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【#05浜松市3/14】新しい視座を手に入れられる 浜松市のスタートアップ報告レポート

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xG(クロスジー)メディアは自治体とスタートアップの共創に関する有益な情報をお届けするメディアです。
コンテンツ第一弾として、全国の自治体施策の報告会をnoteにまとめていきます。
『自治体施策を活用してみたいけれどよくわからない』と思っているスタートアップの方々の参考になれば幸いです。

読んで欲しい方

・自治体施策を活用したいけど概要がわからない
・実証実験のメリットを知りたい
・どのような成果があるのか知りたい

「浜松アクセラレーター2022」とは

『浜松アクセラレーター2022』では、浜松市内のものづくり企業をはじめとした地域企業と、全国のスタートアップの革新的な技術やアイデアとの融合によるイノベーションのモデル事例の創出を目指すもの。
本プログラムにはイノベーションへの強い意志と優れた技術力を持つ地域企業6社が参加し、スタートアップとのマッチングや共同開発プロジェクトの推進を浜松市及びCreww株式会社が伴走支援を行う。

プログラムで活用できるリソース

▶︎OMソーラー株式会社
(toB)全国の販売代理店ネットワーク
製品・技術
貯蓄データ
▶︎株式会社システック
お客様との開発ネットワーク・協業体制
ハードウェアからソフトウェアまでのワンストップの開発体制
高速通信技術に関する技術・知見
▶︎株式会社ミダックホールディングス
廃棄物処理に係る設備
広域な顧客ネットワーク
廃棄物ならびに焼却エネルギー・副産物
▶︎やまと興業株式会社
幅広いサプライチェーンの活用
技術・製品
国内外での開発・量産体制

採択企業全4社の実施報告レポート

OMソーラー株式会社

テーマ:工務店向けAI 電話応対サービス
協業先:ユニロボット株式会社(東京都)

●会社概要

OMソーラー株式会社は、太陽エネルギーを活用して人々の暮らしを豊かにすることを目指す。自然の恩恵を受けながら、自然のリズムに調和した家づくりを重視し、温度変化やエネルギー消費を最適化する設計手法を用いる。同社はAll Time Real ZEH(ゼロエネルギーハウス)を提案し、太陽熱を活用したパッシブデザインや全館空調システムを開発・販売しており、セミナーやコラムを通じて、持続可能な住まいやSDGsへの取り組みに関する情報の発信も行う。

●実施概要と成果

AI電話を利用したユーザー問い合わせ対応窓口の開発(ユニロボット株式会社)
住まい手にとって機器の不具合については24時間365日のどこで発生するかわからない。問い合わせ出来る時間は対応する会社(工務店)の営業時間に限られてしまう。
AI電話を利用することでユーザーのいつでもつながる安心を提供するとともに、会員サービスとして工務店の業務の手助けになる商品としての販売を検討している。OMソーラー社内のサービスとして検証し、得られた知見をサービス改善に繋げた。

●今後のアクション

今後は、工務店への展開を進めるとともに、システムの機能やサービス範囲を拡張していくことを検討中。具体的な拡張機能としては、モデルハウスや見学会の予約受付、イベント開催に関するリマインドコール、キャンペーン案内、季節のメンテナンス案内など、顧客とのコミュニケーションを円滑に進めるための機能を予定している。

xGメディア事務局コメント
OMソーラー株式会社は、持続可能な住まいとSDGsに注力していることから、今後成長が見込まれる企業だと感じました。協業先であるユニロボット株式会社との共同プロジェクトで開発したAI電話を利用したユーザー問い合わせ対応窓口は、顧客対応の効率化やサービス向上を目指すもので、市場動向としては需要が見込まれると考えられます。
しかしながら、AI電話による対応窓口の技術的な信頼性や品質が、顧客満足度にどの程度影響するかは考慮しなければなりません。AIの対応が不十分であれば、顧客満足度が低下し、企業の評判に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、競合他社による同様のサービス開発や、新たなテクノロジーの登場によって、市場優位性が失われるリスクも考慮する必要があります。市場の競争力を維持するためには、継続的な技術革新やサービス改善が求められていくでしょう。

株式会社システック

テーマ:非GNSS 環境下での高精度位置測位システム
協業先:Hmcomm 株式会社(東京都)

●会社概要

株式会社システックは、高速通信時代のモノづくりパートナーとして、5Gの世界へビジネスチャンスを提供する。技術力、開発力、スピード、コストでお客様に貢献し、無料システム相談も実施。主な事業内容には高速通信制御事業、受託開発・製造、技術者派遣、オリジナル事業がある。

同社は、インテルやXILINXといった海外半導体メーカーからパートナー認定を受けており、MECHATROLINK協会にも所属。これにより、さまざまな対応製品の設計開発や製造を請け負うことが可能。

●実施概要と成果

GNSS測位技術(高度な国土管理のための複数の衛星測位システム)を活用し、トンネル内や橋の内部・下部などの環境でも正確な位置情報を提供を目指す。例えば、トンネル内での工事や施設保全の維持管理において、正確な位置確認や落下物の把握が可能になるため。実際に車を使用した実証実験を行い実現可能性を確認した。

●今後のアクション

中日本管轄地域におけるGNSS測位技術利用車両数は、2020年9月時点で約1,800台となっており、全国規模ではこの数の5倍にも及ぶ。この膨大な数の車両に対して、カメラや通信システムを導入することで、より効率的な運用を目指す。

xGメディア事務局コメント
インフラ整備や保守管理に関わる技術の需要が高まる中で、GNSS測位技術の活用が今後さらに広がることが予想されます。ただ、競合他社との競争や技術の進歩が急速な市場環境を踏まえ、同社の技術力や開発力が継続的に維持・向上されるかどうかが懸念点となります。
さらに、GNSS測位技術の導入においては、インフラ整備やコスト面が課題となる可能性があります。しかし、中日本管轄地域での利用車両数が増加し、全国規模でこの数がさらに5倍にも及ぶと予想されていることから、大きな市場が存在することが伺えます。カメラや通信システムの導入を通じて、効率的な運用が実現されることで、システックの事業がさらに拡大していくでしょう。

株式会社ミダックホールディングス

協業先:株式会社piland(東京都)
テーマ:ICT 技術を活用した災害廃棄物の発生予測

●会社概要

ミダックグループは、次世代に美しい地球を残すために、水、大地、空気、そして人の共生を目指す環境創造グループです。地球に優しい廃棄物処理を追求し、産業廃棄物の収集運搬・清掃や処理、最終処分などの事業を展開。また、一般廃棄物の収集運搬も行っており、許可証(収集運搬)は12自治体を取得。ミダックグループは2022年4月に70周年を迎え、環境測定情報や温室効果ガス排出情報の公開など、サステナビリティにも取り組む。

●実施概要と成果

平時においては、地域ごとの災害リスクを分析し、最適な処理方法や施設配置を検討することで、事前に災害廃棄物の処理計画を立て、災害廃棄物処理計画策定支援を行い、地域の防災力を高めるシステムの考案、今後開発に取り組んでいく。

●今後のアクション

災害廃棄物仮置場での廃棄物の集積量を見える化し、最適な処理方法や運搬ルートを提案する機能を備え災害時に迅速かつ効率的な廃棄物処理を可能とし被災地の復興をよりスムーズに進めることを目指す。

xGメディア事務局コメント
ミダックホールディングスの取り組みは、環境問題に対する意識が高まる中で、サステナビリティや環境負荷の低減に重点を置いていることが魅力的です。また、同社が70周年を迎え、サステナビリティに取り組む姿勢を継続している点もポジティブな印象です。
懸念点として新技術開発や施設投資に関する費用が増加し、業績への影響が懸念されます。さらに、環境法規制の変更や地域社会との関係構築など、外部環境の変化に柔軟に対応する必要があると感じました。

やまと興業株式会社

協業先:Blue Farm 株式会社(静岡県)
テーマ:山間地茶園と粉末化技術を活用したサステナブル緑茶事業

●会社概要

やまと興業株式会社は、自動車部品事業とエンターテイメント事業を主軸とする多様な事業を展開。自動車部品事業では、コントロールケーブル製造やパイプ加工をはじめ、樹脂部品やセンサー部品、超硬合金ドリルなどの製品を40年以上の実績と独自の技術開発をもとに、高品質かつ信頼性の高い製品を提供。

一方、エンターテイメント事業では、超高輝度LEDを利用した光事業やイルミネーション、自社ブランドの基板実装やハーネスなどの開発・販売を行っており、さまざまな分野から注目を集めている。また、実店舗「アヴスウェ」の運営や、玩具・雑貨のOEM開発、粉末茶製造販売などを手がける。

●実施概要と成果

海外でお茶の葉っぱの人気が高まっているものの、農薬規制やオーガニック栽培などの課題がある。また商品開発においてストーリー性をPRできる要素も重要であると考えている。そのため付加価値の高いサステナブルな粉末茶の製造に取り組む。お茶の有機農法技術や生産者ネットワーク、工業で培った微粉末技術や生産管理などお互いの強みを生かし今後協力関係を築いていく予定。

●今後のアクション

今後CHA-OIフォーラムやJETRO海外進出支援などの国際イベントやプログラムに積極的に参加して、補助金や資金調達の機会を最大限に活用していく方針。これにより、事業拡大のためのリソースとネットワークを目指す。

主要なターゲット市場として、ドイツ、アメリカ、台湾を選定し、これらの市場においては、それぞれの国や地域の消費者ニーズや好みに合わせたパッケージデザインや商品開発を行う予定。また、味の調整を行い、各市場の消費者にとって魅力的な商品を提供できるよう努める。

xGメディア事務局コメント
やまと興業株式会社は、自動車部品事業とエンターテイメント事業を主軸に、多様な事業展開を進めており、今後の成長が期待されます。また、お茶の葉市場は、海外でのお茶の人気が高まっていることから、今後さらなる需要拡大が予想されるため、魅力的な成長市場であると言えます。
農薬規制やオーガニック栽培といった課題が挙げられることから、サプライチェーンの確立や品質管理が重要となります。また、ストーリー性をPRできる要素が重要とされているため、マーケティング戦略の構築が求められるでしょう。

まとめ

発表内にて「課題を解決し新しい展開を創り出すことが出来た」
「自分たちだけではない新たな視点からの意見を取り入れることが出来る方法だと感じた」などのコメントも多く、スタートアップと協業するメリットを大いに感じるものでした。
浜松の企業が持つ独自の特性と、全国のスタートアップが持つアイデアや技術を組み合わせることで、地域の発展にもつながり、日本経済全体の活性化にも貢献することができるでしょう。今後も、このようなプログラムが展開され、地域とスタートアップが協力して、新しいビジネスモデルや製品・サービスを生み出していくことを期待したいと思います。


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