト・デザイナーと、様々な肩書を持ち、そして Y+L Projects のコラボレーターです。現在は母国フランスに帰国中ですが、これまで数年にわたり東京を拠点に生活、活動をしていました。

私たちは幸運にもそんなFlozと共に仕事をする機会に恵まれ、2020年に京都にオープンしたホテル、sequence KYOTO GOJOのユニークなデジタルアートワークのシリーズを制作するにあたり、Flozからデザインやテクノロジーについてとても多くを学びました。

正直なところ、Flozとチームとして仕事をする前は、チームラボのミュージアムに足を運んでみる以外には、彼の魅力的で常に進化し続けるアートの世界についてほとんど知識がありませんでした。そのため、メディアアートとクリエイティブテクノロジーの世界についてもう少し探り、そして皆さんにもその世界を共有するために、インタビューを行いました。

はじめに

こんにちは、Flozです。パリ郊外で生まれ、昔からイラストレーター、または画家になることを夢見ていて、長年自分の夢はビデオゲームのキャラクターの生みの親になることや、漫画家になることだと思っていました。

そんなある日、ふとした時にコーディングと出会い、いわゆる「コード」と言われて誰もが想像するイメージで、例えば映画『マトリックス』で見るような黒い背景に緑の文字列と言ったイメージすらクリエイティブになり得ると気が付いてしまったんです。

最初はコーディングはとても数学的で、イラストレーションやドローイングからはかけ離れているように見えるので、とっつきにくいものだと思っていました。しかし、実際に触れてみるとコーディングはとてもフレンドリーで楽しく、自分にとってのメインのクリエイティブツールとなりました。

パリのゴブランにある学校を卒業した後、MakeMePulse というとても素晴らしい会社での経験を経て、その後はニューヨークのFirstbornという、これまた最高の会社で働きました。これらの経験を生かしてフリーランスとして仕事を始め東京にたどり着き、そこで4年間を過ごしY+L Projectsとの出会いがありました!

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メディアアーティスト、クリエイティブデベロッパー、クリエイティブテクノロジスト。様々な肩書を持っているけど、それぞれの定義と、それぞれがどう違って、またどう関係しているのか教えてもらえる?

まず、クリエイティブデベロッパーは、コードをクリエイティブに使う人だね。僕はたくさんのアニメーションを使ったウェブサイトを作るためにクリエイティブデベロッパーとしての仕事を始めたんだ。「クリエイティブ」な部分こそが大事で、例えばアニメーションの動きを理解できるか、と言うように、クリエイティブな能力やビジョンが求められるんだよ。

クリエイティブテクノロジストは、簡単に技術の転換ができる人。例えば、たくさんの3Dのクリエーションやアニメーション(ThreejsとかJavascriptとかHTMLとか…)が必要なウェブサイトの構築をしなければいけない場合、Unityの拡張現実(AR)を使ったプロジェクトを組んでから、複数のスクリーンでインストールのための処理をしなければいけない。つまり、例えば、たくさんの3Dのクリエーションやアニメーション(ThreejsとかJavascriptとかHTMLとか…)が必要なウェブサイトの構築をしなければいけない場合、Unityの拡張現実(AR)を使ったプロジェクトを組んでから、複数のスクリーンでインストールのための処理をしなければいけない。つまり、プロジェクトに合わせてクリエイティブに新しいテクノロジーを使うことを恐れない人である必要があるんだ。

メディアアーティストと言うのは、テクノロジーも伝統的な手法も芸術的な表現方法として使う人のこと。ある意味、アート作品のためにアナログとデジタルのツールを行き来している感じで、例えば紙にインクで絵を描くためにロボットを使うような。メディアアーティストが3つの中で一番芸術的だね。

そしてこの3つ全てに共通しているのが、テクノロジーだね。

この分野で働くようになったキッカケは?

最初は全くの想定外だったんだよ!僕は絵描きになりたかったんだ。でもある日、パリで開催されたフラッシュフェスティバルと言うイベントに行った時に、エリック・ナツケというアーティストがコードを使ってアニメーションを作る方法について話していたんだ。

僕にとってはそれがお告げのような感じで、カナリ衝撃を受けたよ。家に帰ってすぐに同じソフトを使ってコードを勉強し始めたね。自分の時間のほとんどを紙と向き合うんではなくコンピューターに費やしていることに気が付いたから、自分にとってのツールはコンピューターになったんだ。

それからは、勉強、制作、と、ありとあらゆる種類のプロジェクトに取り組み続けているよ。

最初にメディアアートやクリエイティブテクノロジーの世界を認識した時のことを覚えてる?

かなり早い段階だったよ。実は、それこそが僕がゴブランの学校に入ることになった理由でもあるんだ。学校が開いているオープンデーに行った時のことだよ。オープンデーには学校が一般開放されていて、誰でも生徒がどんなものを制作しているのか見ることができるんだけど、4つのスクリーンにゲームの『ポン』が凄くオシャレに再構築されたイラストレーションがあったのを覚えている。これも自分にとって刺激になった瞬間で、まさにこの学校に通おうと決めた一番の理由だね。

どんなプロジェクトに携わっていて、そのプロジェクトの中でのあなたの役割は?中でもお気に入りのプロジェクトについて教えて!

色んな分野のプロジェクトに携わってきたよ。たくさんの広告用のウェブサイトのクリエイティブデベロッパーとして、3Dやアニメーションを作成したんだ。他にも自主制作系から企業案件まで、インスタレーションに携ったプロジェクトもあるね。

今担当しているのはFable.appと言って、他のクリエイターがモーションデザインアニメーションを作成する時に、より利用しやすくなるプラットフォームなんだ。凄く大きな意味があって、やりがいを感じているよ。だからこのプロジェクトに携われていることが幸せなのかも。

お気に入りのプロジェクトと言えば、いくつかに絞らなきゃいけないのは悩みどころだけど、強いて挙げるなら2つ思い浮かぶものがあるよ。

Tsuki8:プロジェクションマッピングのプロジェクトで、友人のデビッド・ロナイとマティス・ビアビアニーと一緒にMakio&Floz名義で参加したプロジェクト。日本各地を旅してプロジェクションマッピングをする建物を探したんだ。旅先で見つけたインスピレーションを元に、プロジェクションのアセット制作をしたよ。


Symbiose:これまた友人のデビッド・ロナイと一緒にMakio&Floz名義で携ったインスタレーションで、2部制に分かれていたんだけど、どちらもお客さん自身もアートの一部になってもらう作品だったんだ。

この2つのプロジェクトが好きな理由は、何度も試行錯誤して全てを任されていたからだと思う。やりたいことをやりたい様にやれたプロジェクトだったよ。

フランス、アメリカ、日本など、これまで色んな国で仕事をしてきたと思うんだけど、メディアアートやクリエイティブテクノロジーの世界において、それぞれの国はどの様に違う?

うーん、、難しい質問だね。日本の人はメディアアートなりプロジェクションマッピングのコンセプトにとても親しみがあると思う。多分、チームラボやライゾマティクスのイベントのおかげかな。

フランスでもFete des Lumieres(リヨンで開催される光の祭典)やLes Nuits Blanche(街中で開催されるアートや文化のイベント)によって多少は身近なものになったけど、個人的にはまだまだ日本ほどの認知度はないと思う。この分野に関しては、アメリカではあまり経験がないからなんとも言えないけど、一般的にどうかって事を語るにはアメリカを一括りにしてしまうのは広大すぎるかな。

一番大きな違いは予算と、提案した時のクライアントのリアクションかな。アメリカとフランスでは提案に対して承認がおりやすいけど、日本ではそう簡単には進まないんだよ。クライアントは熟考を重ねて、いくつものプロジェクトがキャンセルになったよ。予算面では間違いなくアメリカが大きいね。フランスだとほとんど予算ナシで奇跡を起こせって言われるけど。日本もその点ではフランス式だね。

とは言え、これはあくまでも僕の個人的で限られた経験からの話だけど。^^

自身のメディアスタジオ、Makio and Flozはどうやって始まったの?自分のスタジオを開くにあたってのモチベーションや、どんなプロジェクトを作っているのかも話してくれる?

そう!スタジオはTsuki8のプロジェクトのすぐ後に始めたよ。そのプロジェクトが本当に楽しくて、プロジェクトが終わってからも何度もその話をしたんだ。それである時、僕たちのやりたいことはこういうことだって気が付いたんだ。それが僕たちのキャリアの始まりでもあるんだけど。そこにたどり着くまでに、ウェブサイトの構築や広告にもたくさん携ってきたし、それも色んな意味で凄く面白い経験だったけど、でも「アーティスト」としてのゴールを見失っていたんだ。

それで東京とパリを拠点としたメディアアートスタジオ、MakioAndFlozを始めたんだ。

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一般的にメディアアートやデジタルアートについて一番勘違いされがちな事ってなんだと思う?どうしてその誤解が生まれるんだろう?

作品をモーションデザインとしてしか見ない人がいるからかな。そういう人は、インタラクティブなテクノロジーの部分のことを忘れているんだよ。

僕たちMakio&Flozのケースで言えば、方向性を決めるためにいくつものプロトタイプを作るから、その過程がなかなか理解されないことがあるよ。クライアントと仕事をするときは、クライアントは安心感が欲しいからプロジェクト開始の初日からどんなものが出来上がってくるのかを知りたがるんだ。

メディアアートは膨大な仕事で、色んな種類のテクノロジーに精通していると、それぞれのプロジェクトがユニークになって、それでかえってまとまりがない様に見えるんだ。コミュニケーションを取っていく上ではそれがフラストレーションになることもある。幸運にも僕がこれまで一緒に仕事をしてきた人たちはみんな、最終的な仕上がりに満足してくれたよ。だけど、この点については常に頭に入れておかないといけない部分だね。

最近のNFTの認知度やデジタルアートを収益化する新たな方法は、デジタルアート全体の状況になんらかの影響を与えたと思う?どんな影響で、それについての意見を聞かせて?

アーティストにとって良いことだと思う。やっと彼らの作品に対して対価が支払われる様になったし、中には通常以上の価値がつくこともあるしね!結果として、アーティストがもっと表現したい様にクリエイティブになれる時間につながれば良いと思うよ。

中にはこれを「アーティスティック・ムーブメント」として話す人がいるけど、僕は違うと思う。僕が思うに、これは自分の作品に対して金銭を受け取る新しい方法で、新しい作品の展示方法でもあると思う。アーティストとコミュニティーの繋がりが強くなるし、作品の直接の支持者になることもできるんだ。

唯一懸念していて気になるのは、生態学的な影響かな。プラットフォームによって善し悪しがあるけど、ココ(https://www.hicetnunc.xyz/)なんかはいいかも。

メディアアートがもっともパワフルで影響が大きいのって、どんなケース?

さっきも言った通り、メディアアートっていうのは広大な世界なんだ。すごくシンプルにもなれるし、とても広いスペースを要することもある。

チームラボのミュージアムに行くと、部屋に入るともうそこは至る所にアートがある。動くし、カラフルだし、まるでもう別の時空にいる様な感覚になる。僕にとっては、それがメディアアートにはパワーがあるって感じる瞬間だよ。

テクノロジーを現実世界と融合しているから、ほとんど限界はないんだ。色んなことができる。メディアアートが一番活かせるコンテキストで言えば、そのスケールと双方向性が最高だと思うよ。

個人的には、双方向性はまだ活かしきれていない様に感じていて、もしユーザーがアート作品で遊ぶことができればたくさんの感情をもたらしてくれると思うと、少し寂しい。「遊ぶ」って言うと子供っぽいけど、僕としてはアートと子供っぽさは最高のコンビネーションだと思うんだ。

もし「プレイフル」って表現が好きじゃなければ、アートと「一つになる」とか、アートを「経験する」でも良いと思う。これは身体を使った議論で意見交換だからね。

フォーマットはブランドや企業にとって、どう助けになると思う?

まさに今こそがそのときだと思う!

みんなスクリーンやアニメーションで双方向性のやりとりが増えていると思うんだ。テクノロジーを使った作品を作ることが話のキッカケになり得るんだよね。インスタグラムのストーリーを見ると、チームラボの作品が溢れていて、みんな楽しんでシェアしているよね。

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ブランドや企業は可視性が求められていて、メディアアート作品を通じてその手助けができると考えているんだ。例えばビジネス全体を表すコンセプトを表現したものでもいいし、街中の実店舗に足を運んでもらうためのキッカケとしての作品かもしれないし。

上手くやれば、話題になってみんながシェアするよ。そして記憶に残るんだ。これこそがこう言ったタイプのアートの強みで、ブランドがより多くの人に届く様にメディアアートを利用する方法の一つだね。

やってみたいメディアアートのプロジェクトはある?

あるよ!

でもここでそれを説明するよりも、実際にみんなに体験してもらえる様になったらお知らせするよ。^ -

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Main thumbnail photo: Pauline Goyard
Floz の情報はこちらから。
Website: floz.fr
MiakoAndFloz: makioandfloz.com
インタビュアー: Lucy Dayman
日本語訳: Midori Nakajima
Y+L Projects sequence pieces: ylprojects.com

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東京に拠点を構え、世界中のクリエイターが在籍するクリエイティブエージェンシーです。 Working across platforms to deliver an unforgettable brand experience. https://ylprojects.com