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【冒頭部分ためしよみ】JR山手線全駅でUTAU音源を録りたい! (略) #UTAオン

——2023年3月某日。
外ではまだ冷たい風が吹く中、エアコンの効いた暖かな部屋の中で、物語は唐突に動き出す。

「山手線で音源録ろう」

「は?」

「……」

「JR山手線の駅を全部巡って、UTAU音源を収録しよう」


…………

「は?????????????????????????」






◆登場人物◆

舞韻 @mine_nanapro
妹の狂言に振り回されるかわいそうな姉。正体は人間。

ゆこなる @yknl_nanapro
言い出しっぺの狂妹。正体は寿司。



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こんにちは!ゆこなるです。

UTAUウェブオンリーイベント「UTAGEオンライン」開催おめでとうございます!

わたしはUTAU関連のオンリーイベントがあるたびほぼかならず足を運んでおり、かねてからそれらイベントへのサークル参加を夢に見ていました。
そんな中で今回のイベント開催が決まり、「ウェブオンリーならサークル参加の敷居も低いな」と感じたことから、サークル参加・本記事の執筆に至りました。正直めっちゃ緊張しております。お手柔らかにお願いします。

さて、せっかくイベント参加を決めたのだから、何か面白いことがしたい。
そう思っていた折、空から降ってきたのが今回のアイデアでした。


……皆さんはSTATION BOOTHをご存じでしょうか?

以前の拙作「農林水産省以下略」をご覧になったことがある方のなかには、もしかしたら覚えている方がいるかもしれませんね。
農林水産省施設内でのUTAU音源収録というミラクルの実現に一役買った、小さなレンタル個室スペースのことです。

「STATION WORK」公式サイトより画像引用

そんなSTATION BOOTHに、何故改めて言及したかというと……

STATION BOOTHは、都内JRの駅ナカを中心に全国233拠点(2022年8月15日現在)を展開するシェアオフィス空間。
特にJR山手線を利用したことがある方であれば、駅構内に設置された個室型の小さいシェアブースを見たことがある方も多いのではないでしょうか?

農林水産省収録の記事より引用

……実はこのブース、都内JRの駅ナカを中心に展開しているのです。
ここで山手線ユーザーの皆様に問います。

正直このブース、めっちゃ見かけるな~って思いませんか?
山手線のどの駅で降りても見かけるな~って思いませんか?
そんな気しませんか?
どうですか?
どうなんですか???

…………

「……ってことで、山手線の各駅で降りてSTATION BOOTHを探して、その中で1音階ずつUTAU音源録って「山手線多音階音源」を作ったら面白いんじゃないかと思ったってワケ」

……なんて?



「JR山手線全駅でUTAU音源を録りたい!」


……一見荒唐無稽に思えるこの企画。
これを実行しこんなに長大な記事を執筆したのには、2つの目的があります。

①「場所」がUTAU音源の声にもたらす効果を実験・検証すること

UTAU音声ライブラリには、俗に「表情音源」と呼ばれる種類のものがあります。
これはひとりのキャラクターに対して複数の感情を表現したUTAU音源を作り、実際に歌わせる際にそれらを使い分けることで、そのキャラクターが可能とする歌唱表現の幅を広げていこうという試みです。

例えば悲しいバラードを歌う時、わたしたちは悲しい状況を思い浮かべながら歌うと思います。そうすると感情に引っ張られて、歌うときも少し弱い声になりますよね。
一方もし激しいロックを歌うのであれば、声を張り上げるので荒々しい声になるでしょう。
同じ声でも、歌の内容や歌詞によって歌い方が変わってくる。それをUTAU上で再現してみせようというのが、「表情音源」のやろうとしていることです。

でもこういう表現を音源収録時に再現することって、よほどの名優さんかUTAU収録の手練れでない限り非常に難しいことだと思うのですね。
せめて読み上げる対象が収録したい雰囲気に合わせた物語などであればよいのですが、UTAU収録で読み上げるべきものは意味のない文字のリストであり、そもそも文章として成立していません。感情移入のしようがないので、感情を込めて読むこと自体が本当に難しいんですよね……。


そんな表情音源収録に苦心する中、わたしはこう考えました。

悲しい声の音源を録りたいなら、悲しいことを思い出してしまうような悲しげな場所で録ればいい。
楽しい声の音源を録りたいなら、そこにいるだけでワクワクドキドキするような楽しい場所で録ればいい。
いまおうちにいて感情が動かないのであれば、感情が動くような場所に移動して、そこで音源を録ればいいのではないか?……

この説、実はこれまでわたしがnoteに投稿してきた「トンチキUTAU収録記事シリーズ」の中でも検証してきたことでした。しかし、実際に収録された各音源を比較することは難しかった。なぜなら収録時の条件がバラバラだったからです。

ある時はラブホテルのフカフカベッドの上で、ある時は檻が設置されたヤバい部屋の中で、ある時は農水省の施設内で警備員さんの姿にビビり倒しながら……。
いずれも「異様な空間で収録した」ということには違いないのですが、これらはいずれも「実験」の記録として比較検討できるような状況にないんじゃないかと感じたわけです。

そこで思いついたのが、「JR山手線全駅で音源を録る」という企画でした。
山手線各駅の構内にあるSTATION BOOTHであれば、基本的にはどの駅のものを使っても条件は(ほぼ)同じだと思われます。しかし設置されている場所は1駅ずつ変わっていくから、その駅の雰囲気や状況、街の特色などによって声や心の持ちようも変わってくるはず。……
記事としてその時の感情や音源そのものを比較できるようにすることで、この説が立証されたかどうかをみなさんにも検証していただきたい。
また、もしかしたら今後の皆さんのUTAU音源収録にも役立てられるのではないか?
そんな期待を込め、この記事を執筆しております。

……えっ?
同じような実験が出来るなら、わざわざノイズがバリバリに乗りそうな山手線を使わなくたっていいんじゃないか、って? ……

いやいや、この「山手線」という場所を選んだ理由はもうひとつあるんです。
それも非常に単純で個人的で、重要な理由が。


②「UTAU」と「東京」、両方の魅力を伝えること

……実はわたし、JR山手線が走る「東京」という場所のことが本っっっ当に大好きなんです!

これまでわたしはラブホテル・農林水産省と、変な場所に赴いてはUTAU音源を録って記事を書いてきました。
なんでそんな変な記事を書こうと思ったのかと言えば、UTAUとそれらの場所のことが同じくらいの熱量で大好きだったからにほかなりません。そうでなければこんなこと思いつきもしなかったでしょう。

そして、それらの記事を書いたのとまったく同じ理由で「いつか大好きな東京を象徴するような凄い場所でUTAUを録ってみたい」という気持ちをずっと温めていたのです。夢、かなえました。

東京と一言で言っても、その中にはさまざまなエリアがありますよね。

巨大歓楽街「歌舞伎町」を擁し、世界一と言ってもいいほど沢山の人が行き交うターミナル・新宿
「SHIBUYA109」のようなファッションビルが並び、日本のトレンドを背負って立つ若者の街・渋谷
アイドルにアニメといった、クールジャパンと形容されるサブカルチャーが集う街・秋葉原。……

東京という場所の魅力は、少し移動するだけでこのように表情を変えて人々を受け入れる懐の広さにあります。

そんな東京の各所でUTAU音源を録っていけば、その街ごとの印象を引き継いだ面白い音源が出来上がるかもしれない。
そしてその行為の果てに面白い音源が完成したなら、きっとその声を聞いたみんなが「東京、面白え!!!」と思ってくれるかもしれない!

「UTAUという大好きなものを通してであれば、わたし自身にしか持てない視点から、大好きな「東京」という場所の魅力を伝えられるのでは?」

この記事は、これまでトンチキな場所でUTAU音源を録って文を書いてきたわたしの、そんな壮大なチャレンジでもあります。


この記事内では実際の収録の様子を記録するとともに、山手線各駅やその周辺エリアの紹介もあわせて行い、東京という場所に隠された魅力がより伝わるように尽力いたします。
……というか、実際記事の内容はかなり脱線しまくっています。書きたいことがたくさんあってまとめるのが大変でしたが、がんばりました。

記事を読み終わったあなたが、わたしたちと一緒に東京を駆けずりまわった後のような楽しい気分になっていてくれたら、これ以上幸せなことはありません。


以下、本編に続く……

本編きりぬき①
本編きりぬき②
本編きりぬき③

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この記事について

この企画「山手線でUTAU音源を録りたい!(以下略)」は、舞韻・ゆこなるで記事を共同執筆しています。

記事本編は有料マガジン(単体発売・300円)として頒布します
当記事向けに収録したUTAU向け音声ライブラリ「キエン 単独音 -Ouroboros-」「繊月緋色 単独音 -Ouroboros-」についても、マガジンの記事内にて配布を行います。

またマガジンを購入してくださった方へのお礼として、オマケ記事も入れてあります。是非ご覧ください。
(舞韻・ゆこなるで各1本ずつおまけを書く予定だったんですが、ゆこなるのほうは間に合わないかもしれません。間に合わなかったとしても別のタイミングでちゃんと出すようにするので許してくれ……許してくれ……)


「正直死ぬかと思ったけど、その分かなり面白い内容になったんじゃないかと思います!」

「そういえばなんで私が巻き込まれてんの? 私まで死ぬ思いしたんだけど」

「そこにいたからつい……」

「は?」


よろしくお願いいたします!


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謝辞

当記事の執筆にあたりご協力頂いた皆さまに、この場をお借りして感謝申し上げます。

【共著】
・舞韻 @mine_nanapro

[以下敬称略]

【記事サムネイルイラスト】
花月 @HanaMohu23

【原音設定協力(五十音昇順)】
okayunow @okayunow
・なが @naga13sato
八歌 @yauta7577
六甲颪浩史 @nkgr46_65064

【デモソング伴奏】
生音風カラオケ屋 [お借りした伴奏]

【使用ツール】
・オモコロアイコンジェネレーター [リンク]

【特別感謝】
・UTAGEオンライン [会場]
・碧蒼(ヘキセイ) 
@ibento_tanoc_na / 「指と糸2」運営
・ゲームセンター ル・モンド巣鴨店 @lemonde_sugamo
・STATION IDOL LATCH! [
公式サイト]
・代々木駅マスコットキャラクター よよたん


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