九州の普通列車、たまに音楽
九州と言えば、水戸岡鋭治さんデザインのスタイリッシュな普通列車が多い。概ね、1990年代半ばから携わるようになって、日本離れしてるとも言える見た目や日常で使いやすくする工夫が垣間見える。「サイコロきっぷ」の旅では福岡地区でたくさん乗ってきて、関西とは一味二味違っていていろいろ感じることが多い。そんな出会った普通列車の数々を2本に分けて綴っていく。
813系
北部九州ではよく見られる赤い電車。大量生産されたせいか、この列車がやってくる確率が高い。僕はこの3日間で4、5回は乗っている。
車内の座席は2+2で新快速などと同じ。北九州市方面ではちょうど良いが、福岡市内に近づくとこの設計がかなり仇となって混雑が激しい。昼間であってもこの形式に乗ってしまうとどの車両もかなりきついこともあった。順次座席の撤去が行われ、キャパアップしているが、今度は座席とともに取っ払った暖房装置が減って「寒い」なんていう新たな問題も発生。良いのやら悪いのやら…
2日目の夕方には小倉から博多まで快速大牟田行きに乗って、夕暮れの音楽と楽しんだ。
ラッシュ突入17時ということも相まって満席と立ち客ちらほらで小倉を発車。そのまま、黒崎、折尾、福津市福間、古賀、香椎など福岡北部のベッドタウンに細々と停まっていく。
そして博多に着くと今度は帰宅ラッシュピークの方角となり、車内はすし詰め。この日は全車クロスシートだから余計に混雑が目立ってしまう。
811系
JR発足から間もない頃に投入された車両。「水戸岡デザイン」ではないものの、「New Rapid Train」というどこかで聞いたようなキャッチフレーズや青と赤の帯が「新時代到来」を感じさせる。
813系と同じく2+2。都会の普通列車では珍しくゴミ箱がある。京阪神ではまず見られないしありがたい。
リニューアル車
登場から30年が経ってリニューアルが施されるようになった。水戸岡さんプロデュースで青をベースにしたビジュアルになって、混雑緩和のためにロングシートに変更。さらに「Commuter Train 811」と切手のようなギザギザが入った「CT」ロゴが付けられた。
RED EYE×音楽
このリニューアルで一部、変わり種も生まれた。
2編成は先のリニューアルにプラスして、線路をモニタリングする機器を搭載。「RED EYE」と命名され、前面の「CT」は赤色で区別されている。言うなれば人を運びつつ、「ドクターイエロー」のようなことを簡単にやっている。この仕組みは九州新幹線800系でも行われていて、高頻度で手軽に検査が行えるようになった。この車両に博多で出会って、鳥栖まで南下した。
博多から遠ざかると人が少し減って、次の南福岡では後ろ4両を切り離した。福岡近郊で8時台でありながらも、4両の快速でもちょうどよくなっている。
原田駅では「リレーかもめ」の通過待ち。九州や沖縄では「原」を「はる」と読ませることが多い。元宮崎県知事も「東国原」と読ませるぐらい。ただ、「佐土原駅(宮崎県)」などの例外もある。駅名を覚えていてもどこか慣れないこの法則。余談でした。
815系
鳥栖で降りて今度は区間快速八代行きで大牟田へ向かう。主要都市故にかつては1本で大牟田や熊本荒尾へ行けるのが多かったが、鳥栖を境に分割、あるいは二日市や鳥栖などから各駅停車になる列車が多くなり、快速は2両のワンマンで走ることも多くなった。やっぱり鉄道も稼がなければという焦りの現れの合理化なのだろうか。
それはさておき、ここから乗り込むのは815系。熊本と大分に集中投入された「赤い電車」この2か所ではやたらとよく見かける。ちなみに時々ではあるが、博多に出没することもあったりする。
外観とは裏腹に中は黄色がメイン。運転台周りも丸みを帯びたキューブのような形をしている。のちに登場した電車にもこういうデザインが波及されている。一方で壁や座席はモノトーンでスタイリッシュ。日立製作所が開発した簡素な工法で作って、コスパを良くしてると聞いたが、それでもここまで洒落たのが作れるもんだ。
鳥栖を発車し筑紫平野を南下。田園地帯が広がって、久留米前後では九州新幹線も寄り添ってくる。また、通過駅もそこそこ多くて、大牟田手前では100㎞/hをマークして飛ばす。2両というサイズ感とは裏腹な感じ。
その2へ続く。
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