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小さいころのときめき

幼稚園の頃、幼馴染のお母さんがおしろい花で、色水が作れることを教えてくれた。キラキラ輝くうす紫のお水を見た時のときめきを、おしろい花を見つけると今でも思い出す。

タチアオイの花を「コケコッコー花だよ」と教えてくれた。薄い花びらの付け根を2つに割り、鼻の上にくっつけてトサカのようにして、鶏の真似をして遊んだことを、タチアオイの花を見つけると思い出す。


私には自然の中に、
ときめいた思い出がたくさんある。


小学生の頃に好きだった『生活』の授業。

探検バックに地図を挟んで、学校のまわりを歩いたり、駄菓子屋のおばあちゃんにインタビューをしたり、図鑑を持って、道端の花の名前を調べたり。

当時覚えた花の名前は今でもしっかり覚えていて、オオイヌノフグリ・ホトケノザ・ヘビイチゴ・シロツメクサ。今でも道端で見つけるとちょっとうれしい気持ちになる。

ふわふわのうさぎにキャベツをあげたことも、田んぼに入って田植えをした時の泥のヌルっとした感触も、もう25年近く前のことなのに、本当に鮮明に思い出せる。


でも、数年前まですっかりこんなことは忘れてしまっていた。

仕事に忙殺され、朝から終電近くまでを会社で過ごし、休日は仕事しかない自分になりたくなくて、興味のある講座や資格を受けまくり、休みなんて無し。

趣味と言えるものもなくて、でもつまらない人間と思われたくなくて、ジムに通ったり、一人で旅行に出たり。でも本当に自分の心をときめかせてくれるものはなくて、充実している風な顔をして毎日を過ごしていた。


そんな日々の中、小さい頃のことを思い出したきっかけは、結婚を機にそれまで住んでいた住宅街から、一面田んぼに囲まれた、田舎のお家に引っ越しをしたことだった。

目覚めると部屋いっぱいに広がる朝日と鳥の鳴き声、
ご近所のおじいちゃんやおばあちゃんとの世間話、
あちこちに咲く草花。

馬を飼っているちょっと変わった旦那さんと結婚したことで、ありのままに生きる馬たちに触れて生活していることもあり、当時の記憶が日に日に蘇ってきて、『そうだ〜、わたし自然の中で過ごす時間が大好きだったんだ』と思い出した。

小学生の時に探検バックを持って歩き回ったあの時のときめきが日常生活の中に溢れて、心が躍った。


歳を重ねるにつれて、小さい頃の記憶はどんどん埋もれてしまう。

だけど、損得とか責任とか、誰にどう思われるなんてことは気にせずに、ただ純粋に、自分の興味のままに楽しんでいたあの時の『好き』の中に、大人になった今でも本当に自分を癒したり満たしてくれるものがあるのだと思った。


だからわたしは埋もれてしまっている、小さい時の自分を掘り起こしていきたい。

あの時大好きで夢中になって、心をときめかせていたものを、丁寧に思い出して、それが自分の心を癒したり満たしてくれるこの感覚をもっともっと味わっていきたいと思う。


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