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全粒小麦粉と水だけで作るサワー種発酵パン

 パンのお話の続きです。音声配信009『パンをどうする? —パンは食べたし食べられるパンはなし—』で日本のパン事情についてお話しました。日本のパンのヤバさ、おわかりいただけたかと思います。そうなると、最高の理想のパンを食べたくなるのが人情というものです。そのような究極のパンはどこにあるのでしょうか? 

実は、欧州およびアメリカのマクロビオティック界隈で、そのようなパンが流通しています。水と全粒小麦粉だけで作るサワー種発酵パンがそれです。そこで百聞は一見にしかず。まずはこの画像をご覧ください。

Berkshire Mountain Bakery

マサチューセッツ州西部ハウサトニックにあるバークシャー・マウンテン・バーカリーのパンです。見事にベージュ色になっているのは、もちろん未精白の全粒粉を使っているからです。そして大切なのはその製法です。サワー種発酵という伝統的な技術が使われています。

サワー種発酵とは、全粒小麦粉に水を混ぜて寝かせておくと自然発酵する酵母菌をそのまま生地のなかで培養する作り方です。生地を練るときに酵母菌を入れるのではなく、初めから酵母菌の育った生地にさらに小麦粉と水を入れ足して生地を大きくします。

同社のホームページには、そのメカニズムが詳しく書かれています。それによると、全粒小麦粉を水に浸して発酵させることで小麦粉の外皮のなかに含まるフィチン酸を分解し、さらに有益な酵素を増やすことができます。全粒小麦粉に含まれているミネラル分が空気に触れて酸化する問題に対しては、同社では石挽きでゆっくりと粉を引く方法を採っているそうです。

こうして作られたサワー種発酵全粒粉パンは、きめが軽くて滋養に富み、消化がよく、とてもおいしいパンです。わたしも実際食べたことがありますが、とてもおいしかったです。お腹にグッとくる感じですが、それでいてもたれず、すっきりとした味わいだったと記憶しています。水と小麦粉が織りなす芸術的な食べ物、といっても過言ではありません。

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