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最強寒波におにぎり求め九度山へ。

「今シーズン最強寒波」がやってきた。ふと雪を見たくて列車旅したくなった。

右が大雪の運転状況。
左は地震によるサンダーバードの一部運休お知らせ
京都駅のディスプレイには「北陸線」などの終日運転取りやめ案内
北陸線で育った僕でも経験がない。

しかし、近畿の北側3分の1ぐらいのJR在来線が終日運休。北へ向かう列車は米原or近江舞子止まり、特急も運休になった。去年ぐらい荒れた天気となったが、それでも、雪が見れる路線がこの逆の方角にある。

南海高野線

南海なんば駅
気象状況によって運休可能性ありという文言。
ギリギリまで動かすのは私鉄にはありがち。

全路線のうち南側は標高が高くそこそこ積雪地。府県境の和泉山脈を峠越えし、紀伊山地を登っていく。終点である和歌山県高野町では10センチ積もることもザラだ。

この日も通常運行していたが、「運転見合わせの可能性あり」という条件付き。私鉄だと大雨でもこういう表現を使うから、よく分からない。帰って来れる保証がないまま勢いで乗ってきた。

急行高野山極楽橋行き

なんば駅から「高野山/極楽橋」行きに乗り込む。「大運転」と呼ばれるフル走破する急行や快速急行はかつては昼間でもたくさん走っていた。ただ、ダイヤ改正を重ねるにつれて、橋本駅を境に分割された列車がほとんど。今は午前に多い。

ズームカー

2000系

2000系がやってきた。「ズームカー」と呼ばれる登山電車仕様。車体が短く、馬力が高い。

南海本線の2000系。
ドア位置が異なるので「2扉車」という表示をしている。

「大運転」縮小に伴って一部は南海本線に異動したが、大部分の車両が高野線にいる。

半年前、梅雨入りしたばかりの高野線を乗ってきた。雨だと空回りしやすいがこの電車ではそんなことがなかった。過酷な環境でもものともしない高性能電車だ。

あ、同学年や。
ボックス付き
和泉山脈の方に雪雲
トンネル抜けたら雪国。
橋本駅

橋本駅までやってきた。

駅員が立つ
幌を外す
全員降ろして、後退。

この駅で8両のうち、後ろ4両を切り離す。この先の駅は4両までが上限となり、「ズームカー」以外の入線はできない。高野線の本性がここから現れる。

九度山駅

途中下車
九度山駅

約1時間乗って、九度山駅に降りた。「九度山町」は真田昌幸と幸村親子が蟄居を命じられ、移り住んだゆかりの町。

真田家ゆかりの町

六文銭と赤い装飾

駅には真田家の家紋「六文銭」や真田軍の特徴である「赤備え」の装飾が施されている。

中百舌鳥(なかもず)で撮った赤備え電車

2016年の大河ドラマ『真田丸』放送期間中には赤備えのラッピングを施した「2000系」も走っていた。

九度山名物をいただく

そんな九度山の駅ナカにおいしい名物がある。

「おむすびスタンド くど」。九度山駅の「橋本、なんば方面行き」ホームにある。改札内なので降りなくても大丈夫。また、駅舎脇の看板からカウンターに向かうこともできる。

恵方巻きもある。
おにぎり屋さんならでは

注文し、ポケベルを受け取り、イートインスペースへ。このイートインスペースを見ると一気にテンション爆上がり。

電車小屋

え!貫通扉?!
幌や!
ドアや!
しかも上ごと!
窓も!
ベビーカーマークと廃車時点での広告。
10年経ったら懐かしくなるんかなぁ。

これ、7100系じゃね??!!!

部品の元となった「7100系」電車
2024年現在でも南海本線の普通、急行「特急サザン」などで活躍している。

電車の廃車部品をこの建物で再利用しているではないか!部品の元は高野線の電車ではないが、そこまでしてまさか鉄分高いとは思わなんだ。

コアなお宝

CTC制御盤
列車の動きがリアルタイムで分かる他、分岐の切り替えや信号操作などを一括管理していた。

運転指令で使っていた制御盤もある。「鉄道博物館か」と言いたくなるコアなお宝だ。

半世紀前の路線図

大阪市内近辺。
2路線が廃止され、2路線は「阪堺電車」に分社化。
泉佐野から関西空港までがまだない。
和歌山市周辺にあった路面電車網
かつては和歌山市から海南(かいなん)市にも路線があった。

南海の沿線図はかなり昔のもの。かつて、なんば駅に設置されたもので1960年ごろに制作されたものだそう。

  • 関西空港駅とりんくうタウン駅が未開業

  • 和歌山軌道線、北島支線、平野線、天王寺支線→廃止

  • 「南海ホークス(現ソフトバンク)」本拠地「大阪球場」→再開発されて「なんばパークス」に。

  • 今の「阪堺電車」が南海自社線の時代。

  • 「JR片町駅(1997年廃止)」「湊町駅(JR難波)」「東和歌山駅(JR和歌山駅)」が書かれている。

半世紀以上前の路線図で廃線や60年の間に何があったかピンとくる僕。これを見るだけでも南海沿線の歴史が分かる。

こんなところも鉄

これ網棚や!
最初は気づかなんだ。

ベルが鳴って、カウンターに行ってみるとこれも網棚を活用していた!恐れ入った…

くどセットB

くどセットB
左からいなか梅、金山寺味噌、はたごんぼのきんぴら
汁物は粕汁

注文したのは「くどセットB」

  • おむすび3種(いなか梅、金山寺味噌、はたごんぼのきんぴら)

  • 粕汁(味噌汁に課金して変更)

  • 色川ほうじ茶

まずは「いなか梅」かなり酸っぱいが甘さもほんのり。ごはんは「おくどさん(京言葉で「かまど」)」で炊いていて、炊きたてふっくら。店名はこの言葉と駅名を掛け合わせたもの。間違いないおいしさだ。

和歌山名物「金山寺味噌」。1回は食べてみたいと思ってようやくありつけた。味噌のコクの中に甘味、醤油の香りもする。「醤油のルーツ」と言われるだけある。

聞き慣れない「はたごんぼ」。「ごんぼ」は「ごぼう」のことで、橋本市「西畑」で栽培されているご当地野菜だ。即ち、「西畑(にしはた)のごんぼ」という意味だ。
厚みのあるごぼうはシャッキリしている中でも少し柔らかい。こんなごぼうはなかなか知らなんだ。

普段は味噌汁だが、課金して粕汁にしてもらった。甘味と五臓六腑に染み渡る温かさがいい。

色川のほうじ茶
形からしてレトロな汽車旅。

ほうじ茶の名前にある「色川」は那智勝浦町にあった村のこと。今でもブランド茶として広く流通する。スッキリしていていい香りだ。

電車を見ながらおにぎりランチ

横を電車が走っていく。ストーブであったまりながらも相まってかなり贅沢だ。


大寒波の中、訪れたおにぎり屋さん。あったかいイートインスペースで心も体もあったまるし、鉄道魂も燃えたぎった。他にも地元産にこだわった具がたくさんあるそう。「天空」って電車で来てみたいなぁ。

ごちそうさまでした。

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