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日記_46

今年最後の荻窪出勤。
ビジネスパートナーのおばあちゃんを驚かせないよう、しかし確実に、デジタルツールを導入することに挑戦した1年だった。

50年間個人事業主、岩手から単身上京して開業した彼女はフリーランスの大先輩だ。
貧しい時代も周りの人の力を借りながら、持ち前の豪快さで学習塾を続け、今も現役で働き続けている。

この学習塾は都内らしからぬおおらかさのある場所で、基本的に鍵が開いており、生徒や卒業生、近所の人が出たり入ったりする。
はじめて訪れたとき会社で運営している合宿やコワーキングスペースに通ずる雰囲気を感じてうれしかったのを覚えている。

ただ、時代の移り変わりとともに昔ながらのやり方が通じなくなるシーンも増えていて、私はそこを補うことを期待されてジョインした。
個人的には40歳年上と対等に働くことなんてそうそうなさそうだな、という好奇心で仲間入りを決めたところが大きい。

今思えばはじめの1年は壮大なアイスブレイク。訪問するたびに生い立ちや出身地の岩手のこと、震災のこと、これまで力を貸してくれた人のこと、時代の変化に戸惑っていること、塾の運営方法など、とにかく彼女の考え方をインストールすることに専念した。

話を聞いていく中で、アナログがバランス良く残った状態に仕上げたいな、という気持ちが芽生えた。その方が美しい気がする。

「身体・心・頭脳を育てる」という信念にとても共感しているし、それを体現するのが塾長だから。この人がやりたいことだけやれる状態を作れたら成功なんだろう。

私は固い信念や、大きなビジョンを持っている人の側近的ポジションから関係値をスタートすることが多い。

保護者会を企画したり、講師や生徒さんとの交流を重ねたりしながら温度調節をして、講習を機にGoogleフォームとクラウドサインを一気に導入。作業フローや問い合わせがシンプルになり、想像以上に上手くいって満足している。

これまでの仕事の中で最も長かったアイスブレイクのおかげで、身を任せてもらえる地盤が整っていたのが大きい。
力づくで進めるか、ゆったり構えるかすごく迷ったけど、あの時の判断は間違ってなかったなと思う。

オーブンや鍋みたいに人にも癖がある。焼けすぎるところや、生焼けになりがちなところをじっくり見極めて、火を回す経験ができたのが良かった。

ツールはあくまでも手段であって、使う人が納得していないと意味がない。正直技術的には全然大したことをしていないので、「心の準備が整うのを待つ」ことも、IT化の見えにくいポイントになるのかもしれないなあと思った。

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