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連作短歌

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ふだんの短歌です
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2021年2月の記事一覧

連作短歌「アナロジー」

京都駅と新潟駅と博多駅の地下が記憶の中でつながる 何かが何かに似ていることを語るとき人は最も雄弁になる 折り返し地点と言っても二周目と言ってもいいけど今そんな時期

連作短歌「捨てるのに」

ラブストーリーならそれでもいいだろう 夜中に広い公園に来て イヤホンは思い出になるイヤホンは思い出になる前に壊れる 後輩がどんどん仕事を辞めていく ずるして昼休みを長くとる

連作短歌「よなよな」

パーカーを羽織って歩いた夜がある ポーカーフェイス的な感じに 大声で今の気持ちを言ってみて全部が確かにほんとの気持ち お墓だらけになった地球の夢をみる 食欲なくて青汁をのむ

連作短歌「復縁」(10首)

1首10円です。

有料
100

連作短歌「論理的失恋」

シャワーの温度を手で確かめるシーンなどは何度描いても飽きないだろう まどマギを見ているのだが泣けてきて一旦ゆるキャン見て落ち着かす 丑三つの一瞬で来る返信の句点読点にぎやかそうだ

連作短歌「Lonely Woman」

起こすときキレられるのがちょっと怖い幼年時代に由来するもの 類型でほとんどのことはわかります スプリングハズカムかもしれず 朝食は軽めで昼食夕食はたべずにアニメを一気に視聴

連作短歌「星座」

ばらばらの要素がそよぐ春風にいちばん聞きたい言葉は消える 逆だったらよかったのにな じわじわとからだがしぼんでいく気がするよ 追いかける速度において叙情的関係性が結ぶいるか座

連作短歌「猫をかぶる」

戻っても戻ってもまた同じことなんならもとより悪くなってる 花火に感動して禁煙を決意する 二段ベッドで仔猫とじゃれる 走りたくなるのが廊下 クソデカなおにぎり 甘くてかわいいジャムぱん

連作短歌「黒猫」

歌うなら雨の早朝 踊るならおとぎ話の雪の箱庭 バラ売りの色鉛筆で占えば今日のラッキーパーソンは父 痙攣を見るのが怖い 黒猫が俺が渡るの待ってくれてる

連作短歌「ロングソング」

長すぎて誰の役にも立ってない暗記ソングと君に幸あれ 間奏の長さがやけに湿っぽく一人と一人で歌うカラオケ 長いことベンチの下に置いてある折り畳み傘だれのなんだろ