出産当日 6 ~出産事故と向き合った10年間の記録~

しばらくして大学病院の先生に呼ばれ、説明を受けた。
検査をした上で赤ちゃんの状況を説明された。

自分が早く知りたい事は、これからどうなるのか、なぜこんな事になっているのか、だった。
どうしてこんな状態なのか聞いたら、今は原因を追究することはやめましょうと言われた。
赤ちゃんなので2,3日で状況が良くなるかもしれないし、悪くなるかもしれないという説明だったと思う。
ただし、亡くなる可能性があることも伝えられた。

その後、面会しても良いとの事だったので、上が開いている小さな箱に入ったあかちゃんを見るためにNICUに入った。
廊下は静かだったが、中に入ると室内は明るく沢山の赤ちゃんいて、スタッフが大勢働いていた。
赤ちゃんに触ってよいか聞いて、小さな、小さな手を握った。
そして呼びかけた。

寝ているようにしか見えなかった。
ただ、動いていようが動いてなかろうが可愛く、愛おしい気持ちになってしばらくその場を離れることができなくなった。

大学病院からの帰り道、どうやって帰ったのか、覚えていない。
大学病院に遅れて到着した父母と一緒に、車で事故のあった病院に戻ったのだと思う。
大学病院で聞いた説明を妻に、どう説明すればよいかを考えていたことは覚えている。


そのまま伝えることはショックが大きいと思い、良い部分だけ伝えようと思った。
まだ赤ちゃんだから、色々な臓器も未発達だから、様子を見てみないと分からないと言われたと。

病院に帰り、処置が終わった妻と妻の両親と会った。
「大丈夫?」と言い、「赤ちゃんは今後の様子を見てみないと分からない。けど大丈夫だから」と言ったと思う。

その後、家に帰ったがガランとした家に一人でいると、大学病院で言われたことを思い出した。さっき触れた赤ちゃんがすぐに亡くなってしまったらどうしようかと正直怖かった。
怖くて寝られなかった。

#医療事故 #医療訴訟 #医療過誤 #脳死


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