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連作短歌

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2023年5月の記事一覧

連作短歌「ダイジェスト」

かんたんなことだけかさねてきたつもりなのにこんなにもうほどけない 引き留めてほしいんだとか言外のおきもち宙に浮いてた五月 やなことをなんでこっちが我慢してあげないといけないんだよ、とか。

連作短歌「無関心への深い理解」

昔なら少しのヒビが嫌すぎて丸ごと捨ててたかもしれない 前回から今回までの感想をこの人はいま話してるんだ 2を3にさせたいほどの深度ではないのかもしれないかもしれない

連作短歌「カムジャタン」

やさしくなさがやさしさになるすみっこにペットボトルは飲みさしのまま 黙らせる効果と喜ばせる効果の両方を持つ高い花束 有益な会話しないとここにいちゃ駄目って自分にだけ思ってる

連作短歌「総括」

運命を信じるために待っている君に見せたいこのすれ違い 過ごしたい時間と全然ちがうけど一緒にいたりした交差点 来た道の綺麗じゃなさを受け入れて静かな顔で揺れている君

連作短歌「ながい名前」

どうしてかわからないけどタンバリン持っていて静かな夜だった 気の毒でうらやましくてログアウトしたあと愛の偏りのなか 誕生日に私にくれた腕時計 眠ろうとして音に気づいた

連作短歌「明るくする」

二度目かのようにあなたはスイッチの位置を知ってて見ないで消した あいまいなものが嫌いということにしておく 残り時間を捨てて 靴下は泣ける 明るいふりをしてほんとはみんな我慢してるの