生成AIプロダクトを「深めている人」、実は少ない説


筆者はソフトウェアデザイナーです。LLMに関するエンジニアリング的なバックグラウンドはありません。AIまわりのソフトウェアデザインをしながら、日々生成AIプロダクトを触りながら、観察や考えごとをしています。

深めた人だけが持っている力

生成系プロダクトを触ってみる人はたくさんいる一方、実は深める人はなかなかいません。深める人としては、私はこのような定義を持っています。

  • 深めている人が持つ能力

    • あと何手で希望の生成に辿り着くかがわかっている

    • アタリがついていて「この調子だとあと30回くらい生成すれば望み通りのものが生成できそう」だとわかる

しかし、そうでない人にとって生成は 終わりの見えない旅 です。今までやってきた手法なら「このくらいなら30minあればよいな〜」などアタリがついているので、そっちを選んでいる方が大多数だと思います。特に仕事の場合、現在工数が読めない生成という方法をわざわざ取りません。

B=MATの法則にならって考えてみる

こばかなさんによる、人が行動する方程式 B=MATの法則にならってみます。

  • Motivation (動機):

    • 必要に迫られていない

    • これまで通りの生産性で充分需要がある

    • AI活用の場合は工数が不明

  • Ability (実行能力):

    • 使い方はわかるが、使いこなせていない

  • Trigger (きっかけ):

    • 触れる情報は多いし、新しいプロダクトが出てきたら使うことができる

業務での活用に関しては、きっかけはありつつも、動機と実行能力によって行動に結びつかなくなっているのではと思います。

美少女生成は無限にできる理由

一方、美少女生成などの趣味の場合、無限に時間を使っても良いので深めている人が増えているのではないかと考えています。ちょっと下記のきっかけは雑になってしまいましたが🫠

  • Motivation (動機):

    • 自分好みの可愛い女の子を見たい

  • Ability (実行能力):

    • 使い方はわかるし、試行を繰り返していく

  • Trigger (きっかけ):

    • 余暇の時間を利用してサクッと生成

生成AIの業務上でのメインユースケース

話は少し変わり、画像でも文章でも、生成のユースケースは2通りありそうだと考えています。
しかし、片方のユースケースを満たすプロダクトは現状かなり少ないのではないかと考えています。

① 統一感が必要なものを大量生成するユースケース

同一アプリケーションに利用するアイコン群、プラットフォームにおける紹介文やタイトル、プロダクトヘルプページなど、ある程度体裁が揃っていることが価値になる複数の生成物があると思います。例えばアイコンでいえば、角の形状や線の太さや間隔が揃っていることが肝要ですよね。

② 主役を張れるクリエイティブを作るユースケース

ブランドコピー、LPのメインビジュアル、アイキャッチ素材など、一枚でインパクトがあることが重要です。こちらに関しては、最終成果物の基盤やアイデア出しをしてくれるだけでも価値になります。大抵最終的には人間の手で調整や意思決定が行われるためですね。

💡気づき

実は現時点で、① 統一感が必要なものを大量生成するユースケースを満たすプロダクトはあまり観測できていません。Midjourney は4パターンなどしてくれますが、あくまでバリエーションの提案です。

今後、何かしらのプラットフォームに追加機能として出てきそうな気がします。あるいは、 Material Symbols and Icons - Google Fonts の UI のような、左サイドバーでスタイルを指定して、一貫性のあるものを生成 (絞り込み)できるプロダクトが将来的に出てくるのではないでしょうか。

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