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日記_4

朝、足の指が冷たい。お尻の後ろに畳み込んで暖をとる。
そろそろ靴下を履いて寝る季節か、とスマホで検索すると、「靴下を履いて寝ると早死にする」とサジェストワードが表示された。
今は早死によりも、あったかく目覚められる朝の方が大事だ。

今日は出張の日なのでバスで駅に向かう。
コワーキングスペースには自転車で通っているが、駅に自転車で行くのは好きじゃない。駐輪場に停められるかな?と心配しながら移動する時間が気が重いから。
元は時間通りに来ず、気づいたら全然違う場所に連れて行かれるバスも嫌いだったから、慣れてないだけなのかもしれない。
自分でコントロールできないものはもどかしい。

友人のポッドキャストを聴きながら喫煙所で一服してホームに向かう。
電車の中のBGMはその時の自分にチューニングするのが難しい。
Awichほど勇ましい気分じゃないし、TRAVISは感情が音楽に持って行かれる。今日はヨーヨーマの無伴奏にした。

日当たりの良い広い部屋で、大きいスピーカーを使って無伴奏を聴きたいなと思った。今の家は狭い。空間の広さは思考の広さに直結していると思う。


この日記を書くのに類語辞典が欲しくなったので、退勤後勤務先近くの本屋に寄る。レジのお兄さんの髪の毛がYouTuberみたいなバイカラーだ。

国内文学のコーナーはちょこちょこ独立形書店で見たことがあるタイトルが並ぶ。知らない本屋に知っている本がある。アウェーの飲み会で知り合いを見つけたときみたいな安堵感がある。

「常識のない喫茶店」という本がおもしろそうでキープしたけど、すぐ戻した。最近読み切れることがわかりきっている本に、引っ張られている気がしたから。

欲しいものリストに入っている「黄色い家」
わるい食べ物がおもしろかった千早茜さんの「マリコ」
弟がいいと言っていた「おいしいごはんが食べられますように」
を順番に小脇に抱えてみたけど、しっくりこなくて全部戻した。

人文書も一棚あるんだなあ、と眺めていたら、一番下の段にちょっとだけ飛び出している分厚い本が目についた。タイトルは「地下出版のメディア史」。

あなたとは仲良くなれるもんかしら、と、冒頭だけ目を通してみたら意外と読みやすい。4,500円。いいお値段。ただ、このテーマで、かなりの参考文献が並んでるってことは論文みたいなもんなんだろう。それだけ手間がかかったものをこの値段で読めるなら安いか。

リュックはいただいた柿やカツオで肩が凝るぐらい重いけど、この本も相当重いけど、今日は戻した4冊じゃなくてこの本だと思った。

支払いして退店。
そういえば辞書を探して本屋に入ったんだった。

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