連作短歌「草葉の陰から」(10首)
面白いことを返さなくてももういいみたい東口バス広場
クリスマスツリーの星を夜中じゅう触ってて手がラメラメになる
金色の文字で書き表すような感情じゃない君の口癖
あかぎれを隠してその場しのぎから逃れられない告知を浴びる
誰にでも個展があって来てくれた人との霧吹きみたいな会話
一生に一回きりの飛行機に隣りの君がくしゃみする音
言及の先の語りを見てみたい知ってる人が報われてゆく
離れてるあいだもおばあちゃんの家に届き続けた京都新聞
日常の真面目な顔で僕たちは遠さにつ