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【僕ヤバ感想】6巻購入ーみんな成長してる

 発売日にダウンロードしていたので、購入してすでに2ヶ月近く経ってる。まとめて読んだ雑感を書こうと思っててつい先延ばし。年度末になって忙しないけれど、とりとめなく書いてみようかなと。

 作品の中ではバレンタインデーから卒業式までだから、この巻の中では時間は1月弱しか経過していない。しかし読んで思ったのが、まさに「内面の成長がみんなすごい!」ってことだった。時間に対する成長の密度の濃さよ。
 二人の関係の進み方はすごくゆっくり。だけど時間は1巻から数えても半年になるかならないか。だとすると、実は目まぐるしい勢いで成長していると感じる。

 更新を追っていくその瞬間は、二人の恋の行方や言動にドキドキしっぱなしで、息を詰めて読んでいるようなところがあるけれど、落ち着いて一巻を通すと行きつ戻りつしながらも確実にみんな成長していて、眩しいなあと思う。

 市川の成長についてはもう語る必要もあるまい。そのへんについては更新ごとに書いた気もするので、ちょっと山田について考えてみたい。

 最近は、というか具体的には4巻の最後から、山田の成長もクローズアップされていると思っている。
 実は前から気になっている表情がある。 
 4巻の最後、市川がありがとうといって、そっと山田を抱きしめた時、山田は嬉しい、とは言い難い、陰すらある非常に複雑な表情をしていた。私はずっとあれは何だったのだろうと思っていて。
 とろい私は、最近やっと自分なりに解釈ができた。以下すべて私の思い込みというか偏見なので、異論はあると思います。もちろん。というか他の人の見方を知りたい。

 前から思っていたが、山田は市川からの好意に気づいていたと思っている。ティッシュをさり気なくおいてくれたときに、この気配りは市川から山田に向けられたものだと分かっていて(山田は観察眼鋭いし)、ふんふん市川は私のこと好きなんだ、なるほどなるほどと思っていて2巻のころ積極的にちょっかいを掛けに行っている。でも自分が市川をどう思っているかは、2巻の最後にならないとわからない。
 
 で、3巻では、ちょっかいから一歩進歩して、接点を増やそうと山田は試みている。でも市川相手だから非常にもどかしい。うちに事件が起きて、山田は不安に陥る。
 この段階では、その不安は有耶無耶にされるけれど、山田がデートに誘うという力技で、とりあえずは棚上げした感じ。

 で4巻。デートしつつも、市川の怪我が5巻に響いてくる。そして4巻最後の山田の表情。

 ありがとう、と言われて山田が複雑なのは、市川の言葉の真意を測りかねているのもあるだろうけど、山田はこの時「関係性の限界」ということを思いついてしまったのかもしれない。
 私は市川が好き、そして市川も私が好きだよね?と明るい気持ちを持ってるから、3巻の最後無理やりデートに誘っても、別に市川の好きなコースを考えるでもなく、自分の考える楽しいデートコースに市川を巻き込む。
 そうやって明るく新学期を迎えたら「ありがとう」。
 この瞬間山田は「え、市川は私のこと、好き!の相手ではなく、学校に馴染むための存在(友達)として、みているのかな」と思っちゃったのかな。下手したら、市川が学校に来やすくなった今、普通の友人か、単なるクラスメートとして認識されない可能性に思い当たってしまったのかもしれない。
(繰り返すけど私の妄想だよ)。

 でも不安を打ち消しながら学校生活で市川の役にたとうとしても失敗し、更には市川の怪我の原因を知ってしまい、挙句の果てに市川との関係を目に見えるものにしてくれる、お土産のマスコットまで紛失する。

 それが雨降って地固まる……になっていくことについてはここでは語らないけれど、山田は4巻の最後から「私は市川からどう見えているのか」を真剣に考えだしたのだと思う。
 その状態で迎えた一大イベント、バレンタイン。そして職場見学。
 どう見えているか不安だし、知ってもらいたいからバレンタインのお菓子作りの場にも呼び、職場に呼んだのだと思う。そして市川はちゃんと山田を理解しようとするし、市川も自分を見せようとする。

 山田はこれから仕事優先になってくると諏訪さんに明言されてるけれど、それは市川の言葉が山田を後押ししたのかな、と思う。私はこの仕事が好きだ、だからこれで頑張っていこうって。
 市川と山田は、例えば高校受験で目指す学校がかなり違ってきそうなんだけど、でも、お互い、自分が目指したいものを目指してほしいのではと思う。少なくとも市川はそんな山田だから好きになったと自覚しているし。

 だけど、お互いを「知って」「分かって」付き合うのと、自分が「想像する」相手と付き合うのでは全く違う。もし道が違った時、相手を分かっていれば試練も乗り越えやすいのではないか。

 山田の成長の証をもう一個。ナンパイに対する態度。最初のときにはできるだけ黙り込み、セリフを考えておいた下手な芝居でかわそうとするけれど、6巻の最後には自分で見たことを自分の言葉で伝え、自分の気持ちも自分の言葉で正面から語る。
 正面から語る、という誠実な方法をとったから、ナンパイもスッキリ出来たのだと思う。下手な芝居のままだったらこじれそうだ。

 成長とは、自分が語る言葉を増やして、豊かにしていくことかもしれない。
 

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