熱海

熱海がなぜ熱くなったのだろう

私の世代で熱海と言えば、両親の新婚旅行先、会社の慰安旅行、東京の海の奥座敷というイメージでしたし、昭和30年代のリゾートの代表格でした。

しかし、次第に訪問客が減り、平成になると昔の栄華はいずこへ、という寂れ振りでした。なぜか?要するに面白くなくなったからです。

端的には、東京にいる方が楽しいし、わざわざ新幹線や東名を使ってまで訪れるインセンティブがなくなったのです。料理、娯楽施設、多様性、融通性、そして拡張性のすべてで東京の方が優れていた。

温泉といっても、先進的なスパが東京にあるし、マリンスポーツなら熱海より便利で洗練された湘南海岸、広々した房総がある。時間とお金に余裕があれば、海外に足を延ばした方が面白い。

最大の要因は、若い人たちとシルバー層に関心を失われたことでしょうね。

しかし、熱海再生に立ち上がった人たちがいました。映画の「火花」のシーンを見て、私は「あれ、熱海変わったな」と感じたのですが、先日、現地に行って実感しました。老若男女で駅前は大変な賑わいですし、商店街は斬新で楽しい。寒い日でしたが海岸周辺もかなりの人出でした。もちろん、足湯から始まって、本丸の温泉は大人気でした。山の斜面の眺めの良い高級リゾートはゆとりのありそうなシルバー層が、温泉と料理、そして眼下の初島や間近に迫る伊豆大島と相模湾の景観を堪能していました。

再生人たちの着眼点は、「誰でも楽しめる」に加えて「常に新しい」ファクターにあったのではないか。伝統は伝統のままでいると陳腐化してしまう。古いモノをそのままを見せることは大切だが、観光地は博物館ではない。エンターテイメント性がなければダメです。

古く新しくすべてが「楽しい」こと。そして一日たりとも休まず「新たな楽しさ」を追求すること、これが熱海をよみがえらせたのではないか、と思います。

加えて、海外からのインバウンド需要のみではなく、国内客目線を忘れていないことが重要と思います。

日本各地の伝統的な温泉地が、復興に邁進していますが、熱海の真逆が九州の嬉野温泉。とても残念なのですが、関係者の方々はご努力が空回りしないように、是非、熱海を参考にされたらいかがでしょうか。神宮皇后が愛でられたという言い伝えのある温泉です。「美味しくない」「古臭い」「殺風景」そして「何もない」では、将来暗いですよね。

真冬の熱海で大満足でしたが、今度は初夏にプレジャーボートでのんびり海釣りを楽しみたいと予定しています。

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