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2020.10月7日 長編・19『満潮に乗って』 & ピンクのハート💕

本日の名探偵ポアロシリーズ 長編読書記録は『満潮に乗って』です。

ハヤカワ文庫版で解説を担当なさっている中川右介さんは、「この本を手にしている方は、かなり重症のクリスティー・ファンだろう」と、書かれています。一般的には、あまり知られていない作品だということですよね。

謎解きやトリックだけでなく。人間ドラマといいますか、人間の内面に踏み込んで描き込んでいる点が、特徴的だなと感じる作品ですね。

「君に火をつけるのはパズルじゃない、ドラマなんだ!謎を解け!!」

という台詞が、ふと浮かんでしまいます。(クリスティーじゃないけど…)

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この小説の中で、私が気に入っている文章をご紹介します。

【リンは新聞の求職欄にふと目をとめる。新しい勇敢な世代──リンは憂鬱なおもいだった。

〈職を求む。前WAAF(空軍婦人従軍部隊)。企画力あり。特技、運転〉 〈職を求む。前WRNS。組織力および指導力あり〉

 売りこもうと並べたられたものは、あるいは創業精神であり企画力であり指導性ばかりだ。 だが求人側の求めるものは、料理や掃除ができることか、速記の技術なのだ。 たたきあげた腕をもつ、仕事なれた第一級の働き手なのだ。】

1948年の英国でも、2020年の日本でも。同じなのだなぁ…と、感じませんか? 面白いですよねぇ

笑っちゃいますね。(´∀`)

現代日本の求人広告欄に並んでいる募集内容って、ほぼほぼ看護・介護系か、清掃クリーン業か、調理関係(特に学校や病院・介護施設等での給食系) 、もしくはスーパーマーケットやコンビニでのレジ打ち・商品管理の仕事。

ところが。多くの人が就きたいと望むのは、こうした絶対的に世の中に必要な職(最近では、エッセンシャルワーカーと呼んだりするけれど)ではないのですよね。

需要と供給のバランスの悪さ。職を失ったり収入が激減している人が、街に溢れているはずなのに。どれだけ募集をかけても、働き手が集まらず困っている職場もまた、多くあるのが現状なのですよね。

(なんか、おかしいよね…どうしてこう、バランスが悪いのかしら?) と。私は常々感じているのですが。

70年以上前の英国でも、現代の日本でも同じような【バランスの悪さ】が社会問題であるということはですよ。この問題は古今東西変わらぬ、人類が抱えざるをえない普遍的な問題なのかもしれませんね。

話変わって。本日のモチーフはピンクのハート💕です。

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私の読書記録では触れていませんが、この『満潮に乗って』は、推理小説としてだけではなく。恋愛小説としても第一級の名作でありますので。

心、ハートを選んだ次第であります。

「愛こそすべて♡ 」 的ラブ&ピースの精神と、地に足を着けて現実を生きる生活力とがほどよいバランスを保ち。この世を生き抜く強さを持ち続けていられる状態を、「幸福」と呼ぶのかもしれないな

なんて、感じる今日この頃です🍀






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