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インドのノリ

久しぶりに実家に帰ったらインドのノリだった。
それはもう、ものすごくインドのノリ。

どれくらいのノリかというと…

玄関を開けると香辛料の匂いが鼻腔をくすぐるし、
母ちゃんはサリー着てるし、
父ちゃんは頭にターバン巻いてるし、
夕飯にはインドカリー出てくるし、
ナンとタンドリーチキンも出てくるし、
全部右手だけで食べなきゃだし、
何の前触れもなく急に歌い踊りだすし、
居間には見知らぬインドの女の子がいたし。

俺がいない間に、実家はホストファミリーになっていたのだ。

「留学生のアイーシャちゃん。アイーシャちゃん、コレうちの息子」
「‟コレ”言うなし」

母ちゃんに文句を言いながらも、俺はアイーシャに見惚れていた。

小麦色の肌に白い歯。
クッキリした濃い眉に、力強い眼力。
高い鼻に、形の良い唇。
吸い込まれそうなほど美しい水色の瞳。

「あの、ナマステ」
「コンニチハ」
アイーシャの低めハスキーな声が耳に心地いい。

今日から俺もインドのノリでいくことに決めた。

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