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『匂いが命を決める──ヒト・昆虫・動植物を誘う嗅覚』

書籍情報

視覚と聴覚の彼方に広がる原始の領域 〈嗅覚〉。
匂いを介したコミュニケーションで命をつなぐ生き物たちの驚くべき物語とその未来の可能性。
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 ●なぜわたしたちの鼻は顔の中央、先端についているのか?
 ●なぜ動植物は、ここぞというとき「匂い」に頼るのか?
 ●「Eノーズ」は将来、匂いの正確な転写・伝達を可能にするか?

ヒト、昆虫、動物、魚、草木、花など多様な生物の「生命維持」と「種族繁栄」に大きな役割を果たしている嗅覚。
そこに秘められた謎と、解き明かされた驚異の事実とは──。
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〈 多様性にあふれる生き物たちとその「嗅覚」の不思議 〉
 ●雌を嗅ぎつけるため異常に巨大化したオス蛾の触覚
 ●フェロモンを追って雌の身体に溶け込む5cmの雄アンコウ
 ●腐食した樹木に仲間を呼び、かつ満員を告げるキクイムシ
 ●芳香や腐敗臭で虫をおびき寄せ、受粉をうながす花々
 ●刈られた芝が発するSOSの匂いが害虫を殺す受益者を呼ぶ
 ●地雷やアルツハイマー病患者を嗅ぎ分ける犬 など……

上記リンク先より

なぜ読んだか

最近、サイエンス系読んでなかったのでamazonで適当に見てたところ本書が目についた。嗅覚系の本読んだことないなと思い購入。

記憶にのこったこと

本書は色々な動物/植物がどう匂いを利用しているかを紹介していて、とてもおもしろい話が多かった。いくつか紹介。

ハンマーヘッドシャーク

そもそもサメも獲物を探すのに嗅覚を利用しているのは有名な話。
それに関連した話で、サメの鼻孔は顔の中央についていて、そのため単純にその状態だと匂いのもとがどの方向にあるかはわからない。だから、こそサメはあのように頭を左右に揺らしながら泳いでいらしい。(知らなかった!)
そしてハンマーヘッドシャークの場合、実は鼻孔はあの頭の両端についていて鼻孔の間に十分な距離がある。だからこそ、ハンマーヘッドシャークは匂いを辿るという観点でもあの頭の形にメリットがあるらしい。

人の女性の涙の効果

以下のように、人の女性の涙によって男性の攻撃性が緩和されるらしい。

女性から採取した感情的な涙の匂いをかぐことにより、男性のテストステロンレベルが低下することがわかっている。論文執筆者らは女性の涙に含まれる化学信号が、化学的な「やめて」サインの役割を果たし、男性の攻撃性や性的行動を低下させたのだろうと推測した。

本書59ページ

そして、この効果は最初は人の実験で発見されて、そのあと同じ実験をマウスでもした、そちらでも再現されたというのがまた面白い。

ネズミのブルース効果

これはヤバイと思った効果。
妊娠中のネズミのメスが、別系統のネズミの尿の匂いを嗅いだときに起きる現象。なにがおきるかというと、匂いだけで流産にさせるらしい。(これをブルース効果というらしい。)これはより強いオスと交配できるようにするためらしい。単純に自分の元パートナーの領域にはいってきてマーキングできるオスだから、元パートナーよりも強いはずだという理論らしい。
が、匂いだけで影響でかすぎて怖い。

感想

改めて人間がかなり視覚と聴覚に頼っていて、嗅覚をそこまで重視してないんだなと思った。逆にいうと一部の動物では人間でいう視覚みたいな扱いで嗅覚を使っていたりするので、世界の見え方(嗅ぎ方?)が全然違うはずだなと思った。
犬は人の癌とか病気も早期に匂いで気づけるという。一方でなんらかの感情になったときに人も微量の匂いを発生してたりもする。(上記の涙の話とか。)とすると、犬からすると、愛想よくして実際に人が「犬かわいい
」という感情を抱いたタイミングで匂いを介してその感情に気づけたりするのかも。匂いで嘘発見器とか作れたりするのかな。

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