見出し画像

2021.2月25日 短編・50『死人の鏡』 & 鏡(コンパクト)の入れ物

名探偵ポアロシリーズ読書記録 短編・50作目は『死人の鏡』です。
短篇集『死人の鏡』表題作となっている作品ですね。

画像1

この作品も、元になっている短編『二度目のゴング』を膨らませたお話で、短編というより中編小説と呼ぶほうがふさわしいくらいのボリュームある作品となっています。

英国ドラマ版では『二度目のゴング』は作られず、『死人の鏡』のみ制作となったようですね。

この2作には、銅鑼・鏡といったアイテムや花壇の足跡の件など、酷似している点が多数あります。

大きく異なる点と言えば、【犯行の動機】でしょうか。
『死人の鏡』のほうが、犯行の理由としてより納得できるといいますか,
こう、より深い事情があってのことで。それだけに、人の運命の哀しさが、切実に描かれていますね。

この『死人の鏡』は、長編作品の『オリエント急行の殺人』や『カーテン(ポアロ最後の事件)』に通ずる、巨悪を憎むクリスティ氏の思いが反映されているように感じました。

「何が悪で、何が正義なのか?」

簡単には答えの出ない、永遠のテーマを
ミステリ作品の中で模索し、描き込みたいと、氏は考えておられたのではないか? と。

トリックや犯人探しだけではなく、
人間のもつ業や弱さ、哀しみといった内面や
法律では裁けない悪に対する手段や正義について、もっと深く抉るような小説を書きたいと願ったから。

先行で出ている短編作品と酷似しているけれども、短編では描き切れなかった人間の内面を盛り込んだ中編作品を、後に発表されたのではないでしょうか。

これは、私が勝手にそう推測しているだけで、真相は違うかもしれませんが。

ただ、どちらも優れた小説であり。
似ているけれども異なる2つの作品を読み比べつつ堪能できる喜びを、私たち読者に与えてくださったことは、たしかな事だと思います。

画像2

それと。読書記録 短編・48『厩舎街の殺人』の回では、書き忘れていたのですが。
『厩舎街の殺人』にも、よく似た短編作品がありまして。
それは、短篇集『教会で死んだ男』に収録されている『マーケット・ベーシングの怪事件』です。

(似ているお話なら、読まなくていいや)という方も、いらっしゃるかとは存じますが、
それはちょっと勿体ないのではないかな、と。
私個人的には思うのです。

せっかく、名探偵ポアロやクリスティ作品に興味を持たれたならば。
ぜひとも、どちらも堪能されることをおすすめしたいですね♪

本日の編み物作品は、こちら。

画像3

張り切ってご紹介するほどの物でもないのですが、鏡にまつわるお話の回でしたので

小型の鏡にぴったりサイズの、入れ物を前に編んでいたのを思い出したので、こちらにしてみました。

画像4

正確には、鏡というより【コンパクト】ですね!

もうすぐ処分するコンパクトなので。
これまでの感謝の気持ちを込めて、送り出してあげたいと思いますね。

最後まで、割れずにいてくれてありがとう✨

画像5

因みにこの入れ物は、腕時計などの小物を入れておくのにもちょうど良くて、重宝します。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?