見出し画像

【僕ヤバ感想】Karte.80 僕はおままごと

※この辺境感想に、noteユーザー以外の方からも閲覧頂き、スキまで頂いていて毎回ビックリしております。どうやって見つけられたのかな。ともあれ、なにかおもしろいと思っていただけたなら幸いです。しかし皆さんどこからたどり着くのかな。タグかな。

 で、お話は恵比寿にたどり着いた市川。そう、雑誌の撮影とかドラマの撮影、早朝が多いんだ(早朝散歩しているとたまに見かけることがある)。市川が教えられた時間より山田は1~2時間早く起きて集合し、メイクや打ち合わせに挑んでるはず。すごいね!この恵比寿、のだめのアンコール編のラストシーンでも出てきた。

 行く前におねえにファッションチェックしてもらう市川。いつもより中二病テイストは薄め。年相応で、ちょっとおしゃれが気になっている感じの服装。重ね着好きなのね。3月の早朝の東京は寒いしね(おねえの時計からも分かる)。

 でもその寒空の中で、どう見ても薄手のワンピースを着て撮影に挑む山田。プロなのか寒そうな素振りも見せず。でも市川を発見した途端一気に表情がいい方に変わる。

 ピエール・エルメのマカロンは編集者の差し入れかな(編集者って、現場の流れや空気を良くするのも仕事だし。経費で落ちるし)。終わってからね、と山田に釘を差してるのは、マカロン、歯にくっついたり、メイクが崩れちゃうからかしら。この釘を差してる人も編集者かな。今はその場で画像を取り込めて、紙面レイアウト考えられるから紙面づくりスピードアップしてそう。
 マカロン、美味しいよね。私も頂いたら大喜びしちゃう。ちなみに今回の舞台である恵比寿に、ジョエル・ロブションというお店があるけど、そこのもなんでも美味しい。食べたくなってきた。



 市川に、自分が考えて選んだ差し入れにそんなに引け目を持たなくていいよって言ってあげたい。
 大人が、こういう仕事場で選ぶ差し入れって「おしゃれなものを(ファッション誌だし)」「一口で食べられるもの」「手が汚れないもの」「名前が通ったもの(一発でこれ、有名な店のものだ!とわかり、値段がそれなりであると推察されるもの)」「差し入れで『選んだ人センスいい!』って思われるもの」「そんなに安いものは買えない」などの、本当に色んな要素や見栄、都合が絡み合って、計算しつくされた差し入れであることが多いからさ……市川は、「山田が好きそうなもの」、という気持ちで選んだ分、差し入れの気持ちは純粋だよ。絶対山田は嬉しいよ。
 市川の気持ちは「おままごと」なんかじゃない。

 逆に「おままごと気分なの?」って叱られそうなのは山田の方では。そりゃモデル業でも怒られてるでしょうよ、山田……。時間との勝負である撮影(日差しとか変わっちゃうし)をプライベートで抜け出したり、呼び出しであろう電話を切っちゃったり。
 雑誌の編集側とモデル(及びモデルエージェンシー)、協力体制であるのと同時に「雇用体制」でもあるからね。雑誌の売り上げ、編集方針、進行(撮影に遅刻しがちとか)などにマイナスの影響が出ると判断されたら、容赦なく仕事を切られかねない。

 濁川くんと心の会話をするけれど、濁川くんが市川に話しかけるとき人称が「お前」から「俺」に変わっていってる。最初の頼りなさげな濁川くんから随分成長して、市川の心に踏み込み、同化しているということなのかな。
 走ったせいで、市川の用意した差し入れの形が崩れかけているのが、まるで涙がこぼれているよう。

 市川の想像の中の、普通の中学生同士の二人が、なんとも言えず平和なだけに、どこか哀しい。叶うはずがないからか。

 市川は「モデルをしている山田」が好きなのではなく、もし山田が最初からモデルをしていなくても好きになっていたとは思う。
 前、「習い事をやめたときに親御さんが山田に美味しいごはんを作ってくれるのは、山田が前を向けることを知っているから」って市川が言ってたけど、それは市川の気持ちでも合ったのでは。「モデルをしている山田」ではなく、「辛くて挫折しても、また立ち上がってがんばり続ける山田」が好きなんだろう。
 だから市川は、自身の言葉で「辛くても、モデルの仕事が好きだと気づいた山田」を知った途端、山田の葛藤や自分の思い違いに気づいて、その「好きなこと」を大事にしてほしいと思ったんじゃないかな。 
 

 映画の卒業のように走り出すけれど、山田はこのまま市川が撮影場所から連れ去るとでも思ったのかしら。それとも市川のことを信頼してぎゅっと強く手を握ったのか。
 
 最後の登場人物(途中にも出てきたけれど)、多分マネージャー(女性)だろうな。中学生モデルに、異性のマネージャーは多分つかないだろう。なかなかミステリアスな雰囲気。雑誌の編集者側の人間だったら山田のこと、呼び捨てにはしないだろう。しかし、ヒールのコツコツいう音って威圧感あるよね。

 前は仕事を楽しんでる山田に遠い距離を感じてたけど、結局のところそれも市川から見た印象に過ぎず。山田は山田で市川の気持ちを分かってない。山田は市川に自分のことを知ってほしい、から今日撮影現場に招待したし、市川もその気持に応えて(逃げ出しかけたけど)、今山田がいるべき場所は撮影現場だ、と腹をくくった。山田は市川のその覚悟をきちんと知ろうとできるか。次回頑張る必要があるのは市川じゃなくて、山田かもね。周りの大人への説明も含めて。

 マネージャーだとしたら、以前山田がバスケットボールで怪我して撮影をキャンセルしたときには「子どもだから仕方ない」って受け止めてくれたはず。山田はその子ども扱いを悔しがってた。だから今、山田は子ども扱いされたくなければきちんと話すべきだし、しっかり話をすれば、マネージャーさんはきちんと受け止めてくれるのではないかなあ。



この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?