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連作短歌

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2020年10月の記事一覧

連作短歌「ラベンダーミスト」

本物のラベンダー嗅ぐとラベンダーすぎる匂いがすると言う君 愛着が湧かないように工夫するいろんなところにある軽井沢 ショルダーバッグの上からコートを羽織るのだ重なるコップを重ねる遊び

連作短歌「海のような変化」

ぱっと思い出すときもありうっすらとずうっと思い出すときもある 急に行く親水公園 片目つむる遊びとかしてたら暮れてきた フリスクを食いながらたばこ吸ってたらメンソールとかうるさいお前

連作短歌「8のなかに7があった」(10首)

すこし荒々しい感じの連作です(1首10円)。

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連作短歌「秋のリズム」

へこんでる麦わら帽子が公園のベンチにあって僕のではない 足音で歩幅がわかる能力がなければ君に好かれなかった 鍵括弧の中だけ変な声で読むやさしい君がやめた留学

連作短歌「会話自体が好き」

朝起きて洋菓子店で飲む紅茶たまにはこんなこともしようね いつまでも聴いていられるともだちの旅行と恋と昔話は ちょっと前のつづきを急に話す癖ぼく以外にはあんまやるなよ?

連作短歌「ゆきのおそさ」

こういうふうに泣くのかすこし驚いてそのあとすこし眠たくなった 新横浜駅の円形歩道橋みんなハッピーで終わる昼ドラ 雪の絵の紺色きれい ごめんなさい在廊時間は避けて来ました

連作短歌「きらきら」

物理的に人が怖いよ同情で始まるドラマチックな舞踏 鼻歌の軽さに誘惑されてみる天気予報が極彩色だ ビッグラブ、謝りながら抱きしめる大阪旅行アンドファイヤー

連作短歌「環とズレ」

聴き慣れた曲を結局聴いている誰かに教えてもらった曲だ 一曲目に戻る頃には一時間十六分が経ってるだろう あの本を読みたかったと気づくのがいっつも日曜日の夕方じゃん

連作短歌「本棚より」

『必然的にばらばらなものが生まれてくる』『愛と人生』『ナナメの夕暮れ』 『望むのは』『生きる歓び』『ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね』 『キリンの子』『星の子』『ゆるく考える』『寝相』『グッバイ、レニングラード』 『海と山のピアノ』『広告コピーってこう書くんだ!読本』『しゃりり』 『ピクニック』『あさドラ!』『現象学入門』『サードプレイス』『思ってます』 『紙の月』『あひる』『ヒーシーイット レモン』『アメリカの夜』『きみは赤ちゃん』 『風とマルス』『傷だらけ

連作短歌「よそ見」

泣きすぎて面白いとか好きすぎて憎らしいとか紙に書いてみる 癖だなあと思いながら鼻を触る そういえば今日雪かもってさ よそ見してたら転んでそのまま死んじゃったみたいな感じで君と出会いたい

連作短歌「幸せについて」

うまく言えなかったことがある 雨を選べば蜜蜂が浮く チーズナンセット1300円をご褒美として生きる今週 さむさむの夜の諏訪湖をかっぱ着て羊文学聴いて歩いた

連作短歌「夜に産まれて」

夜に産まれて昼に流れてゆく川をこの街の人、みんな眺める たばこくさい毛布にくるまりながらでもいろんなきみの夢を見られる くるまりってめちゃかわいいな3首目で2首目のことを言ってみました

連作短歌「無限に続く」

スランプのせいにして寝る寒すぎてあした絶対肉まん食べる エントランスにエントランスと書いてある みたいなことで一緒に泣こう 欲欲欲(ときどき嫌にもなるけれど)欲欲欲欲欲(無限に続く)

連作短歌「暖冬」

そのスタンス 映画きらいなわたしにはついていけない話題のようだ 明らかな才能なのに暖冬の村を襲っている褒め不足 今日いちども笑わなかった つまらないきみも好きよと指毛がゆれる