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近鉄特急エトセトラ

今回は「近鉄全線3日間フリーきっぷ」という乗り放題きっぷで東は名古屋から西は大阪、南は奈良まで乗り倒してきた。そのうち、4種類の特急にも乗車した。

ビスタEXエックス

最寄り駅まで自転車に乗って、京都駅までいって旅のスタート、プラス列車で食べるおやつと晩ごはんの弁当を買い出しに行った。

買い終えて、京都から大和八木へ向かう。最初は急行電車で行こうとも思ったが、ゆっくりおやつを食べたかったので直前で特急券を買った。せっかくの旅だし贅沢したいし、なんせ近鉄はこれでもかと特急電車のバリエーションが豊かだから。

まず最初は「ビスタEX」による橿原神宮前行き特急(通称京橿けいかし特急)。近鉄特急長年の名物である2階建て特急の3代目だ。時刻表では「Vista Car」の「V」を模したロゴで示されていて狙って乗れる電車だ。(稀に車両変更されることもある。)

2階は通常の座席、1階はヨットのキャビンをイメージした個室となっている。今回はこの車両で指定した。

2階席とあって見晴らしはこんな感じ。すれ違いや各駅停車を追い抜くときはその高さが実感できる。

ちなみにこの電車、『おジャ魔女どれみ』のスピンオフ映画『魔女見習いを探して』でも実物が登場したことがある。それに因んでスタンプラリーや車内装飾などが展開された。映画で主人公たち3人は京都から奈良まで乗っていたのだが、僕もその同じ風景の8割を見ながら乗っていて、思い付きながらちょっとした聖地巡礼したことになった。

ということで今回もプレイリスト作ってみました。余談だが、割りと頭使うからいろいろ疲れたりするのが本音だ。それでも思い出作りには外せないもんだ。

アーバンライナーplus

大和八木で降りて、少し街ブラ。その後、名古屋行き特急(通称名阪特急)に乗り込む。

やってきたのは「アーバンライナー」。新幹線のスピードに対抗して、流線型のビジュアルと長時間でもくつろげたり仮眠できる快適さ、新快速と同じMax130㎞/hという高スペックで勝負に打って出てた意欲作。「デラックスカー」という近鉄版グリーン車を備えたハイグレードさで名古屋〜大阪難波間で停車駅の少ない「甲特急」を担当。2003年には「アーバンライナーnext」に合わせてリニューアルし、「アーバンライナーplus」を名乗っている。「ひのとり」デビューまでは「近鉄の顔」だった。加えてラグビー実業団チーム「花園近鉄ライナーズ」の名の由来やマスコットのモデルになっていたりするほどの栄光だった。

フットレストの他、リクライニングすると、座面が浮き上がるように傾く「ゆりかご型シート」という独自仕様も備え、「ドル箱特急」にかける本気度が見える。

出入り口付近頭上にはディスプレイがあって、降り口を矢印のアニメーションで表示する他、新幹線のように文字ニュースや天気予報を流したり、日中のみ前面展望を映すこともある。
「ひのとり」デビュー以後は「アーバンライナーnext」ともども脇に回って細々停車する列車にシフトしているが、比較的グレードの高い部類だからか遜色はない。非常に心地よい2時間弱だった。

途中、三重県内では雪が降ってきた。アルバムビジュアルで雪が降っている「絶対零度」がよく似合った。

ひのとり67列車

2日目のクライマックスは近鉄最新鋭でハイグレードな特急「ひのとり」に乗り込む。

到着の瞬間には演出として暖色の蛍光灯が光り、発車メロディも鐘をモチーフにした専用のものが流れる。超豪華特急「しまかぜ」に次ぐ気合が見れる。また、個別にある列車番号が「ひのとり」では乗客向けにも案内される。

車内に入ってまずは大型ロッカーにスーツケースを預ける。一部のロッカーは「ICOCA」「PiTaPa」などの交通系ICを鍵代わりに使える先進的なものでいずれもタダ。忘れ物に意識さえすれば便利なものだ。

この向かいにはフリースペースのベンチがあって誰でも使える。気分転換や通話など使い方はいろいろ。

そしてこの「ひのとり」ならではのものがこの「カフェスポット」。左ではコーヒーマシン。右にはお菓子や「ひのとり」グッズを始め、パックの紅茶やココア、インスタントのたまごスープもある。飲み物系は左のマシンからお湯をコップに注いで頂ける。こちらも特急券と小銭少々を持っていれば誰でも使える。無類のコーヒー好きの僕はやっぱりコーヒーを飲まないわけにはいかない。

真っ赤なカップとブラックのコーヒーという良いビジュアル。高級感が漂う。一口飲んでみると良い温度で良いビター感。噂に聞いたクオリティは確かなもんだった。私鉄の特急電車でこんな美味しいコーヒーが飲めるなんて…

今回指定したのは「レギュラーシート」という普通車。とはいえ、リクライニングを倒すと座面も前に動く。後ろには「バックシェル」があって後ろに一切気を遣わない。さらに、空席か予約済みかが分かるランプもあって、ノンストレスで全2時間でゆっくりできて、「くつろぎのアップグレード」というコンセプトとはまさにこのことだし、特急券と別に「ひのとり特別車両券」がかかるわけだ。

雪上がりの夕焼けの中をトップスピードで駆け抜ける姿は韋駄天のようでカッコいい。名古屋線では津新町行き普通電車を何本も追い抜いていくし、大阪線ではトップスピードで伊賀の山間を「火の鳥の飛行」の如く飛ばしていく。そんなイマジネーションとBPM高めの曲を聴くと泣けてくる。

伊勢志摩ライナー

3日目のフィナーレに「最後にもう1本特急に乗ろっかなぁ」そう思って大和西大寺で考えていると、ちょうど1時間後に「伊勢志摩ライナー」の京都行きがあるのを発見。京都までの520円の特急券を購入した。ショッピングモール「ならファミリー」で暇を潰した後、いざ乗車。

赤と黄色があるうちの後者がやってきた。「アーバンライナー」を彷彿とさせる流線型で「デラックスカー」や「サロンカー」というボックス席も備えている。

車内は木目の壁と伊勢志摩の海をイメージさせる青い座席、ここもフットレスト付き。伊勢志摩は近鉄がここぞと力を注いだところだからやっぱりこれぐらいのグレードは必要だと感じる。短距離ではなかなか惜しいところ。

今回は4つの近鉄特急に乗ったが、まだまだこれでも3分の1ぐらい。「しまかぜ」「青の交響曲シンフォニー」「さくらライナー」その他、多種多彩な「汎用特急※」など「特急王国」はまだまだ奥が深い。

※「Aceエース」「ACEエーシーイー」「サニーカー」などの特急があり、2両から10両まで連結パターンが多彩なのが特徴。「ビスタEX」も連結可能で通勤から観光、大きいから小さい路線まで行ける近鉄特急最大の利点である。

さらに京都〜奈良〜大阪難波をつなぐ新たな観光特急「あをによし」もデビュー予定。何度でも使ってみたいフリーきっぷだ。

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