解散した良いバンド

どんな良いバンド、アーティストでも永遠に続くわけではない。いつか、「解散」「活動休止」のときがやってくる。僕が好きなバンドでも解散してしまったというのは少なくない。そんな中でも、周りの知名度は低いかもしれないけれども、僕が解散を惜しむほどいいと思うバンドをご紹介しよう。

まずはこちら。元々SNSを通じて出会ったという今どきで異色の結成経緯を持っているmahocato(マホカト)さん(Gt/Vo)、やすだちひろさん(Ba)、KJ(ケージェー)さん(Gt)によるスリーピースで、プラスサポートドラマーで活動していた。。可愛くハスキーなボーカルmahocatoさんの歌声にポップなメロディーをMVで見た僕は惹かれていって、ライブには解散までに3回見に行くまでに。さらに、やすださんはファッションデザイナーとして若い女性の支持が高いこともあってかライブ会場は珍しく女性の比率が高かったような印象があり、実際に僕の周りの女子でもこのバンドを知っている人が2人ほどいた。
そんな中2019年10月のライブをもって惜しまれつつ解散。mahocatoさんは特技であるバイリンガルを生かしYouTubeや Instagramで英会話レクチャーをしたり、バンド時代から引き続いて歌を歌ったりしている。一方でやすださんは「poly」というプロジェクトを立ち上げボーカルとして曲をリリースしたり、生業としているファッションプロデュースも行っている。そして、KJさんも新たに音楽活動をスタートさせているという。

京都を拠点に活動していたスリーピースバンド。えみちょこさん(Ba/Vo)、だいじろーさん(Gt)、なずおさん(Dr)の3人で、プロフィールには

ポストロックをよりポップに消化し、独自の世界観を産み出す京都発3ピースバンド

というコンセプトで独特の世界観を表現していた。

元々は、KANA-BOONのボーカル谷口鮪さんがラジオでオススメしていたのを聴いたことでバンドを知った。そして、YouTubeの広告で上のPVが流れ、最後まで見ていて、バンド名で思い出し、そこからCDを2枚買うまでになっていった。
ボーカルえみちょこさんの透き通った歌声にだいじろーさんのテクニカルなタッピング、そして温かく癒されるメロディー。業界のみならず、世界でも賞賛され、カナダでライブツアーもしたほどの実力者なのがうなづけるほどだった。
しかし、2015年にバンドは解散。いつかライブを見てみたい想いは叶わなかった。それから、えみちょこさんはロックバンドWOMCADOLE(ウォンカドーレ)の楽曲でコーラス参加、なずおさんは「境井祐人」名義で「the engy(エンギー)」のドラマーとして、各々音楽活動している。そして、ギタリストだいじろーさんに至っては「JYOCHO(ジョウチョ)」というソロバンドを立ち上げ、これまで計6作品をリリースしている。さらに、LIONの柔軟剤「ソフラン」やコスメブランド「dejavu」のCMソングにも起用され、あのタッピング術をテレビの前で聴けて僕は非常に嬉しかった。
解散したとはいえ、今の「JYOCHO」でのタッピング術は「宇宙コンビニ」のイズムが生きてると僕は感じる。

最後はこちら。京都を拠点に活動していたフォーピースバンド。バンド名は「It comes to be come(なるようになる)」が由来。

明日に希望を見いだせない人へ、そこから抜け出せる数分間を。

これが「イトカムトビコ」の曲のコンセプト。ボーカル七燈(ななほ)さんのしっとりとした優しい歌声はこのバンドの持ち味。元気は出なくても、どん底の暗い気持ちに寄り添ってくれそうな雰囲気。
他との対バンでこのバンドを知って、ゾッコンになった僕は即CDを購入。夜の帳が下りた頃の列車内でよく聴くようになった。ライブに精力的に活動し、「Hakubi」のツアーファイナルのオープニングアクトとして目覚ましい活躍も印象的だった。
しかし、2019年11月のライブをもって解散。最後はアンコール無しで叙情的雰囲気で幕を下ろした。
解散は寂しかったものの、解散の最後の一瞬まで目撃できたのは初めてのことだった。さらにギタリストの藤田欣也さんは僕と同じ長浜市出身というのをツイッターで明らかにしていて、話しかけてみるとなんと、僕の母校の中学校の先輩というのが発覚。それが分かって、輝かしい活躍してる先輩の姿は非常に誇らしい。そんなバンドに出会えただけでも嬉しかった。
それから1年。イトカムトビコ公式ツイッターが久々のお知らせツイート。なんと、一夜限りの復活ライブをすることになった。無事にチケットを取り置いてもらうことができて当日が楽しみだ。

今回は解散してしまったけど、個人的にハマった良いバンドを紹介してきた。「イトカムトビコ」のように解散して復活、再始動する事例というのもあるが、あくまでもレアケース。2度と見られないということが多い。それでも、「JYOCHO」「poly」などのように新たに立ち上げた新天地での活躍はあのときのイズムを鑑みることができるし、バンド時代では見せなかった新たな発見もある。「解散=終わり」とも言えるが、新たなスタートラインとも捉えられるし、新たな道で活躍を広げている人もいる。それでも、解散したバンドは良いなぁと思え、ノスタルジーのようなものも感じられる。紹介したようなバンドは有名とはいかなくても、「ええもんでっせ」と思えるのではないだろうか。YouTubeが一般に広まった今、PVを残しているバンドも多いので紹介したのを含め覗いてみてはいかがだろうか。

ストリートミュージシャンの投げ銭のような感覚でお気軽にどうぞ。