ネットワーク通信

母は「あつまれ どうぶつの森」、いわゆる、あつ森にハマっている。
私はスマートホンのどうぶつの森をやったがすぐに飽きてしまった。
今も、母がやっている島開拓や他人の島に遊びに行くのをみるのはとても好きだが、自分がやろうという気には全くならない。

さて、母はあまりSNSを介して会ったことのない人とコメントのやりとりを避けていた人である。やはり、見知らぬ人とコミュニケーションは怖かったようである。SNSを利用しないわけではないが、家族、友人とのコミュニケーション以外はもっぱら見る専である。

あつ森は自分の敷地を開拓する上で、様々な素材が必要な上に、作製したい家具などの情報を知っておかないと敷地開発の自由度が上がらない。色々工夫すれば、1人でも十分楽しめるが、やはり、1人では効率面でストレスを感じることがあったみたいだ。

今はネットで検索すれば攻略は簡単にわかる。母もネットで検索して情報を集めることがあるのだが、やはり掲示板みたいな情報投稿サイトだと多くの情報を得ることができるみたいだった。

掲示板の存在を知ってからしばらくは、知りたい情報を見つけて実践して、という状態だった。その中で母は、掲示板を通じて物々交換できる相手を探して、実践していることを知ったのだ。

掲示板というのはどこもそうだと思うが、治安が100%保証されていないので誹謗中傷も普通にある。あつ森のような平和そうなゲームでさえ、掲示板にはたまに汚い言葉が並んでいる。母もそれが怖くて、ただ掲示板を見ているだけだったのだ。

ところが、最近になって、ついに1人プレイでの限界を感じたのか、掲示板に表示された実際に会ったことはない他人の島に遊びに行き、物々交換をしたという。仕事から帰ってきて、生き生きした母の話を聞いたときはとても驚いた。あつ森ってすごい。

一度やると二回目からの敷居は低くなるもんで、母は何度か掲示板で物々交換希望の人の島に遊びに行ったようだ。幸いにも、受け入れ側の人が手慣れていることもあり、特にトラブルもなかったのだが。

その日、私は会社が休みで母のあつ森を見ていた。慣れてきた掲示板で物々交換希望の人を見つけ、遊びに行ったのだが、通信してこれから、というときに通信が切れてしまったのだ。

これまでにこんなことを経験していない母は大慌て。「何か相手の勘に障るようなことがあったんじゃないか」「掲示板で何か言われないだろうか」と気にしてしばらく掲示板に張り付いていた。その後掲示板に何か不穏な空気が流れていた訳でもなかったので、たまたま通信が悪かったのか何かだったのだろう。

母はしばらく気にしていたが次の日から普通にネットワーク通信をしていたので自分の気持ちに折り合いを上手くつけたのだろう。

あつ森の力はすごい、が、ネットワークの脅威は普遍だな、という気もした。インターネットが一般に使うことができるようになってから、だいぶ経つけど、マナーで言われることはあまり変わらないし、治安がちっともよくないのも変わらない。人間はたいして変わらないんだな、と思ってしまった。

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