AMとFM

AMを放送している民放ラジオの47局のうち、北海道、秋田を除く44局で2028年までにワイドFMに一本化され、AMを廃止することが発表された。その理由として、設備の老朽化や広告費の減少で維持が難しくなったことなどを挙げている。ただ、AMとFMの電波の特性に違いがあるからけっこう影響が大きく、ラジオ好きの僕にとっても一大事として認識している。

AM、FMとは?

電波の性質の違いからAMとFMに分けられている。AMラジオは、中波と呼ばれ、広範囲に電波を届けることが可能となっている。それ故に海外のラジオ、とりわけ朝鮮半島から届くことがあって、ラジカセの周波数をいじっていると、ハングルの放送が混じってるなんてよくある。また、電波状況を報告すると「ベリカード」という受信証明書が局からもらえることがあるが、ラジオ関西では過去に北欧にこのカードを送った事例があったそう。それぐらい環境によっては電波が広く届く特性がメリットだ。

一方で、FMは超短波放送と呼ばれ、狭い範囲で音質の高い音声を届けることが可能となっている。県域などを民放やNHKが放送している他、市町村単位でコミュニティFM、東日本大震災直後には臨時災害放送局として三陸沿岸各地でFM電波による情報発信がなされた。狭い範囲の地域密着的放送が可能となっている。
また、音質が高いこともあって、NHKのFMではクラシックを始め、音楽番組が多数あり、民放局でも1番組あたりの音楽の構成が比較的多くあり、この点もメリットと言えよう。

デメリット

ただ、各々デメリットもある。AMは広い範囲の電波を拾うため、混信やノイズが多い。さらに、マンションやビル群など建物の環境によって電波を受信できないことも多い。ちなみに鉄筋コンクリートの自宅アパートもAMが入りにくく、ワイドFMに頼ったり、NHKだと、 radikoあるいは「らじるらじる」を使ったりしている。

FMは狭い範囲に電波を届けることから、遠いところでは中継局が必要だったりする。長浜に住んでいたとき、帰省したときに普通のラジオでe-radioを点けているとまあまあノイズが大きかったのを覚えている。2020年には長浜に中継局が作られたことで幾分改善しているだろうが、このとき、実家が神戸に移転したのでよくわからない。

存続を決めた北海道と一本化する京都

AM局のうち、北海道の2局(北海道放送、STVラジオ)はAMの存続を決めている。北海道全域という広大な放送範囲をFMでは補いきれず、広く届くAMとFMの併用がいいと決めたわけだ。
対して、僕のご近所であるKBS京都はFM局に一本化するそうだが、現状は比叡山からしか電波を発信できず、京都市内より南側と滋賀県内のいずれも一部に留まっている。その他の地域、とりわけ亀岡市、南丹市より北側の地域で聴けるようにするためにはもう一つ以上中継局が必要となる。具体的にはまだ分からないが、完全FM化というからにはこういうカバーをして、リスナーの流出を防ぎたいところ。個人的な提案だが、だいたい同じ範囲をカバーしている府域のFM局『αstation』の中継局を間借りしたりするのもどうかと思うが今の技術でできるのだろうか。

個人的な思い出を交えてAMとFMの特性を解説してきました。「地デジ化」のアナログ放送のように淘汰されることのないAMですが、AMで親しんできた、あるいはFMが届かないからAMでというリスナーにとっては痛い話だと思います。とは言っても、radikoは大体の局をカバーするほど増えましたし、NHKも聴けるほどです。ただ、北海道、秋田が残そうとしているところからも、AMとFMは特性が違うから不便が生じやすい面が窺えます。リスナーが離れないためには設備投資を迫られることにもなるでしょう。ただ、「ラジオ離れ」で広告費が稼げず、その点は難しいことだとは思いますし、二重で維持していくのも容易ではないでしょう。とりあえず、各局のこれからの動向に注目していきたいと思います。

ストリートミュージシャンの投げ銭のような感覚でお気軽にどうぞ。