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【僕ヤバ感想】Karte.93 僕は本日の主役

※今回の記事、はっきり言うと楽しい気分で書いていない。ちょっと展開についていけない私がいる。「あー良かった!読めて幸せ!」「すごく感動した」という記事ではないので、そういうのを期待していた方はどうか読まないでください。

 通勤中、雑誌の広告が目に入った。「an・an」だ。
 若い頃熱心に読んでいたけれど、編集長が変わって徐々に読まなくなったなと思い出した。
 あの雑誌の転機はsex特集を始めたことだった。
 最初はすごく画期的だった。女性誌、しかも売上がいいメジャー雑誌でそういうのを正面切って取り上げるのはなかなか見られないことだったから。

 しかし、そのテーマを繰り返すにつれて、なんとなく「またそれ?」のような空気が友達の間で漂いだしたのも事実だ。

 そのことと「僕ヤバ」となんの関係があるのかもしれないと思うかもしれないけど、「刺激的なテーマはカンフルとなって、一時的な効き目(反応)はすごいけれど、マンネリ化するにつれて更に過激になっていく恐れがある」ことを今日読んで思い浮かべちゃったのです。

 この連載の設定は、たしか相当具体的に練られていたはず。東京都目黒区に住んで、中学校2年生。市川の家は見るからに堅実な家庭だし、山田の家も娘に愛情たっぷりで育てていることを感じる。

 中学校で異性の家に泊まることが当たり前な家庭があるかもしれない。それは家庭それぞれだからなんとも言えないし、そういう漫画や現実があってもいいだろう。
 しかし、今まで読んできた限りで、「僕ヤバ」に出てくる山田と市川の育ち方は、それを是としないのではと思うのだ。

 最後のおねえの表情から、自分でもミスったことを悟ったのだと思う。つまりそういう倫理観の中で生まれ育ってきたのだということ。自分は言いすぎたのだと思うこと。
 ぎょっとする市川も、やはりしっかり育てられているのを感じる。
 さらには山田も誰のうちにいるか素直にママに言えないあたり、後ろめたさを感じているのだと思う。

 そういうふうに市川、おねえ、山田を育ててきた保護者が「あら、いいわよ。泊まっていきなさい(泊めてもらいなさい)」とあっさり言うことが、私には想像できない。
 山田のママだったら名前を知らなかった「かなちゃん」(山田のママも、女の子の家に行ったの?と驚いていたあたり察している気配を感じる)の家に娘が泊めてもらう、となったら、(山田がママに連絡したとして)「ママからご挨拶したいからちょっとお母様にお電話代わって」となるだろうな、と思うし、市川の父母も理由は言わずとも「いきなり泊まるのはご両親も心配するから今日は帰りなさい、その代わりまた遊びに来てね」という方がすんなり来る。個人的には。
 優しい親、というのは子供のやること無条件でOK、というのとは違うと思うんだよね。私自身が、中学時代を遠く離れた親世代なので、そう思うのかもしれないけれど。

 漫画は虚構の世界。虚構の世界を身近に感じられるのは、その中にある真。
 話のエロい雰囲気がいや、というのではないことは書いておきたい。市川がエッチなことを考えてしまうのは、年頃そうだよね、と思うし、逆にそっちの描写がないほうが不自然だなと思う。エッチなことを考えている市川は微笑ましくすらある。
 でも、それを抑える理性を持っているのが市川だと思っている。だから白と黒の濁川くん二人が戦っているのでしょう。それは非常に健全だ。

 実は、「今後の話の方向性によっては私、この漫画から離れるだろうな」と思っている今です。

 微妙で繊細な心の揺れの描写を読んで、それを楽しんでいたけどね。

 でも泊まることはまだ決定していないし。次回も読みます。

 


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