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【僕ヤバ感想】Karte.75 僕はどう生きるか

 市川はずっと心の鎧をまとって、徐々に武装解除されつつある感じだけど(今日なんか、きついことを平気で言い切る元の性格?がにじみ出てた)、ナンパイも「ナンパ」という鎧を学校でまとい続けていたのかな。

 足立、根はまっすぐでいいやつ。男女関係に夢を見すぎだけど。手作りの下着なんて発想すごいな!

 バレンタインデーの頃、実は東京、高校受験真っ最中。私立がその一週間は目白押しで、都立は2月の後半から。だからこの時期学校で3年生を見かけることがないのも自然であった。市川は勝手にすでにいないものとしてたけれど、ナンパイは受験が一段落したのだろうか。

 足立の三人組の会話にすんなり混ざっていく市川。「チョコを貰った!」と内心、心を強くしている市川の表情が可愛い。自信なさげな市川をたくさん見てきただけに、良かったね!と思う。
 そしてチョコを貰ったことをすんなり認めてよかった。否定していたら、そばで掃除している山田が悲しくなっちゃうところだった。そして萌子の「ハハーン❤」みたいな表情が面白い。そして萌ちゃんの対応、下手したら山田より芸能界でうまく渡っていけるのではないか。それに対する市川の辛辣な矩形の吹き出し。ずっと甘い展開が続いていたせいかそんな辛辣さは久しぶり。

 足立はホワイトデーのお返し、発想がぶっ飛びすぎる。ドルオタの太田くんがあのグループで常識人なのね。分かった。神崎くんはどうしても原さんを太らせたいのか。
 そして掃除中、男子も女子もたいして手は動いていなかったけれど、廊下はきれいになったかな。ま、掃除時間なんておしゃべりタイムだったよね。

 足立は市川に「チョコを貰ったけれどお返しが思いつかない仲間」意識を感じたのかな。足立の「相手のことを知らない」って率直に認めて知ろうとしているところ、いいと思う。

 でもアドヴァイス役(足立の「アドヴァイス」、妙に発音が良さそうで笑ってしまった)にナンパイか!足立は市川とナンパイのあれこれを知らないから、純粋にモテる先輩に聞こうぜ!という親切心を出してくれたんだ。やっぱりいい友達じゃん。

 全然本筋と関係ないことを言うと、ナンパイが何となく校庭のサッカーの部活を眺めているのがすごくリアルで、いいなと思った。部活もとっくに引退して、受験も終わって、そろそろ卒業か……と思っているのかもと想像を巡らせる。

 足立が間を取り持つにも関わらず、鎧がない市川は、素の状態でしっかり意見を言う。強くなったな!足立の目には「妙に先輩に突っかかる可愛げのない市川」だろうに、一生懸命空気をとりなそうとしてくれる。
 市川が大人の意見を吐いているけれど、市川も山田と出会う、ついこの間までは「誰も僕を分かってくれなくていい」ってがちがちの鎧をまとってた。その市川が「相手を理解しようとする」となったのは大きな成長だし、足立も相当大きい心を持っている。
 ナンパイは、市川の成長が分かったんじゃないかな。

 お返しに関する発想が真逆のナンパイと足立。女子からしたら足立のように考えてくれる人が嬉しいんじゃない?だって、時々「なんで私にこんなのをプレゼントとしてあげようって思いつくわけ?!私のこと全く分かってない!」と、切れる女子いるじゃん(だから、ダイエットしようとしてる原さんに食べ放題を提案する神崎くんにちょっとヒヤヒヤしてる)。なんにも考えてないプレゼントが別れの発端になることもある。

 山田はもうすっかり好意を隠さなくなったのね。好きあらば手をふる山田が可愛い。でもナンパイが視界に入った瞬間焦りが見える。
 掃除の時はこっそり振り返す市川だったのに、ナンパイを意識して、というか妨害して大きく手を振り返す市川。これには山田も思ってなかったみたい。あっという間に窓が閉じられる。そして走る。 

 最後の山田のお座なりなナンパイに対する姿勢。あれは素でやっているのか、あるいは怒りを込めて、分かってて酷薄な態度をとっているのか。どっちでもありそう。市川しか目に入っていなかったこともあり得るし、市川を守ろうとして徹底的に突き放しにかかったのか。
 女子としては、こっちが好意をコレッポチも持っていない男子(しかも先輩)に絡まれるのは恐怖でしかない。好き・嫌いではなく「怖い」。今までばやしこ達を盾にしてナンパイをかわそうとしていた山田だったのに、市川が手を振り返したことに心を強くしたのか、あるいは市川が絡まれてる!って思ったのか、どちらかは分からないけれど自らナンパイの前に飛び出して市川をかっさらっていく。
 市川も、山田も、ナンパイに対する恐怖をなくした、というか、自分の中にあった恐れを解消したのか。

 ただ、あの山田の態度が逆にナンパイに火をつけちゃった可能性もあるかなと。多分ナンパイは市川と山田がそれぞれお互いを好きだというのは分かってて、見え透いた下着の提案なんか市川が引っかかるとは毛頭思ってなくて、最後のからかいを含んだ嫌がらせくらいの気持ちだったかもしれないけれど(本気で嫌がらせするならそんな見え透いた罠ではなく「マシュマロなんかいいんじゃない?」とでも、より引っかかりそうな罠を仕掛けるだろう)、山田にあからさまな態度を取られて、それがプライドを傷つけられたのか。
 市川がナンパイに向かって本音を吐露しようとするのを止めたナンパイ。そこの真意は何だったんだろう。そんなことは分かってる、ということなのか、本音を聞いたらもう自分の失恋が決定的になるから聞きたくなかったのか。
 市川が本音を話そうとしたのもなぜなのか。大晦日のときにはふにゃふにゃとごまかすだけで、結局最後は萌子に助けてもらったのを情けなく思ってて、せめて本音をきちんと言おうと決めたのか。となると、今日のテーマ「どう生きるか」にもかかってくるな。

 ナンパイはどう生きるか。ナンパイも鎧を脱ぎ捨てるのかもしれないな、次回。

 追記。ナンパイは一回休み?そして表紙絵は市川の心象風景なのかな。山田が鮮明にクローズアップされて、友だちとして足立と太田がイン、そして3年はフェードアウト、のような。

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