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【僕ヤバ感想】Karte.82 僕はリハーサル中

 そういえばこの題名の「Karte」、もともとは市川の中二「病」が治っていくことを表すから、この、日本では医療分野で使われる用語があてられたんだっけ。今回の様子では、中二病がわずかに顔を覗かせるものの、多分小学生時代や本来の生活のように、市川がテンポよく級友と会話している部分が多く見られて嬉しい。治ってきているのかな。

 多分、担任の前田先生も嬉しい。一人で本を読み、学校も休みがち。成績は良かったもののこの頃下降していたのがまた上がった。成長が嬉しいだろうな。で、さらなる成長のチャンスをくれたんじゃないだろうか。
 そして優等生の名前を次々と上げる市川に「私は?」とアピールする山田も強いし「じゃあ送辞やれよ」と返す市川も強い。山田はカウンターパンチ食らっちゃったかな。山田は優等生なんだろうか?(芦田愛菜ちゃんはまじすごいと思う)

 絡んでくる萌子も友達の距離だし、萌子にマウント取ってる市川も友達の距離感。そして口を挟んでくる足立たちもクラスメートとして受け入れてる。少なくとも市川のことを「あいつヤバいやつ」という認識だったら、遠巻きにみてるだろうけど、からかい気味に口を挟んでくる、ということは危険なやつとは認識してないのだろう。

 萌子との会話の内容を聞いて、一瞬言葉に詰まる山田。これは萌子と市川がそこまで親しくなっていることにちょっと驚いたのか、市川が成績を伸ばしていることに驚いたのか。両方かも。多分、「成績を上げて萌子とも会話している市川」は「山田の知らない市川」だったんだろう。

 引き受ける前に、市川は山田をちらっと見る。ここで市川にどんな心の動きがあったかは、ここでは明示されないけれど、山田を見たこと、そしてその後の言動から「山田の横にいられるために」であることが推測される。

 でもリハーサルで、全然声が届かない市川。マイクがあればいいってもんじゃないんだね。でも先生や芹那たちが「聞こえん」ってつぶやいているの、級友や生徒を心配している感じでいいなと思う。
 山田はつぶやかないけれど、強引にトレーニングに持っていく。色んな意味で。
 山田が強引に引っ張っていくの、市川の本音が分かっているからかもしれない。市川は本音と声が一致しない時がある。それを山田は正確に見抜いて、ぐいっと本音の行動に近づけるようにしてくれる。優しい。ただ本人の意志を尊重する、って静観するだけが優しさじゃないんだよね。市川の気持ちも押して、みぞおちに近いところもぐいっと押す。

 実は体育倉庫でその後、引っ張られて倒れ込むのは分かる。体育倉庫の扉が開いているから(開けたままにしているのは紳士的だな、市川…って決めつけてるけど、市川は開けておきたいタイプだと思う)、そこから覗き込まれて生徒にでも、先生にでも、存在を追求されるのが嫌だったんだろう。
 だけどその前、なんで座り込んで語ってるんだろ?練習してたんじゃないのか。

 山田がお仕事で頑張っているところを見せたのは、自分を知ってもらうため。
 雑誌って、読むのはあっという間だけど、作るのには時間と人手がすごくかかってる。もしかしたら山田は、雑誌やテレビの完成された状況しか見ようとせず、それだけで「華やかでかっこいい!」とあっさり片付けられてしまうことがあったかもしれない。
 他の人が山田にそう思っていても山田はそれを受け入れていたかもしれないし(一年生から憧れの目で見られてるし)、悔しい思いをしていたかもしれない。それは今の所わからない。
 でも、山田は、市川にだけには、泥臭く頑張っている自分を見て、完成品ではない秋野杏奈をも知ってもらいたかったのかな、と考える。
 市川も成績を上げるということで、山田にふさわしい人間になろうとする。もしかしたら言ってくれない市川に、山田は寂しさを覚えて、それなら「発声」というところで協力できる送辞で応援して、頑張る市川を間近に見たいと思ったのだとしたら。
 お互いが、知らず識らずのうちに相手に影響を与えていて、それがそれぞれの成長のきっかけとなっている。

で、ナンパイが山田をどう見ているか、は今の所はっきりわからない。山田の外見に惹かれたとか、華やかな仕事をしている女の子を彼女にしたいと思っているのか、あるいは山田の素の様子を校内で見かけて興味を持ったのかもしれない。送辞を読む人の名前が読み上げられたことで、市川が大晦日に偽名を使ったことは確実にバレたわけだけど、それがどうなるのかな。「そこまでして市原くん、違った市川くんは山田さんを僕から守りたかったんだ」と思うのか。

ナンパイが他の女の子とデートしてたのも(眞宮先輩はどうした)、自分探しだったのかもしれないし、受験勉強からの逃避だったかもしれないし、山田のこと忘れるためだったかもしれないし。ただ、三田さんにはもっといい彼氏ができることを切に願う。

送辞を引き受けた市川。「本日はお日柄もよく」って送辞に使う言葉なんだろうか?なんだか結婚式の仲人みたいだ。送辞だったら「桜が咲き誇る中、今日の卒業式となりました。ご卒業、おめでとうございます」とかなんとか、という気がする。お日柄も何も、都内の公立は都の教育委員会が入学式や卒業式の日を決めるのではないかな。


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