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【考察】2024年度以降、電車ではお得に北陸旅行はできないのか?

2024年度のJR線全国ダイヤ改正の最大の目玉要素「北陸新幹線の金沢~敦賀」延伸。
首都圏エリアからの出発であれば、富山・金沢(石川県)に加えて福井県も乗り換えなしで行けるようになり、また特急料金も1列車分でよくなることで運賃の値下げも行われると良いことずくめの状態です。

しかし、その一方で暗い影を落とすのが京阪神・名古屋エリアから出発する場合です。
北陸線の特急「サンダーバード(京阪神発)」「しらさぎ(名古屋発)」ともに、
・富山だけでなく、福井・金沢へも新幹線乗り換えが必要になる、また乗り換えにより特急料金も値上げする(ハピラインふくい・IRいしかわ鉄道への直通運転は一切行われないことも確定済み)
「新幹線と在来線の乗継割引が、全国全てのJR線で廃止される」ため、当初想定されていた以上に特急料金の値上げ額が大きくなる(一応、敦賀~富山までの新幹線利用であればわずかながら特急料金の割引が行われますが…)
という、2つの致命的なデメリットを抱えているため、新幹線効果による所要時間の短縮よりも値上げと乗り換えの負担が強調される状態になってしまっています。

乗換必須になることによる利便性の低下を受けて、京阪神・名古屋エリアから北陸方面へは高速バスや自家用車への利用者の流出が懸念される状況です。(特に、京阪神発着の場合高速バスや自家用車も時間がかかりすぎるため「京阪神~北陸方面を移動する人自体も減少してしまうのでは?」という声も一部では聞かれます。)
また、救済措置として新たな割引切符が登場するかどうかも注目されるところです。

そこで今回は、
・北陸方面への鉄道の割引切符の現状をおさらい
・ダイヤ改正後、これらの割引切符はどのようにリニューアルされるかの予想
・(正式発表後)今後、北陸方面への鉄道旅行は明るい?それとも暗い?
の3つについて述べていきたいと思います。


改正前(2024年1月時点)の北陸エリアの割引切符の現状をおさらい。

まずは、現在発売されている北陸方面への鉄道の主要な割引切符をまとめるとともに、簡単な商品の解説を行います。

1:えきねっと「トクだ値」(東京~金沢など、東北・上越・北陸新幹線の各駅で設定・席数制限あり)

https://www.eki-net.com/top/tokudane/kakaku_joetsu_hokuriku.html

混雑の少ない列車を予約すると、約1割引になる制度です。
期間限定で、事前の購入が必要な代わりに割引率がさらに高くなる「お先にトクだ値」が発売されることもあります。
なお、この料金体系を利用する場合長距離乗車券の「東京都区内」の特典は使用できません。(例:東京側で品川から出発する場合、普通運賃の切符であれば品川~東京の運賃は免除されますが、トクだ値の切符では免除されず、通常通り支払いが必要です。)

2:e5489「WEB早特」(大阪~富山で設定・出発7日/14日前までの購入が必要&席数制限あり)

北陸新幹線の「トクだ値」の京阪神発着版に相当します。
大阪市内や京都市内の長距離切符の特典が使用可能な一方で、「出発7日/14日前までの購入が必要」がややネックになるでしょう。

3:北陸往復割引きっぷ(名古屋~富山で設定)

名古屋~北陸は高速バスとの競合が比較的激しいこともあってか、首都圏や京阪神発着よりも割引条件が良くなっています。
名古屋発着の北陸線の特急「しらさぎ」で利用できる割引切符ですが、先述の「トクだ値」や「WEB早特」とは異なり、席数制限は課せられていません。(その代わり、大型連休シーズンの利用不可が制限となっています)
また、ネット予約全盛の現代においても紙の切符での発売を続けており、会員登録の手間いらず・クレカがなくても購入可能という使いやすさも注目ポイントです。

4:北陸観光フリーきっぷ(名古屋・静岡エリアから出発が必要、「しらさぎ」「ひだ」の2列車を往路と復路で両方とも使う必要あり)

鉄道で北陸を旅行するなら、この切符の存在は避けて通れないでしょう。
往路・復路のどちらかで所要時間の長い「ひだ」を使って移動する必要があるのが短所ですが、
・高山エリアの主要駅3駅(下呂・高山・飛騨古川)で途中下車、観光OK
・北陸エリアは自由席に限り新幹線や特急列車も乗り放題
という、極めて強力な特典が付いている割引切符です。

2015年度ダイヤ改正の「長野~金沢」の新幹線延伸においても値上げした上で存続したこの切符ですが、今回の金沢~敦賀の延伸ではどうなるかが気にかかるところです。

5:立山黒部アルペンきっぷ(JR東海・西日本エリアから出発が必要、冬季は設定なし)

富山と長野を結ぶ「立山黒部アルペンルート」の観光に特化した割引切符です。
アルペンルートは冬季シーズンには営業しないため現在は発売されていませんが、
「富山駅~JR大糸線信濃大町まで、片道13,820円分の富山地鉄、バス・ケーブルカー・ロープウェイが乗り放題」
「利用経路ごとに途中下車ができる区間も設定」
と、なかなかの使い勝手を誇るのが見所です。
出発地が多めなのが特徴で、大阪・名古屋市内などはもちろんのこと、神戸市内や広島市内などの発着版も設定されています。

【2024年3月6日追記】
×利用経路ごとに乗り放題区間も設定
〇利用経路ごとに途中下車ができる区間も設定
と、表記に誤りがあったことを確認したため修正を行いました。

6:北陸おでかけtabiwaパス(オンラインチケット・土休日限定&出発3日前までの購入が必要)→2月16日出発分から利用条件が緩和されます!

【お知らせ】
2月16日出発分からダイヤ改正前日の3月15日まで、
・平日の利用OK
・出発3日前までの購入が必要→1日前までに条件緩和
・2,450円→980円(大人も小児の値段で利用OK)に値下げ

のキャンペーンが発表されました!

北陸エリアのJR線および第三セクター各社の路線が1日乗り放題になりますが、「JR西日本公式アプリ「WESTER」の導入が必要」「土休日限定」「利用日の3日前までに購入が必要」「新幹線はこの切符に特急券を追加しても利用できない」と、利用条件が4つも課せられておりやや利用のハードルは高めです。
なお、在来線特急やあいの風とやま鉄道の「あいの風ライナー」は特急券・乗車整理券の追加で利用可能です。

7:青春18きっぷ/秋の乗り放題パス(季節限定・事実上3/15まで使用可能)

(現在、商品ページは削除されているため、リンクは割愛します。)

鉄道ファンでなくとも一度は聞いたことがあるであろう「普通列車に限り、日本全国すべてのJR線が乗り放題」という毎年恒例の季節限定商品です。
しかし、北陸エリアでの利用はご存じの通り、北陸線や信越線などのJR各線が第三セクター会社に運営が変更される/された関係で、この切符で北陸方面へ移動できるのは実質的にダイヤ改正の前日、3/15までとなります。

8:新幹線(特急)の利用区間を短くする

当日の飛び乗りや大型連休シーズンの利用などで、えきねっとの「トクだ値」やe5489の「WEB早特」なども利用できないという場合でも、最終手段があります。それがこの「現実的な範囲で普通列車を利用し、特急料金を低く抑える」です。
例えば、名古屋から敦賀に行く場合、
・全区間で特急を利用→特急料金は1,860円(自由席)
・岐阜まで普通列車(新快速)、岐阜~敦賀で特急を利用→特急料金は1,200円(自由席)

なお、「しらさぎ」「サンダーバード」などのJR西日本が運行主体となる在来線特急の多くは今回のダイヤ改正をもって全席指定に移行します。(首都圏エリアのスワローサービス(ひたち・あずさ・踊り子などで導入されている新しい着席サービス)とは異なり、自由席がなくなる以外はこれまでと同じ料金体系です。)
このため、改正後はこの金額にさらに530円(通常期)を追加した額が必要となります。

というように、区間によっては特急料金を1ランク安くできる場合があります。普通運賃で利用する扱いとなるため、利用にあたって条件などは一切なくいつでも誰でも利用可能です。
なお、乗車券部分はもちろん特急の利用区間に関係なく同額です。(※在来線に第三セクター会社を含む場合は多少前後あり)

…とはいえ、現実離れした長距離の移動に普通列車を用いるのは鉄道ファンではない人にはやや酷な手段とも言えるため、無理は禁物です。
首都圏発着なら東京→大宮、名古屋発着なら名古屋→岐阜・大垣、京阪神発着なら大阪→京都程度が現実的なレベルでしょう。

改正後、割引切符はどうなるか予想してみる。

主要な割引切符を紹介はここまでにし、続いては「これらの商品が改正でどう変わるか」を自分なりに予想してみます。

1:えきねっと「トクだ値」→金沢~敦賀の各駅発着の新登場が濃厚か

えきねっとのトクだ値に関しては特に目立った変更はないものと思われます。
新幹線の金沢~敦賀延伸に伴い、この間の各駅からの発着版が新登場&値段に若干の修正が入る程度でしょう。

2:e5489「WEB早特」/3:北陸往復割引きっぷ→値段を再調整した上で継続発売?

これも、発着駅や値段などに若干の修正が入って発売継続となる可能性が高いと予想しています。
ただし、しらさぎ号で使用する北陸往復割引きっぷは「紙の切符での発売→e5489およびEX予約・スマートEXの「EX旅先予約」を通しての発売に移行・リニューアル」となる可能性も若干あるかもしれません。

4:北陸観光フリーきっぷ→廃止の可能性も普通にあるが、存続の可能性も高い?できれば京阪神発着版が欲しいが…

これが最も難しいところです。結論から言うと
継続か廃止かは五分五分だが、どちらかといえば存続の可能性が高い
と考えます。

2015年度改正の「新幹線の長野~金沢延伸」の際は値上げした上で継続発売となった実績がありますが、2022年度の末(2023年3月)に
・首都圏発着「北陸周遊乗車券」(えきねっとで北陸新幹線の切符を購入した人限定のオプション券)
・京阪神発着「北陸乗り放題きっぷ」(1人での利用不可)
の2つが廃止となっているため、今回の改正では存続できない可能性も普通にあると言わざるを得ないでしょう。

なお、首都圏発着は「大人の休日俱楽部会員限定・北陸フリーきっぷ」が発売されていますが、この商品は満50歳以上限定になっているため割愛します。

しかし、まえがきでも触れたとおり
「改正後、名古屋・京阪神エリアからの北陸方面は乗り換えの手間が増える上に原則値上げする」
「名古屋~北陸は高速バスのシェアもかなり強い」
という2つの大きな問題を抱えています。
このため、このまま何の対策も講じずに廃止となれば、事実上
首都圏発着を除き、北陸方面への鉄道でのシェア争いは完全に諦める、高速バスに丸投げ
と宣言したこととほぼ同義になってしまうため、存続できる、あるいはいったん廃止するものの数か月のリニューアル期間を経て復活の可能性も十分あるとも言えます。

欲を言えば、同じく乗り換えの負担が増える京阪神エリア発着版の追加に期待したいところです。(「サンダーバード」→北陸エリアフリー区間→「ひだ&東海道新幹線」、あるいはその逆で移動など)
京阪神や名古屋エリアに住む人であっても、北陸新幹線のメリットをアピールする武器として大いに活躍するのではないかと考えていますが、皆さんはどのように感じるでしょうか。

5:立山黒部アルペンきっぷ→値上げした上で継続発売が濃厚か

毎年恒例で発売されている商品なことや、アルペンルートの観光促進を引き続き図りたい目的から、廃止の可能性は低いと考えます。
ただ、新幹線の区間が伸びることによりその分の特急料金相当額がこの切符にも上乗せされる可能性は高いでしょう。

6:北陸おでかけtabiwaパス→同じ条件で継続発売?

北陸エリアの鉄道の周遊券として、敦賀より東が全て三セク運営になっても若干値上げした上で発売継続する可能性が高いと予想します。
ただし、京阪神や名古屋エリアから北陸方面への移動がやや不便になることを受けて、発売条件が緩和される可能性(例:土休日限定→平日も利用可能など)にも少し期待したいと考えています。

7:青春18きっぷ/秋の乗り放題パス→救済なし、例外なく使用不可(高山線および、氷見線/城端線の特例は除く)が濃厚?

「北陸地区オプション券が新登場するのでは」
「金沢からの七尾線(金沢~津幡のIRいしかわ鉄道)の通過特例が続行し、福井からの越美北線(福井~越前花堂のハピラインふくい)にも同様の特例が新登場するのでは」
といった議論が行われていますが、この記事では
残念ながら、北陸線の第三セクター移行による救済措置は一切なされずいかなる場合も通常の運賃が必要
となる可能性を予想します。
(実質的に「新幹線で金沢や福井を訪れ、会社境界駅までは別途運賃を支払う」「三セク各社が新発売するフリー切符と併用して利用」「北陸おでかけtabiwaパスを利用」のいずれかになる?)

理由としては2つあり、まず1つ目は
・現在の七尾線、氷見線、城端線の通過特例はいずれも「会社境界駅を除くJR区間の駅から乗り続けてきた人のみ適用される=金沢・高岡・富山から出発した場合は利用不可」となっているため(例:七尾線への通過特例は金沢よりも西の駅(西金沢・福井方面)から出発し、津幡より北の駅(中津幡・七尾方面)が最終目的地となることが適用条件)
という点です。

IRいしかわ鉄道のFAQを引用すると、
ただし、特例として、JR線の西金沢以遠(野々市方面)と七尾線(津幡駅を除く)をご利用される場合、当社線の金沢~津幡間に限っては、普通列車に乗車して通過利用できます。(この場合、金沢駅、津幡駅で途中下車することができます)
と記載があります。
つまり、「最低でも、西金沢~中津幡で利用しなければ通過特例は使用できない(金沢または津幡で「通過特例による途中下車です」と申告する手もなくはないですが…)」と考えるのが妥当でしょう。

http://www.ishikawa-railway.jp/inquiry/

実際、通過利用をめぐるトラブルは多発しているようで、現場の駅員と特例が使用できるかどうかで口論になったという話もSNSでたびたび流れています。

また、2つ目の理由として
・1つ目で紹介した「会社境界駅を除くJR区間の駅から乗り続けてきた人のみが通過特例の対象」を当てはめた場合、その対象駅は「北陸線側は新疋田よりも南・小浜線側は西敦賀よりも西の駅」となり、越美北線の分岐する福井(越前花堂)・七尾線の分岐する金沢(津幡)まではあまりにも遠すぎる
という点もあります。

参考として、「新疋田または西敦賀から普通列車のみで福井・金沢へ行く」という条件で路線検索をかけてみました。
その結果、接続が非常に良い場合であっても「福井→片道約1時間・金沢→片道約3時間」かかってしまうことがわかりました。
さすがに、これだけの長時間の移動を「通過特例です」と言い切るのはあまりにも無茶がありすぎるでしょう。

ちなみに、現在設定されているあいの風とやま鉄道の通過特例「富山以外の高山線の各駅~高岡以外の氷見線/城端線の各駅」の場合、接続が非常に良い場合は40~50分程度で目的地に到達できるようです。
これなら通過特例としても妥当な乗車時間と言えるでしょう。

以上2つの理由から、青春18きっぷ/秋の乗り放題パスにおける北陸方面への取り扱いは残念ながら最悪の結果になってしまう可能性が高いと考えています。

高山線~あいの風とやま鉄道~氷見線/城端線の特例はダイヤ改正後も引き続き残る可能性が高いと思われますが、氷見線と城端線の2路線も将来的にあいの風とやま鉄道の運営になることがほぼ確定しています。(具体的な時期は未定)
このため、運営会社変更の実現をもってこの特例も消滅することが濃厚でしょう。

8:新幹線(特急)の利用区間を短くする→乗継割引廃止でさらに有用なテクニックへ

利用区間を減らして特急料金を抑えるテクニックは、普通運賃の規定に準ずるため改正後ももちろん利用可能です。
特に、今年度の改正をもって新幹線と在来線特急の乗継割引が全国すべてで廃止されることもあり、重要性は一層高まると言えるでしょう。

正式発表を受けての考察。

北陸新幹線[金沢-敦賀間開業]に伴う特別企画乗車券の発売についてhttps://www.westjr.co.jp/press/article/items/240123_00_press_hokurikukippu_1.pdf

北陸新幹線延伸に伴うお得なきっぷの新規設定及び改廃について
https://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000043140.pdf

「青春18きっぷ」「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」の発売および北陸新幹線開業に伴うおトクなきっぷの取扱いについて
https://www.jreast.co.jp/press/2023/20240123_ho02.pdf

1月下旬ごろから、順次正式発表が行われています。
現時点で確認できているものから、順に解説していきます。

ポイント1:「トクだ値」「WEB早特」は目立った変更なく継続発売。北陸往復割引きっぷはWEB早特に移行する形で廃止決定

北陸新幹線と「サンダーバード」における基本的な割引商品である、えきねっと「トクだ値」とe5489「WEB早特」の2つについては予想通り、改正後もほぼ変わらない内容で発売される見通しです。
なお、WEB早特については「大阪市内~和倉温泉・黒部宇奈月温泉」発着のものに限り、出発の前日まで購入が可能な「早特1」が登場する予定です。

「しらさぎ」においても、改正後はこのWEB早特に移行することが発表されています。これにより、基本的な割引商品だった「北陸(名古屋)往復割引きっぷ」は廃止が決定しています。
往復割引きっぷと比較すると、

【プラスになる点】
・片道から利用可能
【マイナスになる点】
・これまで利用当日から購入可能だったが、改正後は出発7日前までの購入が必要
・これまで発売席数制限は課されていなかったが、改正後は課される
・これまでは敦賀や福井、芦原温泉などの中距離利用でも、乗車券部分の「名古屋市内」の特典が利用できていたが、改正後はできなくなる
大型連休シーズンの利用不可の制限は引き続き課される

と、全体的に暗い変更が目立ちます。

しかし、もう一つの救済措置として「EX予約・スマートEXで米原発着の新幹線を利用する人限定で利用できる「EXサービス限定・乗継きっぷ」が登場」があります。
こちらは事前購入や発売席数などの制限は(おそらく)課されないことが見込まれるため、この商品を使いこなすことで乗り換えが多い点は変わらないものの、名古屋・京阪神エリアからの格安移動に大きく役立つことでしょう。

ポイント2:北陸観光フリーきっぷ・立山黒部アルペンきっぷ、改正後も引き続き発売!

今後の行く末がおそらく最も心配されていたであろう「北陸観光フリーきっぷ」。
この切符については、なんと
約1,000円ほどの値上げが行われるが、改正後もほぼ同じ内容で発売継続
となりました!
北陸新幹線の追加開業区間の金沢~敦賀間も自由席に限り乗り放題となり、第三セクター会社の担当になった後の在来線も引き続き乗り放題になります。
(なお、この記事で少し期待していた「京阪神発着版の導入」は実現しませんでした。

【2024年3月6日追記】
「立山黒部アルペンきっぷ」についても、北陸新幹線区間の追加を受けた値上げが行われた以外はほぼ同様の内容で発売されることが発表されました。
なお、これまで北陸新幹線区間は自由席しか利用できませんでしたが、今回の発売からこの区間も指定席が使えるようになる予定です。

ポイント3:青春18きっぷだけで福井駅と金沢駅に降り立つことは例外なく不可能に

日本列島の格安移動に毎年大活躍する青春18きっぷ/秋の乗り放題パス。
この記事の予想では「七尾線や越美北線への救済はなく、例外なく使用不可」としていましたが、
・七尾線→高山線、氷見線、城端線方面から/への通過利用であれば追加料金なく途中のあいの風・IRいしかわ線を利用可能
・越美北線→敦賀方面から/への通過利用であれば追加料金なく途中のハピラインふくい線を利用可能
となり、ひとまず最悪の事態は免れました。

しかし、これにより北陸エリアのJR/三セク各社線で18きっぷの特例が一切存在しない区間が
改正前:津幡~倶利伽羅~高岡
改正後:越前花堂~福井~金沢~津幡
に変わってしまい、「青春18きっぷだけでは県の中心駅には例外なく行けない」都道府県が出るようになってしまいました。(そもそもJR線が存在しない沖縄県を除外した場合)

ポイント4:北陸おでかけtabiwaパス、平日も利用可能に!また新幹線の会社境界駅「上越妙高」にもアクセス可能に。

2024年度tabiwa周遊パス発売についてhttps://www.westjr.co.jp/press/article/items/240226_00_press_tabiwa_3.pdf

2月26日、JR西日本のプレスリリースで「北陸おでかけtabiwaパス」が来年度も引き続き発売されることが発表されました!
北陸本線の敦賀~金沢も第三セクター会社の運営になることや、北陸新幹線と連絡するJR西日本/東日本の会社境界駅「上越妙高」へのアクセスに対応することを受けて、約500円ほど値上げが行われています。

今回注目したいポイントは
・これまで課されていた制限「土休日限定」は廃止され、平日の利用もOKに!
・先述の通り、これまでこの切符が使える最東端は直江津(在来線の北陸線の終着駅)だったが、えちごトキめき鉄道の妙高はねうまライン(信越線)の直江津~上越妙高にも対応するようになり、新幹線と組み合わせたアクセスがさらに便利に!
の2つです。
これまで、「行きはこの切符で在来線経由で移動し、帰りは別途運賃を支払って新幹線経由で移動する」といった利用方法を取る場合、直江津~上越妙高間は切符を買い直す必要がありました。しかし、来年度からはこの必要がなくなり、さらに利便性が増すことが期待されます。

なお、
「JR西日本公式アプリ「WESTER」の導入が必要」
「利用日の3日前までに購入が必要」
「新幹線(と、直江津~上越妙高を走る新潟方面の特急「しらゆき」)はこの切符に特急券を追加しても利用できない」
※七尾線の「能登かがり火」などは引き続き利用可能です。
の3つの制限は引き続き残る点には注意しましょう。

まとめ【今後の状況により加筆修正の可能性あり】

北陸新幹線の金沢~敦賀延伸で「京阪神や名古屋エリアから北陸へ向かう場合は必ず乗り換えが必要になり、運賃も高額になる」という致命的な問題点が発生する中でも、極力現状の価格を維持~現状から数百円程度の値上げで済むような救済措置が行われていることが分かりました。
しかし、割引切符の存在自体を知らず普通運賃で利用することが多いであろうライト層を中心に、ダイヤ改正前と比べて大きく値上がりすることで
鉄道での北陸方面への移動を諦め、高速バスや自家用車などを利用する」人が一定数現れることは避けられないでしょう。
鉄道のみならず、競合相手となる高速バスの設備強化(個室タイプの高級夜行バスなど)や高速道路の拡充にも引き続き注目したいところです。

いつも読んでくださりありがとうございます^^これからもさらに内容を充実させていきます!