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食養生で美貌を保ったグロリア・スワンソン

美貌は顔の造りに負うところ大ですが、お肌の美しさを兼ね備えていれば鬼に金棒です。古今東西美貌を讃えられる数多の女優のなかで、年をとっても衰えぬ美貌で一目を置かれたのが、グロリア・スワンソンです。

グロリア・スワンソンといっても、知らない人が多いでしょう。映画『サンセット大通り』の主演女優といえば、わかるかな? 彼女が活躍していた1920年代の映画界では、文句なしのスター女優でした。

彼女の復帰を強く印象づけた映画『サンセット大通り』は、落ちぶれて世間から忘れ去られた往年の映画女優が、いまだに自分をスターだと思い込んで映画復帰を画策するなど、その勘違いから生じる喜悲劇を描いた作品です。主演女優に実在の往年の女優を起用するという、ある意味イジワルな作品でもあります。案の定というか、配役はすんなりと決まらず難航しました。制作者が白羽の矢を立てたメイ・ウエスト、ポーラ・ネグリ、メアリー・ピッグフォードといったかつての女優たちが、冗談ではなく悲惨に年を取っていたからです。

いま名の挙がった女優さんたちの名誉のために一言いっておくと、50歳代前半から60歳近くになっていた彼女たちが若い頃のように美しくなくなっていたとしても、不思議ではありません。ただ再度スクリーン上に登場するのは「無理だ」と判断されるほどには、老いていたのでしょう。そこで最終的に役を得たのは、私生活でもまったく落ちぶれておらず、美しさを保っていた51歳のグロリア・スワンソンでした。

グロリア・スワンソンは、若いころから菜食主義の食養生を実践していた人です。色々な逸話があります。例えば、人と同じものを食べず、撮影現場に自分の食べるものを持参したとか。記者会見場では、だされた牛肉の燻製オープンサンドに手をつけず、自ら持参した無農薬栽培の果物を一つ口にしただけとか。

1980年頃80歳になっていたグロリア・スワンソンは、オリンピック選手が練習をしていたアンバサダー大学の運動場に現れ、運動トレーナーに対して「あなたは選手になにを食べさせているの?」と尋ねました。そして、選手に砂糖をたくさん食べさせてはいけないと注意し、「完全穀物を食べなさい。きれいな水を飲みなさい。朝食はバナナがいいわよ。お腹が空いたら果物と野菜を食べて。それとときどき魚をね」と忠告したということです。

食に対する関心をもち続け、活動的であったグロリア・スワンソンらしい行動です。食養生が彼女の美しさに貢献したとしたら、芸は身を助くならぬ、「食は美を助く」を体現していたといえそうです。

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