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日記_24

人生初の文学フリマに行ってきた。
数日前からソワソワしていて、SNSや検索エンジンのリサーチが止まらない。きっとギフトショーぐらい混むんだろうなあ。出店する友人によると「品川駅ぐらい人いますよ」とのこと。

昨日の夜しっかり千円札は補充したし、常温の飲み物(結露で本が濡れたら嫌だからだ)も買った。
トイレは平塚駅と平和島で1回ずつ済ませたし、回る予定のブースもアルファベット/50音順に並べてメモしておいた。

完全に浮かれている。

よくよく思い返すと、私は趣味のために大きなイベントに行ったことがない。ライブやクラブイベントは友人に誘われるばかりだったし、公演は学校や習い事の勉強の一環。大人になってからも仕事仲間に誘われて足を運ぶことが多かった。

そうか、文フリは記念すべき私の初趣味イベントなんだ。
みんなこんな気持ちを味わっていたなんてずるい。


東京流通センターの第一展示場に入場すると、めまいがするほどのブース数。世の中にこんなに文章を売っている人がいるのか。片っ端から「書いていてくれてありがとう」と握手をしたくなる気持ちが込み上げてくる。

これ、並んでいる本の中の文字をバラしたら大変な数になるな。
場内の会話や、Twitterに投稿している文字も含めたら、この会場は文字で膨れ上がっている。人間がみっちみちの文字をかき分けて、あっちこっちに移動していく。

知り合いたちのブースに行くのは、ちょっと気恥ずかしいようなうれしいような。本人たちは気づいてない(と願いたい)けど、何度か前をスルーして、気持ちが落ち着いてから顔を出した。今回はSNSでしか話したことがなかった人にも直接会えて「うわあ、本当に人間だったんだ」と妙な感動を覚えたりした。

お目当てのブースを順調に回って、一度会場全体を見回してみる。
購入後その場で読んでいる人が多い。喫煙所のような屋外スペースには本を片手に自分の世界に入っている人が大勢いた。読書好きの大イベントにもなるとこんな風景も見られるのか。
最近こっちの世界にきた新参者だが、ここからここにいる人たちと仲良くなれるかもしれないと思うと胸が高鳴った。こんなにたくさん観察できる人がいる!ブルーオーシャンだ!!


今日は作者の偏愛を感じる本を1冊は買うぞ、と決めていた。
元々チェックしていたBeingと、たまたま出会ったOddZineは帰宅後もうっとり眺めてしまうぐらい気に入っている。
妖怪が好きすぎて本邦初公開の巻物を取材したユニットと、作家の手書きメモと本人の補足を集めたZine。
熱量がありすぎて"普通"の一線を越えてしまう人が大好きだ。
利益とか、手間とかじゃなくて、"だって好きなんだもん”でぴょんと飛んでいく人たち。

ここにはもっとそういう人たちがいたはずなのに、自分がメッセージを受け取りきれなくて歯痒い。次来るときはもっと受信アンテナを鍛えてきたい。

帰り道どうしてもどれかを読みたくて、駅近くの喫茶店に入った。
知人のエッセイは本当に面白い。人となりを知ってから読むエッセイが面白いなら、これまで楽しんできた会ったことのない著者のエッセイは10倍も20倍も面白くなる余地があるってことか。プロはすごい。

結局コーヒーを飲みながら1冊、電車で1冊読み切って帰宅した。
体験も含めて最高のイベントだった。私も来年は出店するぞ。

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