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甲陽学院中・算数入試問題の傾向と対策

甲陽学院中学校の近年の算数入試問題の傾向と対策、何をどのように準備していけばよいのか、についてまとめています。

1.甲陽学院中算数の「形式と特徴」

・第一日と第二日とで見た目、体裁は全く同じ
・大問1以外は途中式が採点対象となる。
・大問で6題構成。2日間で受験算数のほぼ全分野から出題される。
・問題用紙は各日2枚、書き込み式で、裏面は採点対象にならない。
・表面に途中式、考え方など必要なことを書ききらないといけないが、与えられているスペースは書くべき分量に対して「せまい」。
・試験時間は55分。
・受験者平均点は例年100点満点中60点を目標に作問されている。

2.甲陽学院中算数の「傾向」

・受験算数の定型問題(パターン問題)はしっかりできるようにしておく。そこから「もうひとひねり」した問題が出題される。
・「手を動かす」ことは大前提。図形問題では自分で作図をして求めるものを把握する「図形の移動」分野(回転移動、転がり移動、平行移動)からの出題が極めて多い。
・1つの問いに対して複数回答を求めさせる問題が出題されることもある。

例:AとBの所持金の差が300円で、Bの所持金は500円でした。Aの所持金はいくらですか。考えらえる場合をすべて答えなさい。
解説:AとBの所持金の「差」が300円、ということから、Aの所持金は
① 500+300=800円
② 500-300=200円
の2通りが考えられます。

3.甲陽学院中算数の「頻出分野」

①数論

特に約数・倍数関係からの出題が多い。

②速さ

奇をてらわず、文章から状況を図やグラフに書き起こして解く問題が特に多い。通過算、時計算、流水算についても出題があるが、単純な問題よりももっと踏み込んだ問題が多く、十分鍛錬していないと難しいレベル。


③平面図形

前述の「図形の移動」分野以外に、比をからめて解く問題も多く出題される。三角形の相似については十分使いこなせるように。

④立体図形

立体切断の問題が多い。特に立方体の切断が多いので、夏期に入るまでにこの分野については基本問題についてはできるようにしておきたい。

4.甲陽学院中算数の「対策」

・「手を動かす」作業が日頃から当たり前になっている状態を作る。

いきなり図をかこうとしても、日頃から慣れていなければ描けないような作図が要求されます。正確できれいな図でなくてもよいので、どこがポイントかを常に意識して作図することが必要です。
図形ではなく、速さの分野で状況を線分図で整理したり、ダイヤグラム(進行グラフ)を描いて整理する、文章題分野では表に書いてまとめてみる、数論分野でも集合図(ベン図など)を書いてまとめてみる、など、手を動かす場面は非常に多くあります。
甲陽学院中の算数入試問題は、そうした「日頃から手を動かすことが当たり前になっているか」、そういう学習姿勢でこれまで取り組んできたか、という、ごまかしのきかない部分が問われる良問ぞろいとなっています。

・合格レベルの難度設定を見誤らない。

甲陽学院中というと、関西では最難関校という認識です。しかし最難関校だからといって、難問演習をむやみやたらと積めばよいというわけではありません。合格に必要な点数は50~60点です。これは、甲陽学院中を受験する生徒が平均的に解ける問題だけをしっかり得点すれば稼げる点数であり、いかに日頃から取り組んでいる定型問題を深く理解し、正しく身につけているかが問われているとも言えます。

しかし、本人が解ける問題ばかりをやっていれば合格点に到達するわけでもありません。前期中はここまで、夏期中にここまで、冬期に入るまでにはここまで、というように、各期ごとの到達点をはっきりさせること、その中で甲陽受験生としてはどこまでの解法を「常識」として身につけておけばよいのか、しっかり設定しながら受験準備を進める必要があります。

今回はこれで以上です。記事をお読みいただきましてありがとうございました。何かご質問がございましたらコメントでお知らせください。

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